美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ126

「どういうつもり? なんでうさぎっ子を!」
「……邪魔だったから?」

 ラジエルはそういった。そういいやがった。邪魔? うさぎっ子が邪魔? 私は二人がライザップから逃げてどういう生活を送ってきたかはしらない。だから実際はうさぎっ子が邪魔だったというのは本当なのかも……けど、そんな事実は私にはどうでもいい事だ。

 こんな可愛いうさぎっ子を邪険にする奴なんて糞だってことだよ。

「ラジエル……あんたにうさぎっ子は勿体なかったみたいね」

 私はそういいつつ、うさぎっ子を自分の乗ってる籠の方にひっぱりあげる。あくまで自然にね。ぐったりしたうさぎっ子抱えて後ろに下がるだけでそれは出来る。とりあえずこの糞野郎からうさぎっ子を離さないとね。

「ラジエル? ああ……この体の。ふっ、君に私は興味があるんだよ。神の器を持つ君に」
「なんでそれを……ん? あんたそんなマナだったけ?」

 私はラジエルから感じる違和感に目を向けた。うさぎっ子を攻撃した時から薄々感じてはいたけど、ラジエルだしどうでもよかったんだけど……こいつは……この目の前の奴はなんか話せば話す程、ラジエルっぽくない。それにどうしてラジエルが私のこの体が神の器であると知ってる? 
 更に更に私の目から見えるラジエルのマナがおかしいから更に疑惑が強まる。今、ラジエルから見えるマナは地上のマナではない。この約束の地に充満してるマナだ。

 ラジエルの奴はここには多分だけど初めてきた筈……それなのに、マナの全てがここのマナに染まるのはおかしい。

「マナが見えるか。まあそのくらい当然だな」

 そういってラジエルの体がぶれたような気がした。するといつの間にかすぐ近くにラジエルが来てた。

「――っ!?」

 速い! こいつこんな早く動けたの? ラジエルがその手を向けてくる。うさぎっ子を貫いたその血が付いた手が見える。けどそれが届くことはなかった。

『やめなさい。母への無礼はゆるしませんよ』
「メル!」

 大きな手が私とラジエルの間に差し込まれた。私はその間に籠を起動させて展開してステージ上になってた籠を元の形状に戻す。これでひとまずは安心だ。けど、うさぎっ子の傷が深い。キララの奴はどこに? そう思ってると、勝手に籠が動いた。いや、違う。メルがどうやら籠を持ち上げたみたいだ。

(メル、キララの場所わかる?)
『勿論です』

 流石はメル。頼りになる存在だ。けどその時、大きな衝撃と共に籠が揺れた。私は必死にうさぎっ子を抱きしめる。

(一体何が?)
『母、新手です』

 そういうメルの視線の映像を見ると、確かにそこには新手が居た。漆黒と白銀……それぞれにきらめく装備を纏ったアンティカが空に佇んでる。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品