美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω48

 私は対戦相手のアンティカの前までまっすぐにきた。そして身動きが取れない向こうのアンティカに向かって大きく腕を広げる。何をするのかって? そんなの決まってる。この機体のピカイチのパワーを効果的に敵機へとぶつけるのだ。

 私は敵機を抱きしめる。そしてガギギギギと向こうの機体からは軋む様な音が響きだす。けどまだまだ、まだこのアンティカのパワーはこんなものじゃない。早く降参しないと本当にペシャンコになってしまうよ? まあ流石にそれはしないけどね。
 だって殺すなんてダメでしょう。ちゃんと向こうが降参してくれることを期待してる。

バキバキバキ――

 と、更に向こうの機体から音がする。流石に脆そうな羽が砕け散った。けど流石に脆すぎじゃない? 本当に飾りだったのかもしれない。だって飛んでる時も別段あの羽、動いてなかったしね。カッコよかったからつけてただけ? 浪漫しかない装備だったのだろうか?

 でも流石にフレームを囲う装備は固い。細いが固い。けどそれでもやれるはず。このアンティカなら。こうなった以上向こうのアンティカでは詰みだ。さっきから何度も降伏勧告をしてるんだけど、意地なのかなんなのか、向こうは降伏しない。流石にここからメキメキしていったら、自身の身の危機が伝わるだろうから、ちょっと脅すつもりでやってみよう。

 私的にもこれで終わりはなんか消化不良なんだけどね。折角の珍しいアンティカだ。もっと動かしたい。そんな気持ちがありつつも、負けるのは嫌なので力を籠める。具体的には、アンティカの関節部が回って光りだす。甲高い音がここまで響く。
 不快だが、この機能でこのアンティカのパワーは二十倍に膨れ上がる。元々が通常のアンティカよりも十倍くらいは力があるアンティカである。その代償にスピードを犠牲にしてるが、更にその二十倍だ。このままこの敵機をペシャンコに出来るパワーがある。

 向こうの腕の装甲が砕け、フレームがあらわになる。流石にこう降参するでしょ? とか思ったが、逆になにかやる気が出たかの様に向こうのアンティカの目が光った。その瞬間だ。色が再び変わりそうになるかの様に極彩色に瞬いてる。

「何? ――え?」

 するといきなりいきなり力を込めてた腕が自分に当たった。そのせいがガゴン!! と凄い衝撃が伝わってきた。こんな強大な力だったんだ。これは死ねる……とかおもったが、そんなばあいじゃない。わたしは頭を振って雑念を振り払い周囲を確認する。

「んな!?」

 何かがちょっと先に蠢いてた。それはドロドロというかモニョモニョというか……とりあえずなんかきもちわるい。それは次第に形を整えていき、そしていろが定まると、さっきまでのアンティカの形に戻った。

「そんなの……あり?」

 あんなむにゃむにゃ出来るとか反則だ。けど、面白くはある。そもそもあれは攻撃には使えないよね? どっちも工夫でどうにかしないといけないかな? 楽しくなってきたと思った。

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