美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ91

「純粋?」
「わかってるわねロリッ子」
「ロリッ子?」


 なんか二人とも疑問符を頭に出してる。うさぎっ子が私を純粋じゃないと思ってるのはわかるが、ロリッ子がロリッ子言われて疑問を持つのはおかしいのでは? まあなんか喋り方からババ臭いんだけど。


『貴様らに何が出来るというのか』


 そういうスナフスキンが更に音を大きくする。流石にロリッ子の錫杖では間に合わない音だ。この音のせいで誰も動けない。いや、亜子だけはアンティカの中に居るからか多少は大丈夫のようだ。アンティカを使って本体に攻撃してるか、それでは埒が明かないと判断したのか、現れてる陣の方へと矛先を向ける。確かにあのネズミの様な姿はスナフスキンであるが、アレを攻撃した所でダメージを与えられると思えないもんね。


 その点陣はここにある。ちゃんと存在してるんだ。だからアレを狙うのは正解だと思う。事実、スナフスキンはゼロの攻撃から陣を守ってる。本体を攻撃されてる時は別段何も動かなかったのに……だ。これは効果的だという証拠。


 けど、いくら亜子とゼロでも、合わせて一つでは攻撃を通せない。単純に一人の攻撃の厚さではスナフスキンのカバーを抜けないでいる。


(でも、不思議だよね。直接スナフスキンを攻撃してた時は、確かゼロの攻撃は煙の様に通り抜けてたのに……今は)


 ちゃんと実体をもってスナフスキンは攻撃を受け止めてる様にみえる。あの体は比較的自由に操作が出来るのだろう。厄介ね。


「ちょっと……もっと気合い入れてその杖使いなさいよ」


 私はロリッ子に向かってそういうよ。だってその杖ならこの音かき消せるんでしょ? なら頑張って貰わないとだからね。


「直ぐにこっちに頼るなんて良い神経してるのう」
「私、使える物は使う主義だから」
「なら、こちらの要求にも応えてほしいものなのじゃ」


 そういうロリッ子。そういえば、スナフスキンの言葉を欲してたね。その程度なら、大盤振る舞いしてあげようじゃん。


「力に慢心した者とか言ってたわよ?」
「ふむ……あ奴にそれをいわれるとはのう……少し意地を見せるか」


 そういうとロリッ子の頭の貝の様な大きな部分が左右に分かれだす。おいおい……なにかうまれるの? とか思ったが、そこまで開く事はなかった。精々五センチ程度だ。けど、それでもロリッ子は汗だくだった。


 ロリッ子の割れた頭の一部からは煌めくマナが溢れてる。そしてそれがロリッ子の体を覆ってその姿を隠すとその光に覆われた姿が大きくなってく。まあ大きくといっても少しググっと伸びたかな? って感じだ。ロリッ子が少女になったみたいな? 


 そう思ってると、光が拡散して現れたロリッ子は確かに少し成長してた。


「さて、今の奴にはこれで十分じゃろう」


 わずかに成長したロリッ子が再び錫杖を鳴らす。すると確かにスナフスキンの不快な音をかき消してくれた。


「のうスナフスキン。確かに儂らは慢心しておったかもしれぬ。じゃが、今のお主もそう見えるぞ」


 そういって今度は錫杖をかざすロリッ子。するとこの場に流れてた水が蠢いて、大きな竜の形をとって吠えた。どうやら結構凄い奴だったようだ。まあこれで私が楽できるのなら、それでよし。私はそう思ってた。

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