美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ136

「ラーゼ様は私達の後ろに!」

 そういってシシとフィリーとミラの三人が私の壁になるように前に出てきた。まあ彼女達へとやったのは紋章だったから、もっと私から直接な力というかなんというかだから、ちゃんと力は使えると思う。けどやっぱりそんな強力な物じゃないんだよね。確かにシシの奴とフィリーの奴はまだ使いようはあるけど、この三人の中でリーダーでありアタッカーであるミラの力はなかなか厳しいかもしれない。
 だってそこまで火力何てないからね。そもそもが皆に生きてもらう為に与えた力だし……敵を倒すよりも四人そろって生き残る事を目的とした力だ。

 まあそれは彼女達が一番良くわかってるだろう。私の前に立つのは、いざという時、私の盾になるため。それは嫌だけど、ダメって言って退いてくれるような子達じゃない。ここはなるべく早くうさぎっ子を取り戻さないとね。

(けど、困ったな)

 私は思案する。今、この場にいる奴で肉弾戦を出来る奴はいない。そしてどう見てもロリッ子も魔法タイプ。当然、その場での魔法の撃ち合いになる。けどキララもアナハも攻撃タイプの魔法の使い手ではない。まあキララはあれで万能になんでも使えるし、並みの魔法使いよりも実は攻撃力高かったりする。けどそれは所詮は人種の並みよりは……なんだよね。

 人種の普通の魔法使いが使う魔法何て、下から数えた方が早いくらいの低ランクなものだ。キララは回復魔法なら中級の上くらいまでは使えるけど、攻撃魔法となると初級の中くらいまでだ。あとはそこに魔力を余剰に込めて威力を高める――くらいしかない。

 見たところ、あのロリッ子は普通に中位くらいの魔法を使ってる。普通に中位を使えるって事は、多分上位も行けるだろう。中位の魔法はまだ人種にも防げる範囲ではある。こっちには防御や回復や補助の方が得意な奴ばかりだしね。

 さっきからロリッ子が錫杖を振るたびに水の槍と雷撃が走るが、それらはアナハとキララが防いでる。合間を見てはキララが光線をロリッ子に放つが、向こうにも効いてはない。決め手に欠ける。向こうがなんでもっと上位の魔法を放たないのはわからない。

 規模がデカいからだろうか? てかそもそも、向こうも戦闘タイプって訳じゃなさそうだよね。ちらちらこっち見て、結界にも意識を向けてる所を見ると、多分時間を稼いで結界の破壊を狙ってるんじゃないのかな? けど、この結界はアナハがあのよくわからない陣で張った物。それなりにてこずってるのかも……でもこっちにも決定打がないのは確か……私の力を使って最悪ロリッ子は消し飛ばしてでも……とかおもってたが、さすがにあれだけ密着されてるとね。

 最高のタイミングは待ってるだけじゃ訪れてくれないみたいだ。

「あの、ラーゼ様」
「何コラン?」

 コランが私の服を引っ張ってねえねえしてきた。戦闘中だけど、コランは可愛いからちゃんと聞いてあげる。彼女は少し膝を折った私の耳元に口を寄せてきてひそひそといい案をくれた。私はそれを聞いてコランの頭を撫でてあげるよ。私はプリムローズの面々に密かに今のコランの案を話す。

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