美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω39

 ダンプはトンネルを進んでた。まさかこんな通路があるとは。エデンは全ての地域を駅で結んでるから勿論ラーゼ様のいる所にも繋がってるのかな? とか思ってた。それか特別な車両と線路が敷かれてるのかと……途中まではダンプでいって途中で列車にでも乗り換えるのかと思ってたが、どうやら直接ダンプで乗り込むようだ。

 今私たちは地下を進んでた。なんと普通の道路を進んでたんだけど、ちょっと郊外の所に行くと、道路が下から開いて隠し通路を開いた。そこに入ってフロントライトと時折ある明かりを通り過ぎていく。不思議な事になんだけど下だけじゃなく上にもいったりしてる。まっすぐ進んだりもする。どういう風にこの通路はなってるのか……

 そんな事を思ってると、ちょっと広い空間に出た。けど流石にここはないだろう。なんもないし……、エデンのお城はとても荘厳な筈だ。なにせ人種の城とか宮殿とは歴史が違う。それに使われてる技術も全く違って魔法の仕掛けとかいっぱいらしい。

 だからここにもそういうのがあるんだろうと思う。

「降りてください」

 そうフクロウが言うからユングと共々降りた。本当になんもない。同じような高級そうなダンプがあるが、駐車場か何かなのか? それならこの質素さも納得できる。私達はフクロウの後を追いかけて壁際にきた。けどこの壁何かあるってわけじゃない。見た感じ、ただの壁だ。

 フクロウはそこに向かって何かを言った。何かという何かだ。多分魔法の詠唱とかだと思う。だって直後に壁に大きな魔法陣が浮かんだ。けど全く聞き取れなかった。フクロウの種独特の言葉? けどそうなると不便だよね? 他の奴が使えないなんて……それほどこのフクロウはいっぱいいるんだろうか? けど私が行動した範囲ではフクロウは他にはいなかった。そういえば獣人と鳥型の奴らって種類違うんだね。獣人は基本地に足着く種族らしい。

「今のって詠唱?」
「どうでしょうか? よくわかりませんでした」

 どうやら私の知識不足って訳じゃないらしい。英才教育を受けてると思われるユングも分からなかったみたいだしね。そんな事をヒソヒソと話してる間にもフクロウは出てきた大ききな魔法陣を触って組み替えてた。多分あれがパスワード的な感じじゃなかろうか? 

 詠唱だけ知ってても利用できない様にセキュリティが組まれてるんだろう。そしてちょっと待つとそれがカチッとはまり、魔法陣がより強く輝いた。

「では行きましょう」

 するとフクロウは魔法陣に吸い込まれる様に消えていく。どうやら入れるようになったようだ。私とユングもおっかなびっくり入ってく。するとそこは四方に魔法陣がある小さな空間だった。狭い部屋の一室くらいの広さかな? 

 そして何やら浮遊感がした。どうやら上昇してる? さっきまで暗いトンネルを進んでいたが、今度は逆に周りが白い。そんな白い空間を進んでると、ある時から外の景色が見えた。

「ええ!?」

 そんな声を出したけどだってこれは……なんかいつのまにか外に出てたらしい。下にはエデンが見える。その表層だ。人が米粒くらいの大きさになってる。あそこには今回は結局行ってない。けどよかったと思える。だってここから見ても人があふれてる。

「まだ上がるんですか?」
「そろそろ捕まえてくれると思いますよ」

 捕まえる? その意味がちょっとわからなかった。そもそもが今私たちは城から距離ある。普通城の敷地内に出る物じゃないのこういうのって。なんでこんなあらぬところに出てるのか? そう思ってると、何やら上に違う魔法陣が現れた。

 ただ上昇してた私たちのいる空間はそれに吸い込まれる様にして消えていく。

「さあ付きましたよ」
「え?」

 次の瞬間には私たちはどうやら城の中にいるらしい。いるらしいというのは入った感覚がないからだ。なんか色々と突飛な事をやってる。あれもセキュリティなのかな? と思って納得しておこう。城に入ったからか、一気に品格が出てきた気がする。凄く大きく綺麗だし、柱一つ、壁一つとっても何やら違う。不思議な光を発してたりするし、どうやらただの岩とかを使って作ってるわけではなさそうだ。

 この先に……あの方が、ラーゼ様がいるんだ。

「もうすぐお会いできますよ。行きましょう」

 そのフクロウの言葉に嫌でも緊張してきた。

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