美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω111

「お、上がった」

 私は空に上がった光の柱を見てそういった。これで五つくらいだっけ? 結構な数ではなかろうか。あと幾つあるかなんて覚えてないが、カンガタが反応しないって事はまだなんだろう。けど既に半分は起動してる筈。流石に十とかはなかった筈だしてね。

 下を見ると、少ないが、ちょっとは世界樹の根が動いてるのが見える。クリエイトを追ってるんだろう。どうにかしてあげたいが、それは多分目の前のアラガタを追い詰めればどうにかなりそうではある。

 けど……それはとてもむずかしい。それだけアラガタの奴は強い。私とカンガタの二人係……まあ殆どわたしは手をだしてないが、一応マナとかで支援はしてる。でもそれでもアラガタには正直届きそうもない。アラガタとカンガタは元は同じ存在だったというが、力は対等じゃないみたい。

 そもそもがアラガタから切り離された方がカンガタの様だし、本体的なのはアラガタのほうなんだろう。それに世界樹の根も率いて、この世界を与えられた権限を持ってるのか、アラガタに疲れなんて物は全然見えない。なんとかカンガタはやり過ごしてるけど、このままじゃ不味いのは私でもわかる。

 この星の地にいる限り、この星のマナをアラガタは無尽蔵に使えるんだろう。生物がいないから、私達の地ほどのマナがあるわけないんだけど、それでも世界樹が供給するマナは膨大だろう。何か生贄みたいなのも食ってたし、直ぐに枯渇するなんて思わないほうがいい。

 別の星を既にこの星は食ってるんだよね。普通は世界は自分たちの中でマナを回してく物だと思う。だって別の星なんて普通は一生縁のないもののはずだからだ。けどここには生物なんていない。マナは全ての生命の源だけど、生命がいないなら、普通は世界樹だって存在なんてしなさそうなものなんだが……この星はなかなかに歪だと思う。

 マナは世界を循環する。けど、ここのマナはそうじゃなさそうだ。使えば使う分、そのマナを消費してるんじゃないだろうか? だからこそ、今度は私達の星を狙ってる。食おうとしてる。ここでつぶさないと、私達の星、そして更に違う星と星々を食らっていく。

 実際、私達にかかわってこないのならどうでもいいんだけど、この星の次の獲物が私達の星なのだ。面倒だけど、相手にするしかない。カンガタがアラガタを倒せる程に強かったら問題なかったんだけど……

「ぐふっ……」

 既にカンガタはボロボロだ。そもそも私のマナを無理矢理力に変えてる反動だって相当だろう。私のマナとカンガタのマナは全然違う。それなのに無理矢理でも力に出来てるこいつがそれだけで凄い。流石はかつて星を与えられた種だ。その強靭さと適応力はまさに種の頂点にたった事もある奴ってことなんだろう。

 けどだからってそれは緊急処置に変わりない。相手は完全に馴染んだマナを無限に体に宿す自分自身みたいなもの。無理矢理な力を使ってる方と、馴染んだ力を無制限に使える方……どっちが有利かなんて考えるまでもない。やっぱりここから早く離れる必要がある。
 それにはクリエイトの頑張りがかかってる。

(早く! クリエイト)

 私はそう届かないだろう願いを思う。

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