美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ29

「見えてきました」


 そういう艦長の視線の先には大きな雲の塊が見える。それはまさに向こうの世界で見てたアニメであったような……いやこれ以上はいうまい。とりあえずだごちゃんのコアが指し示してるのはあの雲の向こうだ。けど私が約束の地から落ちた時はあんなの見えなかったんだよね。約束の地でも何かが起きてる? それとも世界の変化に対応してるのかな? 今は空にでっかい星が我が物顔で鎮座してるからね。それから守ってるようにも見える。


「突貫!!」


 私の言葉にアトランティスが雲に突っ込む。アトランティスもかなりの大きさの船だけど……雲はそんなアトランティスを余裕で飲み込む程に大きい。そしてやっぱりだけど、雲の中は激しい嵐だった。ひどい揺れが船を襲う。そしてすべての計器がおかしくなった。私はそんなの見てないからわからないけど、オペレーターの子がそういってる。もう計器なんて見ても意味はない。私達の道しるべはだごちゃんの光だけだ。周囲で鳴り響く雷鳴は途切れる事はなく、雨何てものじゃなく氷が飛び交ってる。


 これはアトランティスじゃなかったら、バラバラになってたんじゃないだろうか? 


「うっ……くっ……」
「うう……」
「ああ……」


 何やら皆の様子がおかしい。酔った? と最初は思った。だってめっちゃ揺れてるからね。けどどうやら違うみたい。何か怯えてる感じ。今更だけど、いつもと違う感じのマナがあることに気づく。最近は違うマナも良く感じてたから鈍くなってたよ。


「なんか懐かしい感じがするね」


 一人でそんな感傷に浸る。周りではついには蹲る人が出てるなか、私だけなんにもなってない。それは多分、私にはこのマナに対する耐性があるからだろう。てかこのままじゃ不味いよね? 総舵手もダウンしてるし……まあ自動航行機能もあるんだけどね。多分ここだけじゃなく艦全体で同じようにダウンしてる人がいっぱいいる筈だ。私は自身からマナをあふれ出す。私のマナで艦内を満たせば、多分収まるんじゃないかな? 


「う……何が……おお!」


 そういうのは意識を取り戻した艦長だ。次々と意識を取り戻してく皆が私に向かって拝みだす。マナをあふれ出してる影響で輝いてるからだと思う。泣き出す奴もいたり……


「いいから仕事に戻りなさい」


 私はそう口にだす。こいつらが仕事しないと危ないでしょ。私が。落ちたって私は死なないけど、面倒だからね。


「今のは……」
「多分約束の地のマナの影響。近いよ」


 そういったとき、私達は嵐を抜けた。そして広がる眼前には、空中に浮かぶ巨大な島があった。

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