美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω159

「さて、これでカンガタは大丈夫でしょう」

 本当は色々と聞きたい。てか、ずっとそれを思ってて先延ばしにしてる気がするな。いやだって落ち着く時が無いんだもん。確かにゼウスに戻った時はちょっと落ち着けたわけだが、その時、カンガタは戦ってたし……やっぱり全部終わってからしかない……でもその時、カンガタが味方かはわからないんだよね。
 だからこそ、アラガタと同士討ちしてほしいわけなんだけど……そう上手くいけばいいよね――って感じの期待でしかないからあてにはしてない。

「ゼロまでやられてないよね?」

 私は直ぐに視線を戻してアラガタのいる方へと向けた。するとゼロがファーストを抱えて逃げなら応戦してた。流石に衝撃が激しくて中のカタヤ死んだか? ありえなくはない。でも、私のいるゼウスのブリッジでは常に三機のアンティカのモニターをしてる。
 底では操縦者のバイタルだってモニターしてるんだ。だから死んだのなら、オペレーターの子の声が聞こえるはず。それが無いって事は、死んではないんだろう。このままじゃ不味いし、私はマナを気付け薬代わりに送り込んだ。

 これで大丈夫でしょう。まあ状況的には全然大丈夫ではないけどね。どうにか奴を止めて、カンガタの到着まで時間を稼がないと、クリエイトもカタヤも死ぬだろう。ゼロは換装してどうやら機動力が上がってるが、ぼろぼろのファーストを庇いながら戦える程の戦闘力はない。

 そこらへの種ならまだしも、相手が悪い。アラガタは純粋に頑丈で力が強くて、そして速い奴だ。トリッキーでは全然……まあ腕を飛ばしたりはするが、今はそれはプリムローズの歌でやれてないからトリッキーではない。
 でもその基本的な部分が高いからめっちゃ厄介なんだよね。なにせ普通の所がめっちゃ桁違いに高いから対策の使用がないっていうね。

「やっぱりユングの気配がする……」

 カンガタの奴の方に行ったから、それが間違いじゃないと今なら確信できる。もしかして、アラガタはユングの死体を取り込んでる? いや、でもこれは……私はもっと探るようにマナを広げる。はっきり言って今の私は視覚だけをマナを使って飛ばしてるわけだが、それだってスピード的には限界というものがある。

 自分で動いたりするよりも全然早いが……アラガタはアホみたいに速いのだ。溶けてはいても速いものは速い。だから狙ってアラガタにマナを進入させるのはむずかしい。だからここら一帯に私のマナを撒く。けどそれも普通の私達人間サイズではなく、アンティカサイズで考えないといけないから、その範囲もかなり広くなる。

 結構マナを消費してしまう。ヘビに見つかったら怒られるだろうか? まあけどこれは必要な事だ。あわよくアラガタを先に倒せれば、星はゆっくりと料理すれはいいのだ。だからこれは必要経費という事で。

 私はマナを徐々に宇宙空間に広げていく。

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