美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ44

 光にやられた目を抑えてると、何やらとてもこの世の物とは思えない音が音圧を伴って私達の体を襲う。肌がビリビリとして、僅かだけど体が後方へと押しやられる。それが音だけの仕業というんだから恐ろしい。絶対に何かいるよね? 


「ティアラああああ!!」
「くっ、なんてことだ……」


 むむむ、どうやら既に目を開けた人たちが現状を見てるみたい。そこかしこで、驚きの声が聞こえる。なんだろう……こうなったら開けたら負けみたいな……


「ラーゼ様、大丈夫?」


 コランが腰のあたりにギュッとしがみついてくる。どうやらプリムローズの皆は私の周りに集まってるみたいだね。てか、考えたら、皆多分私の周りで私の事を庇うようにしてるんだろうね。そうなるといろいろと制限させることになってしまう……か。しょうがないから私は目を開ける。どうやら雨降ったと思ったのは一時的な事だったみたい。ちゃんと明るい。日光が眼球にダメージを与えるくらいにね。真っ白な視界が回復してくると、ようやく現状が見えてくる。目の前の湖には水の竜がいた。


 透明な竜は光を乱反射してキラキラしてる。とても美しい。けどやっぱり綺麗だけではないみたい。水の竜はこちらに向けて大きな水の弾を向けてくる。けどそれは籠たちが張った障壁によって私達までは届かない。籠にはいろいろな機能がある。私達を守る機能が色々とね。そしていくつか籠は同時に生産してるし、連携出来る事は前提だ。一でやるより二でやる方がデカい力を扱えるのだ。


「このままで大丈夫?」
「どうかな?」


 どうにかしてティアラを助けてあげたいけど……残念な事に隙がない。まあ私が何かやることはないけどね。てか助けられるのか……そんなことは考えたくないけど……


「ティアラ様! 私達がわからないの!!」


 キララが必死にそう声を掛けてるけど、流石にこの攻撃の中じゃ言葉が届きそうにない。まずは大人しくさせないと……


「亜子、行ける?」


 私がそう声を出すと、聞こえてたのか、ゼロの目が光った。そして動き出す。てかいつもの亜子ならもっと早くに動き出してて良さそうなものだけど……さっきの蜘蛛の時にゼロが暴走したし、慎重になってるのかもね。なんかこの場所とゼロはあんまり相性が良くないみたいだからね。そういえばここの水を飲んでティアラはおかしくなった……ゼロも最初にここの水に触れてるよね? 大丈夫? 体内に取り込まなければ大丈夫なのかな? とりあえずゼロに不調はないみたいだし、ここはゼロに頑張って貰おうかな? ゼロが空に出た事で、攻撃の対象がゼロへと移った。それでようやく落ち着いて水龍を見れる。なんかめっちゃ瞳孔開いてるティアラが中にいる。


 意識失ってるのかと思ったけど、そうではないみたい。けど……あれって……


「ティアラ様! ううん、ティアラああああ! 私の声聞こえてるでしょ! 止まりなさい!!」


 キララは必死にそう叫んでるけど、無理だろうなって私とそれにアナハはわかってる。だって私達には見えるから。ティアラの体に重なるようにいる何かが。多分アレはマナだ。ここのマナが人型になってティアラに取り付いてる。アレがきっとティアラを操ってる。どうする? どうしたらティアラを助けれる? 

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