美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
閑話17
「簒奪者が! ぼ……僕こそが正当なる王位後継者だぞ!! ずっ頭が高い! 控えろ!」
偽りの玉座に座った少年がそんな事をいってくる。なかなかに立派な子だと思った。だってこっちはアンティカで現れたんだ。この時点で周りの愚かな老人たちの様にへなへなとなってもおかしくない。てかそれが普通だろう。
人は、人が弱いと知ってる。それが大人なら猶更。子供だからなのかもしれないな。自分が特別だと、この老人たちに言われて、そしてそれを純粋に信じてるんだろう。
愚かだというのは簡単だ。けど彼は子供で、そして本気で人種を憂いてる。立派な子だと思う。簡単に王位とか投げ捨てた前の王子たちよりもよっぽどだ。震えてるが、逃げだしたりはしない。
でもこいつらと共に居させてると、この子には破滅しかないだろう。今まさに破滅しようとしてるしな。とりあえずこの老人たちが死刑台送りなのは確実だ。ここまでやって、許されるなんて思ってないだろう。でも彼は……ただ利用されただけだ。
この老人たちには神輿が必要だった。その神輿に選ばれた哀れな子。でももし、彼が本当に王族の血を引いてるのなら……
「君が真に王家の血を引いてるのなら……僕は君にその称号を返す事に反対はしない」
「そう……なのか?」
まさかそんな返答がかえってくるとは思ってなかったんだろう。キョトンとしてる。そしてこの発言を聞いて周りの老人たちが息を吹き返した様に調子いい事を言ってくる。
「おお、やはりカタヤ殿はあの女……いや魔女に利用されてただけなのですな」
「もしや、我らの所に真っ先に来たのも、我らと心が同じな為か!」
「おおお! 英雄と共に真の王家が立てば、御旗はこちらにありますじょ!」
全く、老人は自分たちの妄想に直ぐに入る込むな。それにあの女とは一体どっちなのか? 女王になってるキララか? それともラーゼか?
「貴方がこちら側にきてくれるのですか?」
そんな少年の言葉。彼はキラキラした目を向けている。でも、僕にはそちら側に願える気はない。
「いいえ、その気はありません。勘違いしないでください。貴方が本当に王家を継いでるのなら、座るべき玉座が違う。それこそが偽りです」
「何をいう!! 奪った玉座こそが偽物じゃ!!」
老人たちが逆上してギャーギャー煩い。こいつらは本当に邪魔だな。黙っててもらおう。アンティカの剣を一振りさせて奴らの口を塞いでおく。
「あなた達は、王家を……国を奪ったのでしょう?」
「そうかもしれません。だけど、人種を裏切ったのは王家です」
「それは……嘘だと」
そういって少年は老人たちを見る。都合のいい事を吹き込んだんだろう。こちらが絶対悪……みたいな感じで……それを言葉で否定するのは簡単だ。けど、言葉で言っても信じてもらえないだろう。証明するには見せるしかない。
そして判断は自分でしてもらえばいい。
「僕は称号を返してもいいといいましたが、それは今すぐじゃない。それには君は幼いし、何よりも何も知らなすぎる」
「そんな事は! ……ない」
思い当たる節があるのか、少年は悔しそうだ。僕が真摯に接してるからか、少しでもこの老人たちに対する疑惑が生まれたのかもしれない。本当によくできた子みたいだ。ただの愚かな調子乗ってるガキなら、こうはならないだろう。
「知ってください。本当に王になるつもりがあるなら、今の現状を。自分は……まあ実際、この立場になりたくてなったわけじゃないんで、君が成長してそれでもまだ王になりたいというのなら、譲りますよ。一緒に世界を見てくれますか?」
「ダメですぞ! 騙されてはダメです!」
再びうるさくなってきた老人たちを更に剣を振って黙らせる。別にここで殺してもいいが、それだと印象が悪くなる。それにこいつらは重罪人として、法の下裁く必要もある。
「私は……行こう。そして貴方を、世界を見極めます」
