美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ134

 赤いマナとは違う緑色の粒子がハステーラ・ぺラスから出て周囲に溢れる。ハステーラ・ぺラスは異空間へと繋がってる。その異空間にこの粒子を入れてたのだ。それを今、出してる。実際、これで漆黒のアンティカのセンサーを潰せるのかはわからない。

 こっち側のアンティカでは試してるが、どうやら向こうの方が性能良いらしいからね。最大限の警戒をしつつ、けどやっぱりここで仕掛けるしかない。私は粒子の中を進む。この粒子の欠点はこっちにも影響が出る事だ。だから今はとても視界が悪い。

 ゼロのモニターには砂嵐の様になってて、それはセンサー類を切り替えても同じだ。つまりは高価は出てるという証明。私は鉄血種としての感覚を研ぎ澄ませる。この目でなら、ゼロのセンサーに頼らなくてもみえる! 漆黒のアンティカはこの粒子が放たれたと同時に不気味な程に動かなくなってた。奴なら直ぐに脱出を試みると思ったんだが……そこがきがかりだ。

 でもこっちには迷ってる暇はない。だって放ってしまったんだ。勝手にとどまってくれるようなものじゃないんだ。すぐに拡散してしまうだろう。そうなるとこの粒子の効果はなくなる。私は粒子の中を進み、その漆黒の体に触れる。うごか……ない!!

 私は展開してたハステーラ・ぺラスを戻し自信とそして漆黒のアンティカを包む。そしてある場所に移動した。それはこちらの仲間が待ち換えてる場所だ。湖の上空で部隊は四方に展開してる。その中心に私は漆黒のアンティカを落とす。その瞬間、漆黒のアンティカの目が光った。不味いと思って私はとっさにハステーラ・ぺラスの居空間へと逃げる。別の場所に出た。

 その時にはそれは発動してた。複数の魔法使いによる複合魔法。その光の柱が黒いアンティカを包んでる。人種だけではあれほどの魔法は放てない。けど今は他の種の助けもあり、その威力はこれまでよりも大きい物になってる。

  けど流石……というべきか、漆黒のアンティカはその中でも動いてる。光からその手が出てくる。ラーゼのマナの供給があれば、より強い魔法が放てたはずだが、今はそのアイテムは失ってる。あれが今の私達の限界。でもこれで終わりじゃない。

「ぬおおおおおおおおおおおおおお!!」

 そんな雄たけびを上げて、グルダフさんがその斧を手に落ちて来てる。そしてその進路にはいくつかの魔法陣。更に彼は他社からマナを受け取り、その筋肉を更にムキムキにしてた。けど、斧とかはスナフスキンを食ったときの輝きはない。
 やっぱりあの斧を発動させるだけのマナは足りなかった見たいだ。それだけあの斧のマナ消費量が凄まじいんだろう。じゃあどうするのか……その答えがきっとあれだ。魔法陣を通るたびにグルダフさんの体が、武器が大きくなる。

 あれは幻覚なんかじゃない、そういう魔法だ。でも体の大きさと共に動作も緩慢になるし、重量も増える、あんまり戦闘では使いどころがなかった魔法。けどそれを何回も施したグルダフさんは向こうの世界でみた数階建ての建物程の大きさになってる。

 アンティカよりも大きい。そしてそれは斧も同じだ。漆黒のアンティカは光の中から体を半分は出してるが、まだ完全じゃない。その動きは遅い。グルダフさんは両手に持った斧を上から単純に振り下ろす。それは何の変哲もない攻撃だ。
 普段の漆黒のアンティカなら脅威になんてなり得ないだろう。けど今は違った。防御しようとその剣を構えたが、純粋なパワーの元に武器は一瞬も持たなかった。それこそ何か仕掛けがあれば奴は対応できたのかもしれない。

 けど、ただ単純にデカく、重いだけの攻撃に耐えられなかったんだ。そしてそのまま、グルダフさんの斧は漆黒のアンティカの脳天を砕き、体を真っ二つ裂いた。彼が着地したと同時に、大きな波が出来て水面が揺れた。その中でグルダフさんがその大きな口を開いて雄たけびを上げていた。

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