美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ129

「「「我ら大樹の使途なり。この声に応えたまえ」」」


 一瞬だけ光が輝いて、私達のそれぞれの紋章は淡くその紋をしめしてる。ミラは青。フィリー姉さまは赤に、そして私は金色に光ってる。いや、もしかしたら黄色なのかもしれないけど、なんか金の方が好きだから金って事にしとく。


「わっ、わー! なんですかこれ?」


 そういうコランは瞳を輝かせる。やっぱりラーゼ様はコランにはこれを与えてないみたい。やっぱりコランがまだ小さいからだろうか? けど、コランは見た目よりもずっとしっかりしてるとおもうし、ラーゼ様はコランの事をとても気に入ってる。悔しいけど、コランはなんか私達とは違う土俵にいるよね。だからこそまあ許せるって所もあるけどさ。でも、実際コランに何の対策もしてないってのは、ちょっと、いや結構意外だ。


「これは、ラーゼ様がくれた力だよ。大丈夫、私達全員でラーゼ様の元に帰ろう」


 そう言ってミラはコランの頭を優しくなでる。それを気持ちよさそうに受けてコランは「うん」といった。コランは私達だけがこんな物をラーゼ様からもらってても別段なんとも思わないようだ。いや、実際心の内では悔しがってたりするかもだけど……うーんわからない。私なら間違いなく悔しがる。黒いオーラが出るほどにね。もしかしたら、その紋章をひっべがしてでも取ろうとしたかも。だって私は嫉妬深いんだよ。よかった、私がコランの位置じゃなくて。


「シシちゃんー、起きてるー」


 そう言ってくるフィリー姉さまの声は緩いのに、視線は冷たい。ぼうっとしてた私にご立腹らしい。まずいまずい、今はこの状況を打破するのが大切だ。けど……実際、どうにか出来るのかってのは難しいと思う。戦闘なんてもっての他だ。だって私達は戦った事なんかないんだから。私はとりあえず自身の手首で光ってる紋章を一撫でする。紋章からいくつかの文字が浮かんできた。


「これが使える魔法だね」
「私達それぞれで使える魔法は違うとラーゼ様は言ってた。まずはどんな魔法があるか、確認しよう」


 これを使ってみるのは始めてだ。なので私達は何もわからない。いや、一応、これを貰ったときに起動手段だけはきいてた。だから起動できたわけだけど、それ以外はさっぱりだ。けどラーゼ様いわく、起動すれば、使えるって事だった。文字を触ってみると、どんな魔法なのか、頭に説明が浮かんでくる。


「私のは……『幻影、気配消し、ショートポイント』って奴だね」


 幻影は私と触れ合った者同士の幻影を作り出せるみたい。気配消しはその名の通り。ショートポイントは短い距離を空間移動できるらしい。けどそれには事前のポイント設置が必要。これはすごいと思う。大いに役立ちそうだ。触れてれば、私以外も空間移動できるみたいだし、そもそもが私達に与えられた力は私達て協力して生き延びられる力なんだろう。ミラとフィリー姉さまにもそれぞれ三つの魔法があった。ミラは『ファイヤ、ウォーター、影縫い」でなんか攻撃も出来そうなのがある。


 フィリー姉さまは「絶対防御、天使の羽、マナの福音」って奴だ。多分、私達を守ったりする系の魔法なんだと思う。私達はこの魔法を駆使してどうやってここから逃げるか、それを話し合う。



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