美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω142

「ラーゼ様……」

 私は空を見てそうつぶやいた。横には両手を組んで祈りを捧げるフィリー姉にそしてその真似をしてるコランがいる。ステージの中央に立つ私達、満点に輝く星空をバックに最高のステージを……と言いたいが、なんと曇りである。

 空気が読めてない天気を憎たらしく私はにらむ。

「どうしたシシ? 眉間にしわが出来てしまうよ」

 そう言ってステージに上がってきたのは我らがプリムローズのリーダーであるミラである。一番しっかりしてて、背も高く同性人気が高くさらに真面目だから貧乏くじばかり引くのがミラである。もうそういう星の元に生まれてるよね。
 まあ本当に厄介な星が頭の上にあるんだけどね。だからある意味、私達は全員貧乏くじを引いてると言えるのかもしれない。

「むうー」
「ど、どうした?」

 私があからさまに不満を表すとミラは動揺した。どうしたって? ミラは本当はわかってるのにそうやってごまかすんだね。

「ミラだけずるい」
「なら、お前がリーダーやるか?」
「それはいや」
「ほら見ろ」

 私は一瞬でリーダーを辞退する。だってリーダーなんて面倒押し付けられるだけじゃん。そんなのやってられないよ。責任感がつよいミラだからこそ、ラーゼ様がいない間、私達をうまくまとめてくれてるわけだしね。私は自分でもこらえ性が無いってわかってる。
 絶対に投げ出すよ。ミラの事、そこら辺は評価してる。

「リーダーは嫌だけど、私もラーゼ様と話したかった」
「そんなことを言われても、ご指名だったのはリーダーなんだ。仕方ないだろう」
「まあね……」
「わかってるよ。ただラーゼ様の無事な姿を見たかったんだよな?」

 そう言ってミラは私の頭に手を置いてやさしくなでなでしてくる。これらかライブで既に私達はばっちしセットを決めてる。それが崩れないような優しい手つきだ。 本当ならライブをする予定じゃなかった。けどラーゼ様が必要だと言えば、体を這ってでもやるのだ。

 それだけラーゼ様の存在は絶対。

「ミラお姉ちゃん! ラーゼ様は? ラーゼ様は元気だったの?」
「ミラちゃーん、ご苦労様~」

 ミラの周りに皆集まってきた。皆ラーゼ様をここ数日ずっと心配してた。当たり前だ。だって皆、ラーゼさまに救われたんだ。そしてそれは私達だけじゃない。ラーゼ様が消えたと知ってる人達は皆が心配してた筈だ。本当なら私達も宇宙に行きたかった。

 でもそれはダメだった。けど、私達の歌が必要なら、その声が届きますようにって歌うんだ。私達の思いを込めて。

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