美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω165

 放たれた攻撃。それは運も味方してアラガタへと直撃した。でも……

「ぐぬううううううううううううううう小賢しい下等種族がああああああああああああああああああああ!!」

 奴は腕を前にして銃撃を受け止めてる。頭おかしい耐久力だ。なんかドロドロとしてるんだから、ちょっとは防御力下がってそうなのに、このセカンドの超長距離狙撃を可能とする新型のマナブラスターをこの至近距離で受け止めてる。

 本当に強い種族ってこれだら理不尽極まりない。人種が長い年月と研鑽と努力と蓄積をその身一つでひっくり返せる。奴らにとっては努力なんて言葉はないんだろう。だって最初から強いんだから。

 それでも奴にほえさせるくらいは出来るところまできた。撃ち続けるのにアラガタの奴はこっちに近づいてきてる。こっちもさらに出力を上げる。実際、このセカンドのブラスターは単発銃だ。一回一回、エネルギーを貯めた弾丸を本当はいれてそれを撃ってる筈。

 だからセカンドの装備は大量の弾倉でそのほとんどが埋まってる。けど私にはそんなのはない。けど、ゼロは他の機体よりもマナを高効率、高純度で運用できる。そして今は背中の装備もあって、倍増できる。それを使って無理矢理この銃にマナを供給して撃ってる状態だ。

 この時点で無理させてる。それに本当なら一回一回、撃った時の熱を放出するという機構もこの銃にはある。でも撃ち続ける限り、それは出来ない。視覚でその兆候は確認できた。銃身の先がどんどんと赤くなってる。長くはもたない。

 持たないが、ここで攻撃をやめる訳にもいかない。次にこれを直撃させれる機会はきっともうないだろう。なら、遠慮なんてする必要ない。

「ごめんなさいベール様」

 一応先に誤っておく。けど、ベール様ならわかってくれるだろう。この銃の一番の活躍の場は今この瞬間だ。私はさらに出力を上げる。背中の方の装置もヤバイ。ゼロの内部には色々なアラームが鳴ってる。流石に背中の奴が爆発したら、ゼロもただでは済まない。タイミングを間違えると、ここで私達は終わりだ。でもそれでも攻撃をやめるわけにはいかない訳で……まるで地獄への片道切符を切ってる感じだ。

 出力を上げたおかげで、僅かでもアラガタを押し返す。だけどそこまでが限界だった。セカンドの銃が出し続ける高出力のエネルギーに耐えられなくて爆発する。先に銃が壊れたおかげで、背中の方の装置は無事だったけど、これでアラガタは解放されてしまった。
 視界は銃の爆発のせいで真っ黒だ。不味い! 私は後方に下がろうとするがその時、アラガタの腕に頭を掴まれた。視界が黒く埋まる。

「貴様らの巫女に見せつけてやろう。お前の死の姿をな!! そして教えてやろう。次は貴様だと!!」

 そういうアラガタの腕に力が込められる。

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