美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω163

「来た!」

 私はそれを感じた。マナがユングに集まってる。どうやらユングはまだ生きてる? みたい。まさかそんな事が……とか思った。死体でも拾ったのかと思ってたが、どうやらそうじゃないみたい。私はそこにあるであろうユングの魂に訴えかけたのであって、生きてるとは思ってなかった。

 でも……どうやらユングは生きてるようだ。もしかしてアラガタが? いや、そんなわけないか。私はとりあえずユングにマナを流すよ。それだけでアラガタにとっては毒になる。ユングはそんなにマナを受け入れることは出来ないけどね。

 それぞれの存在にはマナの許容量というものがある。種族的には人種は最下位クラス。そしてかつてこちらの世界でトップだったアラガタはどう考えてもそれもトップの筈だ。それは二倍十倍とかの次元じゃない。百倍とか千倍とかの次元だ。

 だから単純にユングが耐えられるだけのマナなんて意味がない。けどそれはマナをため続けるなら……だ。カンガタの方もそうだけど、車長さんだってマナの受け入れ先なだけであって、それをカンガタへと流してる。ユングもただ貯めるんじゃなく、流れてくるマナを自然と出せば、それがアラガタを侵食していく。

 まあけど、即効性を出す為に周囲に撒いてたマナを一気にユングに流してるからね。マナの流れが滞れば、ユングが危ないが……まあなんとかなるでしょう。きっとね。

 私の思惑通り、アラガタの動きがおかしくなった。力強く動いてたアラガタがいきなり変な挙動を取る。それをクリエイトは見逃さない。何が起こったのかはわからないだろうに戦闘に関する感性は鋭いクリエイトである。クリエイトはアラガタがおかしくなったからって勢い勇んで突っ込んだりはしない。

 今のうちに距離を稼ぐ気だ。何かさっきからゼウスがバラまいてたパーツを回収してるようだし、何かを狙ってるのは間違いないだろう。そんな折、抱えてたファーストをゼロは手放す。見捨てた? とか思ったが、ファーストは自力で動き出した。

 どうやら中のカタヤが目を覚ましたようだ。一応カタヤにもマナを送って自己回復を促してた効果が出たみたい。かといってここで手放すのはやばくない? それともカタヤを囮に使って何かするのかな? ゼロとファーストならファーストの方が簡単に今なら捕まえられる。

 動きがおかしくなってるといっても、アラガタだ。アラガタは元のスペックが滅茶苦茶高い。だからこそ多少ダウンしたからってそこまで落ちることはない。

「そっちに行くんだ」

 私はそう思った。アラガタは簡単に潰せるファーストではなく、ゼロを追う。どうやら生きのいい方を追いかけたいらしい。そして追いかけられてるゼロは距離を稼いだおかげで、それを準備してた。それはセカンドの巨大な銃だ。

 それをいつの間にかゲットしてた。銃口に光が集う。普段ならあんなの簡単に避けられるだろうアラガタなら。けど、その時、ガクンとアラガタの動きがかくついた。まさに神タイミング! その瞬間、銃口から光か放たれる。

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