美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

√98

 三日はあっという間に経った。その間はもうてんやわんやだっただけど……その話は別にいいよね。問題はどうなったのか、これからどうなるのか……簡単に言うと、私は人種の女王になろうとしたけどやっぱりやめて、その地位はアホな宗教を広めてたキララになってもらった。

 そして王にはなんとカタヤである。キララの伴侶としてそして、次の人種の頂点として英雄として尊敬を集めてたカタヤに聖女として名が広がってたキララは都合が良かったのだ。カタヤを結婚させてあのブラコン魔王は大丈夫なのかって? 
 それは大丈夫。なにせ、その提案をしてきたのが魔王ミリア自身だからね。ブラコンだけど、そこまで重度のブラコンではないらしい。それにまあキララならいいか……みたいな。まあいきなり結婚することになった二人は大慌てだったけどね。

 まあキララは有頂天、カタヤは色々な事を飲み込んで……って感じだった。元居た王様? 更に王家の皆さまには田舎にご隠居願ったよ。あと、キララが女王になったことで中央がファイラルに移った。そもそもが大きかったから問題はない。
 いや問題は大いにあったけど、私には関係ない。そして表向きに魔王ミリア率いる魔族達とは同盟を結んだことになった。民衆の色々な混乱は、これまた私には関係ない。とりあえず中央がファイラルになったことでファイラルはキララにあげた。

 では私は流浪の身になったのかというとそんな訳ない。私は超法規的治外法権の地となったエデンの主となったのだ。いやもともとエデンは私の物だけど、エデンは人種の領域というか、国の一部とかにはならない様にしたのだ。そしてまあ、私はそこのトップとして人種と魔族と同盟を結んだ。三国で同盟である。
 まあ、私の所は国と呼べる程、人数いないけど。けど私について来てた人種以外の種は結構こっちに移ってきたし、ネジマキ博士とか科学者たちも結構こっちにきた。ほんとうならネジマキ博士とかそれこそ機密を大量に保持してて更には人種の切り札を開発してる様な人材を他国へやるとか考えられないが、ほらキララだからね。

 それに別段、別れたって気はしないんだろう。事実、エデンはファイラルの上空に鎮座して、いつだって行き来できるようにゲートいうワープ装置を設置してる。私は別段今までとかわってない。これからを思うと憂鬱だが、色々と担ぎ上げたキララとカタヤに押し付ける事が出来たので、今はまだ楽だ。

 結局魔王と手を組むことになったけど、私も魔王ミリアもどうにかして倒したいとは思ってる。魔王的には世界樹を完全に掌握したいだろうし、私的には特別感が薄まったのがね。魔王の事を民衆に公表すると、案外人種から好意的だったのも以外。
 まあミリアはカタヤの妹でそれなりに有名だったのもあるし、あの見た目だからね。やはり美しいというのは女の武器だよね。

「ゼル……」
『なんだ?』

 私はゼルに寄り添って風を浴びてる。ここは最初に会った草原だ。気持ちのいい風が吹いて、あたたかな日差しが私たちを包んでる。ここには私以外はこれない。普通に外なんだけど、なんか特殊な事がしてあるみたい。

「なんか私の特別感が薄れちゃったから、ここらでもうちょっとゼルの力を理解しようと思ってね」
『それで一緒に寝てるのか?』
「いいでしょ? こんな美少女と添い寝してるのよ」
『悪くはない。そうだな我らは遠いようで近く、近いようで遠かったからな。存分に浸れ。我が力に』
「そうさせてもらうわ」

 ゼルの力は強大だ。けどそれを使える程に私の肉体は強くはなかった。でも私も成長してる。沢山の事を学んできた。そして掌握したエデンの知識。大丈夫、私の価値は魔王なんかに埋もれはしない。さて、ここからは修行編かな!

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