美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ75

「王の剣か……どうやら我は王とは認められてないようだな」


 そういうと奴は無造作に剣を手放した。なんてことしやがるんだ。僕は落ちてくる剣を受け止めた。やはりこの体だからか、剣との繋がりが感じれない。


(どうせなら鞘も捨ててくれないかな?)


 そんな期待をするが、どうやら鞘は別に邪魔ではないらしい。この剣は鞘も重要だ。まだ大丈夫だが……不安はある。どうしようか……とりあえず肩に乗ってる兵士に預けた。てか彼もここに居たら危ない。なのでコクピットのハッチを開ける。やり方はわからなかったが、アンティカとなってる僕の意思を完璧に理解して、開けてくれた。


「ここに入れればいいのですね」


 そういうと彼は剣だけ入れてくれた。別に彼も入ってよかったんだが、まだ戦闘は続いてる。戦力が減るのは避けたんだろう。彼は剣をコクピットに置くと僕から降りて仲間たちの元へいく。僕は再び空をみる。セーファの奴は僕の体を乗っ取った奴に近接攻撃を仕掛けてる。だが、その攻撃は届いてない。というか、動いてない。セーファの攻撃は何か見えない壁に阻まれてるように。防がれてる。


(どういうことだ?)


 そもそも何であいつは空中にとどまってる? だってそんな力は僕にはない。空を飛ぶことは出来ないんだ。けど奴は普通にしてる。中身が変わったから、そういう事が出来るようになった……ということか? あれが何かはわからないが、奴を追いつめて体から追い出さないと。僕はもう一度膝を曲げて跳んだ。そして自分の体を手でつかむ。すると不思議な事に、こっちが空中でブランブランした。こいつを握って下に降りようとおもったんだが……一体どういう事だ? 


 勿論握りつぶさない様に、細心の注意をしてる。慣れない体で大変だが、自分の体を握りつぶす訳にはいかない。こいつに与えるのは恐怖だ。その為に徐々に握る手に力を込めていくつもりだった。だがこれは……


「ふん、未練がましいぞ」


 その瞬間、体に大きな衝撃が叩きつけられる。


(何が!?)


 頭の中に響くアラーム。視界がとても悪くなった。ダメージの受けた個所の情報がでて、攻撃の解析が出る。そんな事を勝手にやってくれるらしい。どうりで同じ攻撃が効かなくなっていくわけだ。でも今はありがたい。


 吹っ飛ばされた僕は地面に落ちた。たが、その間にその解析を見てた。どうやら空間を捩じってたらしい。捩じり戻る時の空間の修復エネルギーといか、そういうのに弾かれたみたいだ。はっきり言って訳が分からない。確かに空間を移動する種とかもいる。それと同じなのだろうか? 多分だが、こっちの攻撃が通らないのも空間系の力を使ってるからなのだろう。


「ふん、我の慈悲を享受してればいい物を」


 そういって腕を静かに右から左に動かした奴。すると僕の目の前に一体のアンティカが現れた。それは今まで出て来てた古ぼけたアンティカではない。白銀の装甲が輝く背中に翼を持つアンティカだった。

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