美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ133

(つっ!?)


 完璧に今目があった。中側から奴の一人は何気にこっちを見て、そしてまさに知ってたかのようにこっちを見たんだ。終わった……そうおもった。


(げ――)
(待って)


 ギュッとコランが手を握ってきた。実際は「待って」なんて聞こえてない。けど、目がそう訴えてた。私は声をだせないから、焦りを腕をぶんぶんすることで表す。けどそんな私にコランは静かに背後を指さす。


(まさか、既に迫ってる?)


 私は急いで振り向く。だって既にそこまで来てたら、幻影だって意味なくなるかもしれない。


(あれ?)


 身構えて振り向いたけど、そこには何もいなかった。たださっきの奴らが私達が歩いてきた通路を談笑しながら歩いて行ってるだけだ。


「バレてない?」


 私は弱弱しい声でそういった。するとコランが「うん」と言ってくれた。完璧に私的には目が合ったハズなんだけど……


「私達がー思ってる以上に~魔法は優秀なのかも~」


 フィリー姉さまは緩い声でそういう。確かにそうなのかも。けどそれとは反対に険しい声でミラがこういった。


「いや、このままじゃ不味い」
「どういうこと?」
「あの通路、私達がいた部屋しかなかった。つまり、あの二人は私達の様子を確かめに行ったんじゃないのか?」
「「「あっ……」」」


 私達三人の声が重なった。確かにその可能性は十分にある。いくら、空飛んでて逃げ場がないからって、流石に捕まえた奴をずっとほっぽってる訳ない。いくらゆるくても、定期的に確認位するよね。


「このままじゃ、私達がいないことがバレちゃうよ」
「そうなると~、きっと大勢で探し出すわよね~」


 まずいまずいまずい……そうなると、捕まるのなんて時間の問題。どうしたら……


「そうだ! 幻影で、部屋の中に私達の幻影を作れば?」
「今からじゃ、間に合わないだろ。あいつらを追い越さないといけないぞ」


 確かに流石に狭い通路でこんな手を繋ぎ合ってる私達が横切れば、ぶつかってしまうだろう。そうなれは、見つかるはずだ。流石に接触はね……でも……このままじゃ……私たちの脱走が知れ渡る。そうなるともう……


(どうしようどうしよう)


 そんな事を考えながら、私達は奴らの後をついていってた。話し声が聞こえる程度の距離を保ちつつ歩いてる私達。実際ついていくのはリスクが高い……けど、どうにかバレない方法がないか考えちゃうんだ。


「それにしても、こんなまどろっこしい事をする必要があるんだろうか?」
「まあ相手は脆弱な人種だからな。けど、あの方には考えがあるのだろう。我らのあの方の剣だ。ただそうあれればいい」
「だがあの方との連絡は途切れてるんだろう? 大丈夫なのか?」
「あの方に万が一などありはしない」
「その割には心配そうだけどな」


 二人はそんな会話をしてる。一人は真面目そうな青年で、もう一人は陽気そうな青年だった。どっちもなかなかにイケメンである。こんな状況じゃなかったら、知り合いになりたいほどである。けど彼らは敵だ。


「いざとなれば、転送陣で駆け付けるさ。我ら全てはあの方と魂の回廊が繋がってる」
「そうだな、今も四老様が待機してるんだろ?」
「ああ、あの方たちがでれば、上位種にだって引けを取らないからな」
「俺たちもいつかそんな力が得られるのかな?」
「……これからの戦いを生き抜ければ……もしかしたら……」


 そんな所まで聞いて、私達の足は止まっててた。


「転送陣……」


 私のそんなつぶやきに皆が頷く。どうやら考えてる事は同じのようだ。この少し後、一斉にこの場所が騒がしくなった。



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