美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ137

「って訳だから」
「それはラーゼ様が直接?」
「まあそれが確実だし?」
「ダメです!!」
「シー」
「すっ、すみません」

 私はミラの唇に指を当ててそういった。だって不意を突きたいじゃん。だから静かにしてほしい。ミラは静かになってくれたけど、なんか赤くもなってる。皆私の事好きすぎるからね。しょうがない。でも好きだからこそ、私に危険な事はしたくないんだろう。けどそれはこっちも同じなんだよね。この後のミラの言葉は想像がつく。

「私がやります!」

 ほらね。そういうと思ってた。けどそれは看過できない。だってあのロリッ子の力はまだ未知数の領域だ。戦闘タイプではないっぽいが、姫と呼ばれてるし、何か特別な力があると見た方がいい。その何かが怖い。けど私なら死ぬことはないと思う。
 だから私が行くのが確実だ。けど――

「ラーゼ様は私達の全てなのです! 危険な事なんてやらせられません! これは私でも出来る筈です」
「うんうん、ラーゼ様がやるくらいならミラ姉でいいよね」
「そうねえ~、ミラの方が~いいわよね~。ラーゼ様の代わりはいないもの~」
「そういう事……だが、二人とも少しは心配してもいいんだぞ? 自分が行くとか行っても……」
「いやいや、私姉を立てれる妹ですし」
「立てられた記憶ないが!?」
「私も~ミラが労働担当だもん~」
「くっ!」

 シシもフィリーも身代わりになる気はないようだ。流石ドライの二人である。ミラが既に傷ついてるぞ。けどそんなミラに歩み寄る天使がいる。

「ミラ姉……わた――私が――」
「私に任せろ!!」

 そういってガバッとコランを抱きしめるミラ。コランは涙目になりながら、自分も立候補しようとしてた。けど、コランにそんな事させるなんてできないよね。コランが全部を言う前にミラが抱きしめて止めたのはいうなれば必然といえる。

 まさか狙ってた? いやいや、コランはそんな子じゃない。てか盛り上がってる所悪いけど、私はまだミラが行くことも認めてないからね。

「はっきり言ってミラの防御力じゃ不安なんだけど?」

 私なら大抵の攻撃に耐えられる。私は宇宙一可愛いが、その愛らしさに反してとても頑丈なんだ。だから私が行くのが一番なんだけどね。それくらい皆わかってる筈。

「ですが、アレは未知の相手なんですよね?」
「まあ、そうね」
「ならやはり私が行きます。何かがあってもラーゼ様が倒れるよりも私の方がいいんです」

 ミラの奴は既に覚悟が決まってるような顔してる。こうなるとミラは頑固なんだよね。いや、ミラだけじゃないか。プリムローズの皆はどこか頑固な一面ある。まあ接触は一回だけだ。出来る限りブーストしてあげよう。

「わかったわよ。けど気を付けてね」
「勿論です」

 私はミラとシシの紋章に直接触れてマナを注ぐ。すると二人の体が薄く発光してるようにみえる。

「これで今までよりも強い魔法か使えるわ。ついでに少しは体も頑強になってるでしょう」
「ありがとうございます」

 ミラはそういって頭を下げてるけど、コランはこっちを見ずにロリッ子の方に目を向けてた。無礼なんて思わない。シシは自分の役目を確認してるんだろう。

「ショートポイントは行ける?」
「はい! あれから沢山練習しましたから」

 三人は命がけの戦いから魔法の練習もするようになった。やっぱりぶっつけ本番とか無茶あったよね。簡単に使える様にはしてたけど、熟練度みたいなのはあるだろうし、力をしってれば、応用も効きやすいってのはある。

 ロリッ子はまだキララとアナハと魔法合戦をしてる。とりあえず一回キララにデカいのを放ってもらおう。そしてそっちに意識が向いてる時が勝負だ。キララが詠唱に入ったからアナハがメインに魔法を打つ。私はその魔力が切れない様に魔力を直接供給してあげる。

 ピアスがあれば楽なんだけど……ないものはしょうがない。きっとアナハには結構な負担になってる筈だが、彼女は弱音は吐かない。ただひたすらに魔法を打ちまくる。それはまさに質よりも量。人族の限界を超えた数の魔法の同時発動をやってる。
 これで結構意識を奪えてるんじゃない? と思うが、チャンスは一回だ。確実を期すためにもキララを待つ。そしてキララの魔法が発動する。自分の全方に集めた光。その光の前方に更に魔法陣が幾重にも現れて……そしてキララがほえると共にその魔法陣を通って光は何倍にも増幅されて放たれる。それはまさに光の奔流だった。

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