美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω28

「なんであんたがいるのよ?」
「ふふ、なんだか新鮮ですね」
「は?」

 どこの琴線に触れたのか、ユングとかいうクソガキはなんだか嬉しそうだ。あれか? 女に蔑まれて喜ぶタイプの性質をもった奴なのだろうか? まだ子供なのに……業が深い奴だ。やっぱり偉い奴は色々ともう普通の行為なんてやり尽くして飽き飽きしてるとか聞くからね。

 特殊性癖に目覚めるのはそんなに珍しい事じゃないのかもしれない。

「けどこの歳でね……」
「あの、なんだか凄く嫌な勘違いされてる気がするんですけど?」
「え? だって私の蔑む様な視線が好みなんでしょ?」
「なんですかそれ!? 違いますよ」

 違ったんだ。どうやらこのクソガキはまだただのクソガキだったらしい。変態クソガキではなかったか。まあそもそも親のカタヤ様とかうぶっぽいもんね。キララ様という奥さんがいるけど、女性の扱いに慣れてる様には見えない。
 英雄だし王だから、寄ってくる女なんてそれこそ引手あまただろうにね。まあカタヤ様もベール様も真面目そうだからね。ベール様なんて今も独身だし……

「ふむ、私は英雄の中でもいっぱい遊んだ方がいいのかな?」
「話の飛躍についていけないんですけど?」
「いや、ほら今の英雄ってどっちもくそ真面目じゃん」
「その英雄の一応な息子がいるのに凄いですね」
「一応じゃん」
「……ええ、本当にデリカシーのなさが凄いですね」

 何かある意味で感心されてる? まあ私って英雄だしね。

「話は戻すけど、英雄は色を好むというわ。二人はまじめだし、一人には奥さんいるし、ここで色を出せるのは私だけだと思うのよね……うふん」
「はっ」

 色を出したら笑われた。殺してやろうかと思った。でもできない。なぜならこいつが権力者の子供だからだ。一応だけど。ここで私はひらめいた。最初に会った時、なんか憂鬱そうにしてた。それの事――

「ん? ねえ、あんたって養子なのよね?」
「そうですね。そこまでズバズバ言う人は珍しいですけど」
「キララ様にはお子さんいるよね? 継承権とかどうなってるの?」
「それはまだ明言してないですよ」

 なんか一段声のトーンが落ちた。やっぱりそこら辺が憂鬱なのか? けどユングはどういう経緯でカタヤ様の養子になったのだろうか? まあ興味もないけど。

「そういえばなんであんたがついてくるのよ?」
「僕も今見識を広めてるんです。エデンにはいきたいと思ってたので丁度いいかと思いまして。一人ではなかなか許可が下りなかったんですけど、信頼できる貴女とならと」
「私はベビーシッターじゃないだけど?」
「僕と行く方がいい事があるかもしれませんよ」

 なにか意味深を事を言ってくるユング。そういって彼は先にゲートに入っていた。ここで私だけいかないなんて選択肢はない。だってエデンにはいきたいからね。なので私もゲートに飛びこんだ。

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