美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
√7
船から降りると沢山の人達がいた。荷馬車数台なんて人数じゃない。これは自分たちの領の大半がここにいるのでは? って人数だ。数えるのなんて不可能……飛空艇もいくつもあるし、どうやらかなりの人員を割いて救出してくれたらしい。
「こんなにも……」
そういうセイの声は険しい。でもそれはどこか憎しみがあるような……いや気のせいだな。
「でもこれだけの人数どうするんだろうな」
こんなに増えたら食糧とか……色々と気になる。自分の村は食糧の貯め置きなんてそんなになかった。そもそもが毎日ひもじかった。誰かに分け与える食糧なんて……それに元々すんでる人たちに迷惑とか……そんなことをおもってると、誰かが出てきた。少し高くなった台に上がったその人は……なかなかに頭が寂しい感じだった。それに疲れが顔に出てる。
「えー皆さん。無事ファイラル領にお越し頂き、ご苦労様です。色々と混乱はあると思いますが、こちらとしてもしっかりとご助力していきますので、ご安心ください」
そんな事を丁寧に言ってくれる。なんという腰が低い人だ。村にたまにくる街の偉い人は大抵偉そうだった。小汚い村人を見下してる感じがあった。けどあの人にはそんな感じは受けない。きっと偉い人なんだろうに……
「何故にこんなに良くしてくれるのか、皆さん不安でしょう。ですがこの領のラーゼ様は寛大な方なのです。路頭に迷う民を放っておく事など出来ない方。そんな方が治める領なので安心してください。ラーゼ様は出来うるならばあなた方の土地も取り戻す気もあるようです」
そんな言葉が出ると、救出された人たちからは歓声とも呼べる声がたつ。それはそうだろう。だって故郷に帰れる日が来るかもしれないんだ。魔物に蹂躙された光景はいまでもはっきりと焼き付いてる。あれを思い出すと、もうあそこには戻れないと思ってた。
でもその可能性がある……けど自分は複雑だった。そして視線はセイへと向く。
「とりあえずは皆さま、難民登録を行ってください。それから皆さまが生活できる住居をご用意しておりますので、そこでお休みになられてください。翌日からは皆さまに仕事を紹介出来る場所を用意しておきます」
なんと住む所まで提供してくれて、更に仕事も紹介してくれるらしい。とりあえず別の領に行くということを考えてたわけだが、それから先の展望なんてのはなかった。仕事は見つける気だったが、住むところなんてそんな簡単に見つからないだろうと思ってた。
だが、なんと用意してくれるらしい……どれだけ至れり尽くせりなんだ。
「「「感謝します……感謝します」」」
そういって何人もの人たちが膝をついて手を胸の前で組んで祈りをささげてる。実際自分もそれをするべきだろうか? けど、セイが微動だにしない。とても不機嫌そうな顔をしてる。ここまでされて不機嫌になる理由なんてないと思うが?
「どうした?」
自分は小声でそう聞いた。
「ううん、ラッキーだね」
セイはさっきまでの顔が嘘の様な笑顔を見せる。その笑顔が見れたから自分は満足だ。寛大な領主に感謝をしつつ、自分は目の前のセイに見惚れてた。
問題が起こった。難民登録の際、セイとの関係を聞かれた。なんといえばいいのだろうか? それにセイは自分の横にいるのに、自分の事は名前以外いわない。地方の農民なんて文字なんてかけない者がほとんどだからファイラル領の人が代筆してる。
名前以外を言わないセイは自分の手をそっと取ってこういった。
「夫婦です」
ぎょっとした。けど嫌な感じはしなかった。それから何やら色々と質問された。二人はいつか夫婦なのかとか、なら彼女も同じ場所の出なのか……とかだったとおもうが、なんか浮かれてて適当に答えたかもしれない。代筆してくれてる人も自分たちを夫婦と認めてくれたから多分問題はなかったんだろう。
これで晴れて自分たちは夫婦となり、ファイラル領で生活できる事に相成った。
「こんなにも……」
そういうセイの声は険しい。でもそれはどこか憎しみがあるような……いや気のせいだな。
「でもこれだけの人数どうするんだろうな」
こんなに増えたら食糧とか……色々と気になる。自分の村は食糧の貯め置きなんてそんなになかった。そもそもが毎日ひもじかった。誰かに分け与える食糧なんて……それに元々すんでる人たちに迷惑とか……そんなことをおもってると、誰かが出てきた。少し高くなった台に上がったその人は……なかなかに頭が寂しい感じだった。それに疲れが顔に出てる。
「えー皆さん。無事ファイラル領にお越し頂き、ご苦労様です。色々と混乱はあると思いますが、こちらとしてもしっかりとご助力していきますので、ご安心ください」
そんな事を丁寧に言ってくれる。なんという腰が低い人だ。村にたまにくる街の偉い人は大抵偉そうだった。小汚い村人を見下してる感じがあった。けどあの人にはそんな感じは受けない。きっと偉い人なんだろうに……
「何故にこんなに良くしてくれるのか、皆さん不安でしょう。ですがこの領のラーゼ様は寛大な方なのです。路頭に迷う民を放っておく事など出来ない方。そんな方が治める領なので安心してください。ラーゼ様は出来うるならばあなた方の土地も取り戻す気もあるようです」
そんな言葉が出ると、救出された人たちからは歓声とも呼べる声がたつ。それはそうだろう。だって故郷に帰れる日が来るかもしれないんだ。魔物に蹂躙された光景はいまでもはっきりと焼き付いてる。あれを思い出すと、もうあそこには戻れないと思ってた。
でもその可能性がある……けど自分は複雑だった。そして視線はセイへと向く。
「とりあえずは皆さま、難民登録を行ってください。それから皆さまが生活できる住居をご用意しておりますので、そこでお休みになられてください。翌日からは皆さまに仕事を紹介出来る場所を用意しておきます」
なんと住む所まで提供してくれて、更に仕事も紹介してくれるらしい。とりあえず別の領に行くということを考えてたわけだが、それから先の展望なんてのはなかった。仕事は見つける気だったが、住むところなんてそんな簡単に見つからないだろうと思ってた。
だが、なんと用意してくれるらしい……どれだけ至れり尽くせりなんだ。
「「「感謝します……感謝します」」」
そういって何人もの人たちが膝をついて手を胸の前で組んで祈りをささげてる。実際自分もそれをするべきだろうか? けど、セイが微動だにしない。とても不機嫌そうな顔をしてる。ここまでされて不機嫌になる理由なんてないと思うが?
「どうした?」
自分は小声でそう聞いた。
「ううん、ラッキーだね」
セイはさっきまでの顔が嘘の様な笑顔を見せる。その笑顔が見れたから自分は満足だ。寛大な領主に感謝をしつつ、自分は目の前のセイに見惚れてた。
問題が起こった。難民登録の際、セイとの関係を聞かれた。なんといえばいいのだろうか? それにセイは自分の横にいるのに、自分の事は名前以外いわない。地方の農民なんて文字なんてかけない者がほとんどだからファイラル領の人が代筆してる。
名前以外を言わないセイは自分の手をそっと取ってこういった。
「夫婦です」
ぎょっとした。けど嫌な感じはしなかった。それから何やら色々と質問された。二人はいつか夫婦なのかとか、なら彼女も同じ場所の出なのか……とかだったとおもうが、なんか浮かれてて適当に答えたかもしれない。代筆してくれてる人も自分たちを夫婦と認めてくれたから多分問題はなかったんだろう。
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