美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ48

「一体……何が?」


 そういいつつ頭を振りながらグルダフが起き上がる。流石は屈強な体してるだけあって復活が早い。鍛えてるかいがあるってものだね。けど……私の目にはグルダフの中に残ってる奴らのマナが見える。蝶は仕込んである。それはグルダフだけじゃない。他の皆にも仕込んである。何か不気味だけど、出来る事はないし注意だけしとくか。みんなの意識が戻った所で私は告げてあげたよ。


「それはかつてここにいたといわれる者達かもしれんの」
「まあ、そうでしょうね」


 多分あの羽が生えた奴らの意識なんだろうなっては思ってる。


「残念じゃ。同体化しておったのなら、奴らの知識が流れ込んできてもおかしくないじゃろうに! いや、流れてくるべきじゃろ!」
「流石にそんな間抜けじゃないでしょ」


 ネジマキ博士は皆とは違う反応するね。流石だよ。確かにそんな事が起きてくれれば、ここの施設とかが理解出来て楽になるだろうだしね。私が楽になることは大歓迎だよ。まあ流石にこの超文明を作り出してた奴らだから、他人にそう簡単に知識なんてくれないみたいだけど。


「博士は蝶の事気になる?」
「それはそうじゃな。なにせマナを蝶の様にして、あたかも使役しておるとなると……そもそもそれはマナなのか? マナとは命であって意思ではない。無垢なマナに形などはない……」


 確かにそれはわかる。色が違ってもマナは丸い以外に見たことはなかった。蝶とか明らかにおかしいよね。綺麗だけどさ、それだけで完成されてるみたいじゃん。だって蝶は生物としているわけだしね。どう考えてもただのマナではない。けど実際、ネジマキ博士とかはマナが見える訳じゃないよね? マナが丸いなんて伝えられた話でしかないし、絶対ではないかもしれない。それなのに蝶が異常だとは断定するんだね。まあ私もアレは異常だと思う。


「この地には違うマナが満ちておるのじゃろ?」
「そうね。あの上の星とも違うマナね」
「それは蝶なのか?」
「さあ、普通のマナは見えないし。けど、感じが違うのはわかる」


 そもそもマナは普段は自己主張なんてしない。自己主張してやっと私やアナハに見えるのだ。だから蝶は自己主張の究極化と言えなくもない。そもそもここの奴らは見てるとか言った。マナとなって生きる術でも持ってるのか? 確かメルとかとも知り合いな筈だし、それならマナ生命体という存在を真似したとかかな? 


「星はわかる……遠く離れた違う世界に同じマナがあると思う方がおかしいんじゃからな。だが……この場所はこの世界にあるではないか……この世界のマナの影響を受けないとは思えない」


 確かにネジマキ博士の言いたい事もわかるよ。けど私達が思案した所でそれがわかるとも思えない。なのでそれは本人たちに聞くべきだろう。幸いにして道は開いてるのだから。湖の水は全てなくなってた。湖の底には浮かんでた島の残骸が残ってるけど、デカい管は完全には埋まってない。アレを通れば下の階層、この島の内部に至れそうだ。正規ルートじゃないだろうけど、こういう所からの方が案外重要な場所に近づけたりするかも。なので私達はその管の先に進む事にする。

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