その顔は既に責任ある物の顔だった。とても十歳前後の少年の顔じゃない。どうやったらこんな大人びてしまうのか……あるいはマジで王子なのかもしれないな……とおもった。
偽りの玉座に座った少年がそんな事をいってくる。なかなかに立派な子だと思った。だってこっちはアンティカで現れたんだ。この時点で周りの愚かな老人たちの様にへなへなとなってもおかしくない。てかそれが普通だろう。
人は、人が弱いと知ってる。それが大人なら猶更。子供だからなのかもしれないな。自分が特別だと、この老人たちに言われて、そしてそれを純粋に信じてるんだろう。
愚かだというのは簡単だ。けど彼は子供で、そして本気で人種を憂いてる。立派な子だと思う。簡単に王位とか投げ捨てた前の王子たちよりもよっぽどだ。震えてるが、逃げだしたりはしない。
でもこいつらと共に居させてると、この子には破滅しかないだろう。今まさに破滅しようとしてるしな。とりあえずこの老人たちが死刑台送りなのは確実だ。ここまでやって、許されるなんて思ってないだろう。でも彼は……ただ利用されただけだ。
この老人たちには神輿が必要だった。その神輿に選ばれた哀れな子。でももし、彼が本当に王族の血を引いてるのなら……
「君が真に王家の血を引いてるのなら……僕は君にその称号を返す事に反対はしない」
「そう……なのか?」
まさかそんな返答がかえってくるとは思ってなかったんだろう。キョトンとしてる。そしてこの発言を聞いて周りの老人たちが息を吹き返した様に調子いい事を言ってくる。
「おお、やはりカタヤ殿はあの女……いや魔女に利用されてただけなのですな」
「もしや、我らの所に真っ先に来たのも、我らと心が同じな為か!」
「おおお! 英雄と共に真の王家が立てば、御旗はこちらにありますじょ!」
全く、老人は自分たちの妄想に直ぐに入る込むな。それにあの女とは一体どっちなのか? 女王になってるキララか? それともラーゼか?
「貴方がこちら側にきてくれるのですか?」
そんな少年の言葉。彼はキラキラした目を向けている。でも、僕にはそちら側に願える気はない。
「いいえ、その気はありません。勘違いしないでください。貴方が本当に王家を継いでるのなら、座るべき玉座が違う。それこそが偽りです」
「何をいう!! 奪った玉座こそが偽物じゃ!!」
老人たちが逆上してギャーギャー煩い。こいつらは本当に邪魔だな。黙っててもらおう。アンティカの剣を一振りさせて奴らの口を塞いでおく。
「あなた達は、王家を……国を奪ったのでしょう?」
「そうかもしれません。だけど、人種を裏切ったのは王家です」
「それは……嘘だと」
そういって少年は老人たちを見る。都合のいい事を吹き込んだんだろう。こちらが絶対悪……みたいな感じで……それを言葉で否定するのは簡単だ。けど、言葉で言っても信じてもらえないだろう。証明するには見せるしかない。
そして判断は自分でしてもらえばいい。
「僕は称号を返してもいいといいましたが、それは今すぐじゃない。それには君は幼いし、何よりも何も知らなすぎる」
「そんな事は! ……ない」
思い当たる節があるのか、少年は悔しそうだ。僕が真摯に接してるからか、少しでもこの老人たちに対する疑惑が生まれたのかもしれない。本当によくできた子みたいだ。ただの愚かな調子乗ってるガキなら、こうはならないだろう。
「知ってください。本当に王になるつもりがあるなら、今の現状を。自分は……まあ実際、この立場になりたくてなったわけじゃないんで、君が成長してそれでもまだ王になりたいというのなら、譲りますよ。一緒に世界を見てくれますか?」
「ダメですぞ! 騙されてはダメです!」
再びうるさくなってきた老人たちを更に剣を振って黙らせる。別にここで殺してもいいが、それだと印象が悪くなる。それにこいつらは重罪人として、法の下裁く必要もある。
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