美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω102

「どういう事ですかこれ?」
「どういう事だ貴様? 我に何をした!?」

 私だけじゃなく、なぜかカンガタさえもラーゼ様に詰め寄った。まあ勝手に体を動かされたのは彼だし、確かに正当な権利がある様に思える。けどそんな私達の詰め寄りにもラーゼ様は動じない。

「ほらほら、次来るわよ。そういう事は落ち着いてからにしなさい」
「くっ! これは世界樹そのものだそ。この星がある限り尽きる事はない!」

 なんだかんだ言いながらカンガタは私達を守ってくれてる。いや、私はついでだろうけど……でも実際にはちゃんと私達は守られてる。

「あんた、宇宙まで行ける?」
「なるほど、確かにそこなら世界樹から逃れられるな」

 宇宙……それは星々が漂ってる空間だ。確かに星から離れる事ができれば、世界樹の根だって追ってはこれないだろう。けどそこって私達が生身でいって大丈夫な所だったっけ? 

「なら早速」
「いや、無理だな」
「何よ、今さら出来ないって言う気?」
「そうじゃない。我なら宇宙など容易い。だが、ここは……いやこの都市がある場所は我の片辺が想像した場所だ。易々と抜ける事は出来ん」
「片辺ね……」
「我を切り離した我は『アラガタ』全ての世界を統べる力を欲する欲の権化だ」
「自分の事は自分で何とかしなさい」

 確かに……とわたしはおもった。だってそれってカンガタとアラガタの問題で、元は一人だったわけだよね? 抑止力的なカンガタが煩わしくなったから、自身から分離したのだろうか? そんな事、普通は出来ないが、この種は過去の世界を勝ち抜いた上位種だ。

 私達には非常識だと思える事が出来たってなんら不思議はない。ラーゼ様の言葉にカンガタは少し凹んだのか声のトーンが落ちた。

「主の言う通りだな。だが……」
「だがも何もないわよ。あんたはどうしたいのよ? なんで封印されたの?」

 その言葉に一瞬カンガタの動きが止まり、そこに世界樹の根が突っ込んだ。吹き飛ばされるカンガタ。

「ちょとおおおおお!」

 私は大きな盾がなくなってそんな声をだした。けど直ぐにカンガタは戻ってきて根を打ち払う。一瞬焦ったが、頼りになる奴である。そして戻ってきた奴は何かテンション高かった。

「そうだ! 我は奴を止めなければならぬ。この星を……救えなかった責任を取らねばならぬのだ!!」

 それからのカンガタは凄かった。まさに嵐の様に世界樹の根を叩き引きちぎり、ぶっ壊し続けてく。そのあまりの勢いに世界樹の根がこのままじゃじり貧ではないかと思ったのか、勢いが落ちてきてる。

「好機!!」

 それを見逃がさずに、カンガタは私とラーゼ様を腕の一つで抱えてこの無重力の空間を飛び出す。眼下に広がる都市が見える。けどこれ以上はいけない。アラガタが作ったこの空間を破らないと、宇宙まではいけないんだ。一体どうすれば?

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