美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω46

 私はアンティカに乗っている。いきなり何事かと思うかもしれないが、別段これは突飛な事ではない。ネジマキ博士はアンティカの権威で私はアンティカのパイロットだ。それを考えれば、これが自然な事だとわかって貰えるだろう。

 そう、ネジマキ博士はアンティカを作り、私がそれを乗りこなすのは当たり前の様な当然な事。ただいつもと違うのはこの子はゼロではないという事だ。まだなんの補助AIも入ってない素のアンティカ。見た目はカタヤ様が乗ってる奴に似てるだろうか? ただ外装は金色ではなく、黄土色といった感じだ。

 それにかなりの重装甲で比較的細身のアンティカしか見てこなかった私には新鮮だった。この子の装備は両腕に装備されてる盾と、背中に備え付けれてる円形の刺々した武器だ。軽く目を通した限り、かなり装甲が厚い、防御特化したみたいなアンティカだとわかる。

 けどアンバランス差もあるんだよね。腕についてる盾は両腕を合わせてと一枚の大きな盾になる。けどそうなると完全に攻撃は捨てる事になる。背中の武器は振り回したり、投げたりしないと使う事が出来ない。攻撃と防御を両立すると、この機体の性能を完璧に引き出す事は難しい。

 どうせなら腕とか関係なく振り回せる武器が必要なのではないだろうか? そんな事を思ってると、目の前に対戦相手のアンティカが姿をあらわす。それはくすんだ色した……いやなんか色がないという感じのアンティカだった。

 それに細い。けど背中には翼をたたんでる様な装備が見える。でもアンティカは翼なんてなくても飛べる。あれが必要なのかは疑問だ。装備は後は腰に剣がある。でも機甲師団に支給されてる奴ではない。形が違うし。

『準備はいいかね?』
「はい! いつでもどうぞ」
『うむ、ではいいデータをお願いしよう』

 ネジマキ博士はそういって通信をきった。ここは研究所の一室だが、その空間はとても広い。明らかに広すぎるこの空間はエデンの超技術で空間を拡張してるらしい。ここでなら、どんな危険な実験を出来るらしい。だから本気でアンティカで勝負をしても問題はない。

 なにこれは訓練だ。そうただ本気でアンティカの技術を向上させる訓練。ワクワクしまくりである。初めての機体で謎のアンティカの相手をする。相手の情報は伏せられてる。世界には我々が把握してない敵なんていくらでもいる。だから戦闘の中で情報を集めて勝ち目を見つけていくって事だろう。

 そういうの大好きだ。私は舌なめずりをして相手をみる。画面に赤い球が光る。これが合図。青く光ったら戦闘開始だ。油断せずに見てると、目が光った向こうのアンティカに色がついていく。なんだあれ? ただ色がつくだけの機能だろうか? んな訳ないよね? 色がつくとその機体は赤をもっと薄くしたみたい色になった。綺麗で可愛らしい色だ。

 戦場には向かない色だなとおもった。そう思ってる内に青く光る。私は背中の武器を取る動作をする。けどその時には向こうのアンティカが目の前にいた。

「早い!」

 そしてそのまま防御する暇もなく私は斬られた。

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