美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
Δ164
「そんな……」
大破した船の元へと降り立つとアンティカがそんな声を拾った。それを発したのは多分ティルだ。ティルの震えが僕には見える。ティルは優しいから……船にも船以上の感情を持ってたのかも。生きてたしな……まだ船には待機してた奴らもいたはずだが……そうおもってると、アンティカが別の部分をピックアップして大きく映してくれる。そこには待機組の姿があった。
どうやら大破する前に逃げだしてたようだ。
(よかった)
そう思う。けど安堵してる暇はない。なぜなら、僕達は追い詰められてるからだ。このままじゃ、ここから逃げることが出来ない。皆、まだ仲間が生きてた事への喜びでその事を見てないが、すぐにわかる事実だ。
「ラジエル、いいですか?」
そういって浮いてきたのは姫だ。今の僕は話すことが出来ない。それをわかってても何かいうことがあるのだろう。
「私たちの船はこの通りです。けど、ここにはもう一つ船がある筈、それが貴方ならわかるのでは?」
もう一つの船? その言葉に僕はハッとする。それはきっとラーゼたちが乗ってきた船だろう。
(確かにラーゼたちの船を奪えればここからの脱出は可能だろう)
僕は上に上がり周囲を見回す。見える範囲に奴らの船は見えない。けど一応アンティカに更に広範囲をスキャンしてもらう。だがどうやら近くにはないようだ。それはそうか……ちかくに降りてたのなら、もっと早くにここでもぶつかってたはずだ。今自分たちは川と畑の傍だが、ラーゼ達はどこへと降りたのか……適当に動くことは出来ない。
だって行動の選択のミスが、全滅に繋がりえる状況だ。
「どうやら、場所はわからないようですね」
降りてきた僕は首を振って姫に発見できなかった事を伝えた。どうすれば……当たりをつけて進むか?
(待てよ……おい。おいシズルス!)
ここで僕は奴の姿を初めてみた。前に入れ替わった時はその姿までは見えなかった。いやそもそも姿があるのもおかしい存在ではある。はっきり言えば、その姿は僕だった。多分僕の肉体をまず得た事が影響してるんだろう。だが髪はオリジナルの僕が金髪なのに対して、シズルスは黒かった。格好も同じだが、やはり色は違う。僕が明るい系の色なのに対して、シズルスは暗い系の色でシックになってる。
だけど何故にシズルスは服を着てて僕はここでは着てないのか……これじゃあ僕が変態のようだ。けどこれは別に変態だからじゃない。ないったらない。
そんなシズルスはこの空間で膝を抱えて微動だにしない。僕にはまだ、あいつがどういう状況なのかよくわからない。この地が特殊過ぎて理解できないってのがある。
(なあ、お前ならもっと広範囲を調べれるんじゃないか? 必要な事なんだ! 頼む!!)
僕がそういうとシズルスがこちらを見てきた。自分と同じ顔に見つめられるというのはなんだか居心地が悪い。けどここで目をそらす訳にはいかない。僕は強くシズルスを見つめ返す。
(はは……無理だよ……)
(なんでだ? お前はここの全てを使えるんだろう?)
(その権限はなくなっんだ。上位者に我の権利は……我の……)
そういって拳を握り震えだすシズルス。どうやら冗談とかではないみたい。やはりあのエデンとかが出てきたのはラーゼが全てを得たから……か。
(だけどお前はここの……なんだ? なんかこう内部的な存在だったんだろう? 穴とかつけるんじゃないか?)
実際シズルスの存在をちゃんと僕は理解してない。けど、ずっとここにあったのなら、何か綻びを知っててもおかしくはない。
(穴だと……そんなもの……ここは至高の技術によって作られた楽園……)
無理か……確かにここは凄い。よくわからない技術だらけ……こんな所を作り出す様な奴らは穴なんて物は作らないか。そう思ってると、何やら(ふふふ……はははははは)という声がきこえてきた。
(どうした?)
(そうだな……船……よりも良いものを欲しくないか?)
そういうシズルスは何やら邪悪な顔をしてる。自分の顔がこんな風になるとは……ちょっとショックだ。けどその言葉魅力的だった。
(それで僕たちは助かるのか?)
(現状、助かる可能性はそれしかない)
こいつがそこまで断言するのなら……けど問題もある。
(何をくれるんだ? あんまり色々と探してる暇なんて僕達にはないぞ?)
(探す必要なんてない)
(何?)
探す必要のない物? それっていったい? するとシズルスはこう空間でアンティカの視界を操作して一つの場所を映し出す。
(目指すはエデンを構成する城の一つ。アルス・パレス――あれを、奪う!)
