美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ37

「どっせい!!」


 私は四本のアームを操作して加えられてる口にアームを伸ばす。どうせなら内部から攻めるのが良いかなと。折角咥えられてるしね。多分アレがあるんじゃないかと思うんだ。


「だごちゃんと大きさ全然違うけど……ここ産ならきっとあるよね」


 そもそもこの蜘蛛も機械的だし、きっとある。どうやら内部は無防備らしく、アームはすらすらと入ってく。けどこのまま進んでも目的の物には辿り着かない気がする。だってわざわざ、口から入る先にあるとも思えないんだよね。ああいうのはきっと隠されてるか、頑丈な所にありそう。なのである程度内部に来たら、マナの流れを見てみる。前はそんな事できなかったけど、今は出来る。だごちゃんは小さかったからこんな事をやる必要もなかったんだけどね。


 けど蜘蛛はデカい。ちゃんと狙いをつけないといつまでたってもコアには辿り着けないと思う。なのでマナの流れを見てその位置を特定するのだ。


「よし!」


 私はアームを回転させて蜘蛛の内壁を破る。すると蜘蛛が危険だと判断したのか、籠がミシミシと音をたてだした。噛み砕こうとしてるみたい。


「ヤバいかなこれは……」


 私は自身を守る事だけは完璧だけど、まだまだ超強大なマナの制御は難しい。まあこれは設計段階からかかわってるし、まだどうにかなるけどね。とりあえず私のマナを流して外装を強化しとく。


「あれ?」


 この蜘蛛の牙、なんかマナを中和してない? ガシガシ外装削られてるよ。不味いね。こんな技術があるとは。いや、ゼロだって相手のマナ操作を阻害出来るんだし、他の奴らが出来てもおかしくないか。そもそもここは超文明だったらしいしね。


「そっちもチートなら、こっちもチートだから! ――あった!」


 ドリルで内部から破壊していき、私は蜘蛛のコアを見つけた。アレを破壊すれば流石にこの蜘蛛も止まるはずだ。けどちょっと考える。


「確かだごちゃんの奴に触れた時、色々と私の中に入ってきたよね」


 アレがなんだったのかはよくわからない。けど、似た感覚は何回か味わってる。それは夜の行為をした時だ。盛り上がった時に出すじゃん? アレが体内に出されると、同じような感覚が起こる。するとその種の特性を私は得られるという事が判明してる。


 多分遺伝情報を得てるんだと思う。その中にあるすべてをね。今まで受け継がれてきた物全て……けどそれは普通の生物では全部が表に出る事も無ければ、自覚することもないことだ。けど私はそれを感覚的に感じれるみたい。だから多分あのコアに触れれれば新しい情報がわかるかも。自分じゃ、解析なんて出来ないけど、今はメルがいる。彼女はここがまだ生きてた頃にも存在してた。だからその記憶を引っ張り出せばなにかわかるだろう。


 情報は色々と欲しいしね。まあ中枢に行けば、まとめで全部手に入る気もするんだけど……


「どうしよ。外に出てコアまで行くかな?」


 ここからマナを流して同じように出来ないかな? とか思ったけど、そう都合よくはいかないみたい。


「まだこれを失うには早いよね」


 私は決断したよ。今から長々と歩くなんて御免だ。なのでこのコアは諦めた。どうせ外側を守る兵隊なんて下っ端でしょ。私はアームの回転を早めてコアを削る。激しい明滅と共に、蜘蛛が暴れる。装甲を抜けて蜘蛛の牙が見える。けど、こっちの方が早い!!


「眠ってなさい!!」


 割れたコアからマナが溢れる。そしてすべてのマナが流れ出て、蜘蛛はその動きを止めた。

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