美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ140

「ぬああああああああああああああああああああああああああ! そんなそんなそんなバカなああああああああああああああああああああああああああ!!」

 ゼロを通してみる獣人の男がいきなり発狂しだした。それはあまりにも突然で、そしてついさっきまでとの態度の違いに皆が驚いて固まってる。チャンスなんだけど、あまりも唐突過ぎて意味が分からないというのが私達の感想だろう。
 だからこそ、どうしていいかわからない。そもそもあいつにはどんな攻撃も通らない。それが今まで攻撃をし続けてわかったことだ。

「ゼロ……あれは演技?」
『心拍、動悸、発汗、どれを分析してもガチの様です』

 ガチか……さっきまでは涼しげな表情して以下に自分と私達が違うかを意味不明な言葉で語ってたんだけど……なんか自分は神へと至れる存在とかなんとか……愚かで下等な私達は奴には攻撃一つ当てる事は出来ないととくとくと言ってたのに……突如の豹変だよ。

 叫びをやめると、何やら「検索検索検索」と呟いてる。多分他の人達には聞こえないだろう。私はゼロに乗ってるから奴の声を拾えてる。

「ゼロ、計算の結果は?」
『可能性はあります。こちらの攻撃を遮断してるのは断絶された空間です。ですが今の私達にはハステーラ・ぺラスという空間移動の術があります。それを改良し、奴の断絶空間を抜ける……かもしれません』

 可能性でしかないから、ゼロも断言はしてくれない。けど、他に方法はない。ゼロにはそんな破格の攻撃手段はないが、今の敵は所詮人サイズ。ゼロの持つ細い剣でも、人サイズなら一太刀で殺せる。そして今は最大のチャンス。
 迷い時じゃなかった。

「私が行きます!」

 周りにそういって私は前にでる。勢いをつけ、奴に迫る。こっちを見てないし、全然警戒もしてない。けど一応視界を遮るようにハステーラ・ぺラスを前方に大きく広げてゼロの体を隠す。そして姿を隠した段階でハステーラ・ぺラスの異空間に沈む。そして異空間を進み、空間越しにまで断絶された場所まできた。

 ハステーラ・ぺラスの異空間でも超えられない断絶。けど、ゼロが新たなシステムを走らせる。そして私は指示された詠唱した。

 私の魔力も利用して、剣に展開した陣が剣に染み入る様に入ってく。そして輝きだした剣を見てゼロがいう。

『準備完了しました』
「うん、やるよ!!」

 私は腕を後方に引いて勢いをつけてまっすぐに断絶部分に突き刺す。今まではスカスカしてた。どうしても届かないと思えるものだった。いくら手を伸ばしても、そぐ傍に見えても……けっして届かない距離が確かにあった。

 けど、今度は違う。スカスカしてた筈なのに今は確かに感触がある。餅を伸ばしてるかのような感触。私はイケると判断してブーストする。ぶちぶちと引き裂かれてく空間。そして見えた。断絶された空間にいる奴が! 
 私はそのまま剣を向ける。けどその時、奴の声が確かに聞こえた。

「こんなバカげた理……試してみるか」

 その瞬間、ひたっとした感触がおでこに感じた。視線だけを動かすとそこには空間を超えて奴の手がそこにあった。私はとっさに『死』を感じた。次の瞬間、奴の手から陣が放たれたのが見えた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品