美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω178

「何やってるの二人とも?」

 そんな声が聞こえた。その声を聞き間違う私達じゃない。「ふえ?」と思ってその声の方を見ると、白いカラスと共に、私達が大好きな人がそこにいた。

「「ラーゼ様!」」

 私よりも早くシシちゃんがラーゼ様に飛び込んで行く。むむー、シシちゃんずるい。さっきまでとってもお姉ちゃんぽかったのに、ラーゼ様が出てきたら粋なり甘えだした。まあけどしょうが無いことだとは思う。だってここ数日、ずっと私達はラーゼ様の無事を祈ってた。

 粋なりラーゼ様がいなくなってからずっとずっと心配してたんだ。流石にラーゼ様だから皆無事だろ売っては思ってたけど、それでも願わずに居られなかった。だって私達がこうやって家族で居られるのも、幸せで居られるのも、全部全部ラーゼ様のおかげだから。

 私はシシちゃんの側面に回ってそこからラーゼ様に抱きついた。ラーゼ様はやっぱり良い匂いがする。いつだってそうだ。ラーゼ様が汗臭くなったときとか記憶にない。私達がライブで汗だくになって汗とか気になっても、ラーゼ様はいつだって良い匂いだ。

 まあラーゼ様が良い匂いだからって安心してたら、私達は汗臭い訳だけどね。ラーゼ様を基準に考えたらダメだと、私達は学んでる。ラーゼ様は特別。抱きつくと良い匂いに包まれるし、暖かくて柔らかい。安心する。本物のラーゼ様だ。

「二人はどうして裸なの?」

 そう言われてはっとした。確かに私達は裸だ……恥ずかし……い? でもよくよく考えたら、ラーゼ様とはよくお風呂とか入ってる。今更肌から見られたからと言って恥ずかしくない。まあ成長してく中で、だんだんと自分の体が気になりだしはいます。

 だってラーゼ様がいつだって理想の体を見せてくるんだもん。私は皆に「これからだよ」って言われる。それは私がまだまだ成長期だからです。けど、ラーゼ様の様に完璧な体になるなんて思えない。努力は今からやってる。それがどれだけ効果を発揮してくれるかは未知数だけど……

「ん? なんか二人に変なマナが絡んでない?」

 そうなのかな? よくわかんない。けど心当たりならあります。それはシシちゃんも一緒だったようだ。

「私達、あのマイクにここにつれてこれて、それでマイクは光が集合して、人の様になって、そして……裸で抱き合いました」

 最後の所は恥ずかしくなったのか、シシちゃんの言葉が知り素掘りになってた。うん、言葉にすると結構訳わからない。ラーゼ様もにこりと微笑んでこう言うよ。

「よし、そのマイクを壊しましょう」
「でも……そいつが言うには鍵を渡すのに必要だって……私達はラーゼ様の役に立てるならっておもって……私とコランのマナがマイクに馴染む必要があったみたいで……」
「それでこの状態か……ごめんね二人とも」

 そう言ってラーゼ様が私達の頬に手を触れて優しくなでてくれる。気持ちいい。思わず、目が細くなってにへらーとしてしまう。けどそこで気付いた。ラーゼ様の綺麗な細い指が、何やらちょっと変色してる? ええー、こんなのダメだよ。ラーゼ様は全身上から下まで、完璧に綺麗なんだから。私は思わず変色してるラーゼ様の指をはむった。

 するとそのとき、何かがはまった様な音が聞こえたきがした。


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