そうシズルスは言い切った。
大破した船の元へと降り立つとアンティカがそんな声を拾った。それを発したのは多分ティルだ。ティルの震えが僕には見える。ティルは優しいから……船にも船以上の感情を持ってたのかも。生きてたしな……まだ船には待機してた奴らもいたはずだが……そうおもってると、アンティカが別の部分をピックアップして大きく映してくれる。そこには待機組の姿があった。
どうやら大破する前に逃げだしてたようだ。
(よかった)
そう思う。けど安堵してる暇はない。なぜなら、僕達は追い詰められてるからだ。このままじゃ、ここから逃げることが出来ない。皆、まだ仲間が生きてた事への喜びでその事を見てないが、すぐにわかる事実だ。
「ラジエル、いいですか?」
そういって浮いてきたのは姫だ。今の僕は話すことが出来ない。それをわかってても何かいうことがあるのだろう。
「私たちの船はこの通りです。けど、ここにはもう一つ船がある筈、それが貴方ならわかるのでは?」
もう一つの船? その言葉に僕はハッとする。それはきっとラーゼたちが乗ってきた船だろう。
(確かにラーゼたちの船を奪えればここからの脱出は可能だろう)
僕は上に上がり周囲を見回す。見える範囲に奴らの船は見えない。けど一応アンティカに更に広範囲をスキャンしてもらう。だがどうやら近くにはないようだ。それはそうか……ちかくに降りてたのなら、もっと早くにここでもぶつかってたはずだ。今自分たちは川と畑の傍だが、ラーゼ達はどこへと降りたのか……適当に動くことは出来ない。
だって行動の選択のミスが、全滅に繋がりえる状況だ。
「どうやら、場所はわからないようですね」
降りてきた僕は首を振って姫に発見できなかった事を伝えた。どうすれば……当たりをつけて進むか?
(待てよ……おい。おいシズルス!)
ここで僕は奴の姿を初めてみた。前に入れ替わった時はその姿までは見えなかった。いやそもそも姿があるのもおかしい存在ではある。はっきり言えば、その姿は僕だった。多分僕の肉体をまず得た事が影響してるんだろう。だが髪はオリジナルの僕が金髪なのに対して、シズルスは黒かった。格好も同じだが、やはり色は違う。僕が明るい系の色なのに対して、シズルスは暗い系の色でシックになってる。
だけど何故にシズルスは服を着てて僕はここでは着てないのか……これじゃあ僕が変態のようだ。けどこれは別に変態だからじゃない。ないったらない。
そんなシズルスはこの空間で膝を抱えて微動だにしない。僕にはまだ、あいつがどういう状況なのかよくわからない。この地が特殊過ぎて理解できないってのがある。
(なあ、お前ならもっと広範囲を調べれるんじゃないか? 必要な事なんだ! 頼む!!)
僕がそういうとシズルスがこちらを見てきた。自分と同じ顔に見つめられるというのはなんだか居心地が悪い。けどここで目をそらす訳にはいかない。僕は強くシズルスを見つめ返す。
(はは……無理だよ……)
(なんでだ? お前はここの全てを使えるんだろう?)
(その権限はなくなっんだ。上位者に我の権利は……我の……)
そういって拳を握り震えだすシズルス。どうやら冗談とかではないみたい。やはりあのエデンとかが出てきたのはラーゼが全てを得たから……か。
(だけどお前はここの……なんだ? なんかこう内部的な存在だったんだろう? 穴とかつけるんじゃないか?)
実際シズルスの存在をちゃんと僕は理解してない。けど、ずっとここにあったのなら、何か綻びを知っててもおかしくはない。
(穴だと……そんなもの……ここは至高の技術によって作られた楽園……)
無理か……確かにここは凄い。よくわからない技術だらけ……こんな所を作り出す様な奴らは穴なんて物は作らないか。そう思ってると、何やら(ふふふ……はははははは)という声がきこえてきた。
(どうした?)
(そうだな……船……よりも良いものを欲しくないか?)
そういうシズルスは何やら邪悪な顔をしてる。自分の顔がこんな風になるとは……ちょっとショックだ。けどその言葉魅力的だった。
(それで僕たちは助かるのか?)
(現状、助かる可能性はそれしかない)
こいつがそこまで断言するのなら……けど問題もある。
(何をくれるんだ? あんまり色々と探してる暇なんて僕達にはないぞ?)
(探す必要なんてない)
(何?)
探す必要のない物? それっていったい? するとシズルスはこう空間でアンティカの視界を操作して一つの場所を映し出す。
(目指すはエデンを構成する城の一つ。アルス・パレス――あれを、奪う!)
そうシズルスは言い切った。
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