美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ107

『アルス・パレスとの接続を認証しました』


 僕の目にはそんな文字がマジマジと見て取れた。他にも細々とした文字があるんだが、それらは足早にスクロールされて行ってるからなんと書かれてるのか判別はできない。いや、たとえ止まってたとしても、それを理解できる事はきっとない。


 だって僕は、このアンティカの事をよくわかってないのだから。そもそも『アルス・パレス』とはなんなのか? けどそれが大体的に消えずに残ってると言う事は、きっと重大なワードなんだろう。覚えておこうと思った。


『座標確認。同期開始。装備、第一カムイを選択します』


 その言葉を聞いた瞬間。体が開きだす。それは僕の意思を離れての事だった。不思議な感覚だ。僕の意思は確かにこのアンティカの隅々にまで伝わってるのに、勝手に体だけが動く。そして体の周りに魔法陣が展開される。
 その魔法陣はこのアンティカをスキャンするかの様に動き回ると、上下に分裂。そして更にその上下の魔法陣がクロスする。そうして次に見た時、自分の体は変わってた。生身で例えるなら、ガリガリだった筈の自分自身が屈強になってたのだ。


 その体には美しい鎧があった。深い紫色した鎧だ。背後には突起物が七つある輪が浮いていた。


(これは?)
『カムイ装着完了。システムデータを更新します』


 なにも分かってない僕の頭に、いきなり大量の情報が叩き込まれる。それは頭が割れそうな痛みだった。けどそれも数秒。それがやむと、僕はこの装備の使い方を理解する。つれて来てた仲間たちから離れた。浮いてる木から離れるという事は水に一直線……のはずだが、僕が落ちる事はない。


 新たな装備は、飛行能力があった。


「やる気だなラジエル」


 そういってセーファも一緒にきた。ほんとよくわかるなこいつ。まあいくら装備がパワーアップしたからといって、どこまでやれるかわからない。何や敵と思われる生物はいままで見た事もない奴だ。どうやらあの八つの首を同時に消さないといけないらしい。


(ふむ、一つ足りないな)


 そう思ったが、それはセーファに任せよう。僕はそう思って手をかざす。すると背中にある輪からとんがってた物が分離する。そして素早く動き出し。それは素早く味方達の間を縫っていき、八つの頭の内、七つの前に躍り出る。


(撃て)


 その意思が伝わったように、先端を開くそれは光を集めて同時に七つの頭を吹き飛ばした。そして最後の一つはセーファがちゃんと打ち取ってくれてた。流石だよ。そうやって八つの頭の化け物は消え去った。

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