美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω84

 鎧の指をあてた部分から光が走って少しだけ棚が開く。どうやら後は手動のようだ。私は少し開いた棚の隙間に指を差し込んで残りを引き出す。中からはなにかひんやりとした白い煙が同時に出てる。棚は最後まで引くとロックがかかるのか、飛び出したりはしない様になってた。

 とても作りがしっかりしてる。引き出された箪笥の棚の一つの中には……何かがあった。それは何か……としかいえないものだ。
 白い煙の様な中でホワンホワンと淡く光ってる。

「なんでしょうかこれ?」
「ちょっと待ちなさい」

 ラーゼ様に言われたから私は伸ばした手を止める。宙ぶらりんの手を持て余しつつ、私はラーゼ様に顔を向ける。するとラーゼ様はある物を指さした。

「それ使った方がいいんじゃないの?」
「なるほど」

 それは鎧の腕だ。確かに何が仕込まれてるかわからない。それにここの物はこの鎧に反応してるし、これを使って触る方がいいってのは一理ある。なので私はその鎧の腕を装着してみた。とても大きくて、一つの指に私の場合は二本の指が入った。

 けど一応これでも親指と人差し指と中指は動かせる。三本動かせればもちあげることも出来るだろう。とりあえず鎧の腕でコンコンと触ってみる。何も起きない。もしも自身の体で接触してたら別の事が起きたのだろうか? なんか怖い。

「なんでしょうねこれ……」

 指を開いて取ることを試みてみる。結構薄い? 指を下に滑り込ませようとするが、うまく行かない。指が太いからだろう。しょうがないから思いっきり開いて厚みがある所を三つの指で引っ掛けて取ることにする。物凄く力を入れて頑張って箪笥から引っぺがした。

 いや、抵抗はなかったよ。けどこの重い鎧を使う事が大変でね。取り出したものを私たちはみる。それは鉄製の薄い板? の中心に青い鉱石が嵌められてた。

「これは……なんでしょうか?」
「これの中に何か情報でもあるんじゃない?」

 カード型のデータ記憶装置ならこちらの星にもあるからラーゼ様はそういったんだろう。確かにそう考えるのが普通だけど……こんな所に? って気もする。ここってそんな重要そうな場所じゃないだよね。そこに重要なデータなんてあるとはおもえ無い。

「あの……何かおかしくないですか?」
「何が?」
「ええっと、そういわれましても困るのですが……何か……さっきとちがうような?」

 車長さんが何やら容量を得ないこと事を言う。けど、ちょっとわかる気がする。何か……違和感がある。わからない……わからないからわたしは他の棚も開ける事にした。そして他の棚にも同じ様なカードが入ってた。更にそれを取ってその違和感がわかった。

 それは色だ。カードを取り出すと、この建物から色が失われたんだ。

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