美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

閑話7

 コランの楽しい一日 見守り編


「はい、ではお願いします」

 私はリング型のデバイスに向かってそういって一息つく。すると再びブレスレット型のデバイスがいくつかの小さな光を点滅し、そして振動もする。私はデバイスをなぞってそれに出る。

「コランちゃんが一人でお出かけするなんて本当ですかクランさん!? 色んな所に根回しをしないと!!」

 そんな声が聞こえてきた。そして一人だけじゃない声も聞こえる。

「犬一さん、既にこちらで連絡できるところにはしておきました。ですが、今日はフィリー様もミラ様もお出かけになるようですし、少し足りないかもしれないですね」
「それなら冒険者も駆り出そう。幸い僕たちは冒険者には詳しいからね」
「……そうですね」

 そういえば彼らは冒険者でしたね。確かに彼等なら依頼を出せばなんでもやってくれます。けど……

「粗悪な人達がコラン様においたをしないか心配ですね」
「ここの冒険者達はそんな奴らはいないですよ」
「冒険者なんて盛りのついたオスではないですか?」
「凄い偏見ですね」

 偏見も何も私が見てきた冒険者はそんな奴らばかりだったのですけどね。荒くれ者たちが更に武器を持ってるというのが既に危険だと認識してほしいものです。か弱い女性は武器までもった男性になすすべなんてないのです。

「大丈夫ですよ。皆、プリムローズのファンですからね。手を出したら周りからどう見られるかわかってるし、それにラーゼ様に逆らうような事はしませんよ」
「まあそれはそうでしょうけど」

 確かに人手が足りないのは本当です。プリムローズの人気は本当にすごいですから、用心はいくらしても足りないくらい。なので不本意でも冒険者を使うしかないでしょう。それにコラン様はラーゼ様の所に行くのならエデンまでいけば安全です。あそこは人種が少なく他種族が多いですが、他種族は絶対強者に従うっていうのがなかなかに徹底されてるみたいですからね。

 ラーゼ様に敵対するような事はしないでしょう。

「ここからゲートまではそう距離もないですから、そこまでなら距離もそんなにないので大丈夫ですよ。ゲートに連絡は?」
「それはこちらからしておきました。冒険者の方はそちらで頼みます。屋敷周辺はまだ何とかなりますが、それ以降は頼みます。コラン様の歩幅は小さいですが、純粋が故にどんな行動をとるかわかりません。全てを網羅させてください」
「す、全てですか? それでは冒険者が何人必要になるか……」
「はあ」

 何をいってるのかこいつは……と本気で思います。これでもプリムローズのマネージャーですか? 彼女たちは国の、いえ人種の宝ですよ。それを守るのに躊躇うなんて……ばかのやることです。
 私は言ってやります。

「全て、雇えばいいじゃないですか。そこにいる冒険者全てね」
「お金は……」
「領収書を切っといてください」

 私はそういって通信を切った。

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