美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

√61

「させない!!」

 そういって魔族の女に女性騎士が切りかかる。二人には世界の守りがある。だからこそ決着はつかない。彼女か前に出るおかげで、今以上の損害が出るとこはない。だがそれでいいのか……男として、そして騎士として……今や援軍もいる。使えるのかわからない小さな援軍だ。だが、この場面で投入してくるのなら、使えない訳ない。だが下手に近づくのは危険だ。あれはどちらも世界の守りがある前提で立ち回ってる。
 防御なんて自分では考えてない攻撃を女性騎士は繰り返してる。

「わかってないようだけど――」

 そういって魔族の女は剣を無造作に受け止める。それは今までの攻撃が全くの無意味と語るに等しい行為。いや、実際そうだろう。世界の守りを抜ける訳がないんだから、剣での攻撃なんて無意味。魔剣の筈なんだが……

「がはっ!?」

 魔剣を受け止めた魔族の女は剣を無造作に投げて、それを取られまいとする女性騎士も一緒になげられた。そしてその体はクリスタルウッドへとあたった。肺から空気を吐き出す女性騎士。だが空気を求める喉を今度は確実に女魔族が押さえつける。

「――あんただって対象よ」

 どうやら世界の守りがある状態でも絞めるのは有効なようだ。女性騎士は苦しそうだ。

「撃て撃てえええ!」

 その号令と共に騎士たちが銃を撃つ。だがやはり世界の守りがあるから意味をなさない。

「体当たりして突き飛ばすか」

 確かにそれが有効かもしれない。一定以上の危機だと守りが発動するが、ただ体当たりなら守りはきっとはつどうしない。でもそれにもリスクがある。それは普通の騎士達には守りは無いって事だ。いや、フルプレートの鎧は頑強だ。だが、それを紙の様に破る種がこの世界にはいる。あれもきっとその部類だ。そもそも人種が接近戦を挑むのが間違っている。今、あの魔族の女は女性騎士に意識を向けてるか。

 本当に完全にそうなのかは……やってみるまでわからない。タックルを仕掛ける騎士は命がけになる。勿論騎士達は死ぬ覚悟くらいは決めてるだろう。けど死ぬのか怖くないわけじゃない。

「俺が行きますよ」

 そう一人の騎士言う。それに体長格の騎士が頷いた。

「やってくれるか」
「ええ、ちっとばかしあいつに男を見せるチャンスなんでね」

 立候補した騎士はそういって女性騎士の方をみる。すると女性騎士がクリスタルウッドの幹へとめり込んでた。いや、表現的には侵食されてる? という方が正しいかもしれない。

「なっ!?」

 急いだほうがいい。そう判断した騎士は直ぐに駆け出す。

「待ってろ、直ぐに助けてや――」

 そう呟いてた騎士の横を何かが通り抜ける。それは小さく、そして素早い。それが一気に女魔族に群がった。

「なっ、なによこれ!?」

 そんな動揺を現す女魔族。そして突如「ふひっ」と言って笑いだした。どうやらあのぬいぐるみ達がくすぐってるようだ。


「ちょっ! それっは――反則」

 騎士は今が好機だと思って女性騎士へと近づいた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品