美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

閑話 ある日のシシの日常10

「あの、大丈夫なんですか?」
「何がだい?」
「いや、まだ昼間なのに、職場から離れて」
「ははっ」

 私のそんな気遣いに対して笑ってるその人。普通仕事時間にその場から離れるとか怒られることじゃないのだろうか? しかも私達は今……うん。それは後で言おうかな。とりあえずなんかこの人……渋めのあんまり特徴無い人は気にしてないみたい。どうやらクリエイトさん殻は車長と呼ばれてるらしい。なんか本当の名前を言ってたんだけど、私も別に覚える気ないし、車長さんと覚えておくことした。

 そもそもなんかここにいた他の研究員の人とかと格好違うし、もしかして別に研究する人じゃないのかもしれない。他の人達は白衣とか着たり、機械系だからなかなかに汚れてる人も居たわけだけど、なんか車長さんは違う。きっちりとした軍服の様な……けどちょっとデザイン違う服着てる。てっぺんが平べったい帽子とかも被ってるし、これが車長としてのスタイルらしい。

 軍服ではないんだけど、彼の胸には一つの勲章が輝いてる。もしかしてそれがこんな自由が許されてる理由かもしれない。なにせ今、私達ラーゼ様の為に作られてるロイヤルトレインに乗ってる。私がまたあのパイプラインで移動するの渋ったら「ならこれに乗っていくかい?」とかまるで自分のダンプ感覚でそんな事を言われた。
 もちろん、最初私達は「いやいやいやいや」って言ったよ? 本当に。だってこれはラーゼ様の為に作られてる物だ。それを私達が勝手に使うなんて許されない事だろう。単純にラーゼ様に知られたらなんか怒られそうだし……普通の人なら首待ったなしだよ。
 でも車長さんはこう言って押し通した。

「いいのいいの、これも大切な事だよ。初めての人に乗ってみてその乗り心地を検証するのもひとえにラーゼ様為」

 そんな屁理屈に推されて私達はいまロイヤルトレインに乗ってるというわけだ。お仕置きは車長さんだけにお願いします。クリエイトさんも渋ってたしね。絶対あの人、動かす理由が欲しかっただけだと思う。だってなんかこれを動かす時、子供みたいにキラキラした目をしてたし。

 まあけど、確かに乗ってみてわかる事はある。とにかくこのロイヤルトレイン、めっちゃ快適だと言うことだ。まず全く揺れない。発射したときもそうだった。しかもなんか空飛んでるし。普通に空飛んでるから、私は一瞬、列車は空を飛ぶ物だと思い込んだよ。
 いやいや、地上に配備されてる奴、飛んでませんけど!? まあけどそこら辺はクリエイトさんも驚いてなかったから、一部の高級な列車にはこの機能がついてるようだ。そしてこの列車はロイヤルトレインな訳で、最高級の機能が詰め込まれてておかしくないから、飛ぶのはまあ当然だね。

 私達はエデンを眼下に見つつ、優雅な空での観光としゃれ込んでた。

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