美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω168

「さて……」

 私は目を開ける。クリエイト達はなんとかまだ粘れるだろう。こっちはどれだけ陣の構築が進んだか……それを確かめる為に私は意識を戻した。

「あら」

 思わずそんな声が出てしまった。だってなんか思ったよりもヤバイ事になってたからだ。いや、確かにこっちもヤバイなーとは思ってたよ。どう考えても蛇だけで抑えられる物量じゃなかったしさ。蛇は飛行ユニットとかには頼らずに、外部骨格? みたいなアンティカの胴体無い版みたいなのを装備してる。基本、腕と足に装甲が追加されてるみたいなやつだ。

 バランス悪そう……だけど、そこは流石蛇。器用なもので上手く操ってる。あの鞭の武器はゼロのと同じなのだろうか? 確かゼロも鞭を装備してたはず。そして蛇も元々鞭使ってたから、同じ武器を拝借してきたのかも。まあ世界樹の根は大量だ。鞭は鋭く、そして攻撃範囲も広い。

 だから剣とかよりも向いてるとは思う。両手に装備してるしね。それで孤軍奮闘の蛇。一応ゼウスもミサイルとか撃ってるが、こちらの狙いはあくまでも陣の完成だ。それを怠る事は出来ない。だってそれをやらないと、この行動に意味がなくなる。

 まあヤバイと言ったが、歌と、ヘビのおかげで被害はなんとか抑えられてる。ヤバイの蛇だけだ。おかげで陣の構築は進んでる。赤いマナが星全体を覆ってきてる。けどどう見ても蛇の限界も近い。このままだと……間に合う? 微妙じゃない?

「蛇は持ちそうなの? 後どれくらいで陣は完成する?」
「おお、ラーゼ様お戻りになりましたか」

 どうやら私が何かやってたのは察せられてたようだ。まあやましい事はやってないからいいけどね。

「アンサンブルバルン様はよくやってくれてますが……このままでは完成までは持ちそうもありません」

 厳しい表情で艦長さんがそういうよ。まあそうだよね。私も同じ考えだった。あの物量を一人で処理するなんて不可能だ。歌のおかげで、狙いを定められてないから、蛇をすり抜けるのもそこまで脅威になってないから、大丈夫みたいだが、蛇はなるべく全てを引き受けようと動いてる。

 そんなに私のご褒美が欲しいのか……次はどんなプレイを要求してくるのかちょっと怖い。まあここまでやってくれたら、一応聞くだけ聞くけど。でもそれも生き残れたから……だ。このままじゃ蛇は死ぬだろう。ヘビには色々と仕事を押し付けてる。

 地上にいるハゲとここで頑張ってる蛇がいなくなると色々と不味い。だからどうにかしてあげたい所だ。でも大きな力の行使は、蛇に止められてる。それに一度私が力をぶっぱして吹き飛ばしてもあんまり意味ないよね。やっぱり根本であるあの星を破壊しないと……

 ここは間接的にとてもいい仕事をしてる方に干渉するか……間接的な介入なら、そんなにマナも使わないしね。よし。

「ちょっと、また飛ぶから。皆は陣の完成だけ考えて」
「はっ!!」

 いい返事だ。さて、私は意識を自身の星の世界樹へと落とした。

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