美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω131

「星ですか。どうやってです?」

 ヘビは私の大言壮語を鼻で笑ったりはしないが、現実性を求めてくる。全く、これだから現実主義者は……

「そこはほら、バーンって」
「…………」

 何故か頭を抱えるヘビ。まるで私に落胆してるようじゃん。愛してる私に向かってその態度って酷くない? まあ確かにプランなんてなくて発言してたけど、でっかいマナをぶつければ行けるんじゃないかなってね。

「星を一つ破壊するエネルギーが一体どれほどだと思いますか? 想像も出来ないですよ。下手に私達の星のマナをぶつけてそれでうまく行けばいいですが、こちらの星のマナが枯渇したりはしないのですか? その間にこっちに流れてるマナが星を侵食したりなんかは……」
「…………」

 私は無言で蛇を見る。そして一つ息を吐いてやれやれと頭を振って見せた。そして蛇の肩を叩く。

「全ては君には任せよう。行けそうなプランをそうだね。十分くらいでお願い」

 そうしてとりあえず用意されてる御食事でもしようと思って蛇に背を向けると、今度はこっちの肩が掴まれた。

「ラーゼの無茶はいつもの事なので仕方ないとして、出来る限り知ってる事を教えてください。情報の大切さは知ってるでしょう。それが終わればとりあえず食事くらいは許しましょう。ですが、彼らもどれだけ持つか分かりませんからね。

 十分くらいでどうにかしないとヤバイという見立てなんでしょうが、十分じゃ厳しいですよ」
「しょうがないから、食事はここでしましょう」

 私はそういって手をパンパンと叩く。するとベララが頭を下げて出てく。ここに食事を持ってきてくれるだろう。移動する時間も勿体ないしね。いつもなら色々とベララも小言をいうわけだけど、事態が切迫してるのはわかってるから今回は無言で意を汲んでくれた。

 さっきから宇宙ではアラガタとの戦いがつづいてる。あいつも宇宙空間に出たら、マナの供給が薄くなるかと思ったが、あんまり変化ないようにみえる。けどかならず影響は或る筈だ。それよりもあいつの星の変化の方が気になるね。世界樹の根が星全体を侵食してる。普通なら世界樹は大樹としてその星にある筈なのに……そしてそれで世界のマナを吸って吐いて世界にマナを満たしてる。

 けどあれは……

「まるで星を食べてるかの様ですね」
「そうね」

 まさしくヘビが言ったことを私も考えてた。そしてそれはきっと間違いじゃない。とうとう世界樹が星を食らいだしたんだ。あの星は、アラガタ達の星はもう終わる。そして星を食らった世界樹は新たな食い扶持を求めるんだろう。そしてそれは……

「反対なんてしないわよね? わかったでしょ? やるしかないって」
「ええ、ええ……そうですね。私達の星をあんな風にされてはたまりません」

 どんなに無茶でもやるしかない。その共通認識が出来てよかったよ。

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