美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ5

「それでは失礼いたします」


 そう言ってハゲは扉の外へと出てく。私はそんなハゲに向かって手を振ってあげるよ。私が手を振ってるのに気づいてちょっと戸惑ってるのが面白い。手を振り返した方がいいのか? とか考えてるんだろう。最終的にはあいつは礼だけして去っていった。ほんとあの堅物といると、私の魅力ってそこまでじゃないのかも? と思えてくるよ。だって全然手出さないし。ロリコンじゃない? いやいや、私にはそういう性癖とか関係ないからね。私の美しさって種さえも超越するのに、性癖くらいに阻まれたりしないよね。


 もしかしてハゲは枯れ線? 皴皴じゃないと興奮しない? それなら……まあ……いや、やっぱり私ならそれでもきっと興奮させられる筈だ。まあ……どうしても抱かれたいって訳でもないし、別にいいんだけどね。よくやってくれてるし。けどだからこそってのもあるよね。別に私は体を重ねる事をそこまで重要な事だっておもってない。けど、私ほどの美少女には価値がある訳で、それで満足して貰えて、更に私という存在に落とせるのなら……それはとても簡単かなって思ってる。


 それに私の体は元通りになるからね。私は自分が汚れたって思えない。いや、最初の一回――つまり、蛇とはじめてした時は「私も女になっちゃった」とか思ったけど、それから重ねてくうちに気づいた。私の体は元通りになるんだと。私は中古になどならないんだよ。まさに最強。私最強です。


でもそんな最強な私をもってしてもあのハゲは……とりあえずなにかプレゼントでも考えとこう。プレゼントは私――がいちばん簡単で誰にでも喜んでもらえる一番の物なのに……大抵はさ。そこに男女の差なんてないのに……あのハゲには通用しないからしょうがない。私は上に立つ者としてちゃんと仕事をしてくれてる部下をいたわれる上司なんだよ。まあ殆ど蛇とハゲに仕事を任せてるって負い目もない訳じゃない。そのせいでハゲのハゲ具合が進むとちょっと胸に来るからね……


「さっき見た感じだと、前より更に……さすがに休暇が必要かな?」


 このままでは本当につるっつるになるかもしれない。まあ中途半端に生えてるよりは……とおもわなくもないけど、つるっつるもあの顔ではあんまり似合わなそう。堀が深いとかそんな事ないからね。ハゲでもかっこいいのには元の顔の良さが必要だよ。あれじゃあ、ファッションハゲには見えないだろうな。


「あっ、そうだ。増毛させてやれば喜ぶんじゃないかな?」


 名案が閃いた。まさにいまこの瞬間、私の頭にも光が射してるね。うん、私って天才かもしれない。うすうす気づいてたけどね。ハゲハゲいってたから、ハゲが自然だと思ってたけど、アレは成れの果てであって元は毛があったはずなんだ。それをもう一度戻してあげれば最高のプレゼントになるはず。


「よし、それならさっそく博士の所に行ってみるかな?」


 私はさっそく歩き出す。するとこの部屋にあるひざ丈のぬいぐるみ達が私の後についてきた。



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