美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω36

 進化の実験というのはなんとも凄まじい物だった。大きき機械を持ち出して何やらその中でグルグルしたり、変な薬のんだり、まあ様々な事をやってたが、どれも共通してるのは自身を窮地に追い込もうとしてる事だ。変な装置に入った奴も何やらどんどんやせ細って行ったり、変な薬を決めた奴らは目を赤くしてまるで獣の様にバトルしだしたりしてた。

「これ大丈夫なの?」

 と感じた自分は決して間違ってない。だって同じ仲間の兵士達の戦いで部位欠損してる奴とかいた。まあ正気に戻った後に何やら早々にどっか行ったが……まわりの反応を見るに、そこまで慌ててる様子でもなかったからこれがここの奴らにとっては日常茶飯事だとはわかった。
 けど……ね。ことが終わった施設の中は血の匂いが充満してる。ハッキリ言って狂気の沙汰だこんなのは。こんな事を笑ってやってる――流石の私も結構引いた。

「女性には刺激が強すぎたか? やはり理解などは出来ないでしょうなはっはっは!」

 ベンチュウさんはそうやって笑った。彼も彼で色々とやって部下を引きちぎったりしてその体には部下の返り血がついてた。

「進化……とはそれほど大切なのですか?」
「どうやら我等獣人種は他の種に比べて進化に枷があるようなんだ」
「枷……ですか?」
「ああ」
「大昔にな……そんな枷が世界から施されたらしい」
「それじゃあこの実験は意味ないんじゃ?」

 私はこの努力を否定するような事を言ってる。でも仕方ないじゃん。だって他の種はそのままでも人種なんかよりずっと強い。別に進化なんかしなくても彼らはきっと単体でアンティカとやり合えるくらいには強い。特にベンチュウさんなんかはさっきの戦闘を見てその強さがあほみたいなのはわかってる。

 どうやら機能、リングでやり合ったときは全然本気ではなかったみたいだ。何せさっきまでのこの人はその体を二倍以上に膨らませてそれでいて超機敏に動いてた。その動きはこれまで私がみた獣人の中でも一番だ。いやいや、あれで進化出来てないの? と私は思ったよ。

「いや、どうやらその枷には綻びが出来てるらしい。我等獣人も進化できる可能性はある」
「そうなんですか」

 まあここまでやって全く目がないんじゃ救いがないよね。

「それにこれからは更に上位の種と戦闘になっていく。今のままではラーゼ様のお役に立てないからな!」

 そういって熱く語るベンチュウさんは私を見てない気がした。その目にはきっとラーゼ様が映ってる。ここまで慕われるなんて……やはり容姿なのか? だけど種族が違えば美的感覚なんてそれこそ共有されないとかなんとか習った筈だがラーゼ様には適応されない様だ。

 彼女は色んな種を囲んでる。それはエデンを少し歩けばわかる。様々な種がいるからね。普通は人種は見下されるものだ。他種族にとってはただの雑魚みたいな認識でしか以前はなかったはずだからだ。けどそれが全く変わってる。ここまでの人物……わたしは直接会うのがとても楽しみになってきた。

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