美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ128

「これからいろいろとあると思うのよね」
「「「色々……ですか?」」」


 私達は声をそろえてそういった。そこはラーゼ様の私室。とても豪華で煌びやかな部屋だ。こんなに綺麗な部屋には足を踏み入れるのだって気負うわけだけど、そんな場所でもなによりも輝いてるのが我らがラーゼ様だ。物凄く似合ってる。ラーゼ様が動いたりすると、もうそこだけしか見えなくなっちゃうから、どれだけ煌びやかでも関係ないね。そんな事を考えながらも、私とミラ、そしてフィリー姉さまはラーゼ様の続きをまつ。


「そう色々。これから、貴方達だって狙われる事があると思う」
「私達が――」
「――狙われる――」
「――ですか?」


 ミラ、私、フィリー姉さまの順でそういった。


「私達の人気も日々上がってるし、それにこれから先、世界はもっと物騒になってくわ」
「それって魔王とかの……ですか?」


 私達はラーゼ様から、魔王の事とかちょっと聞いてる。これから先、世界は大きな戦いの渦に流されてくらしい。そこには当然人種も含まれてる。今までなら、そんな事言ったって所詮は人種なんて、他の種に歯牙にもかけられないんじゃ……とかおもってた。けどそれはないという事だ。


「うん、まあ大体は私のせいだと思うけどね」
「「「…………」」」


 そう言って綺麗にほほ笑むラーゼ様に私達は胸が締め付けられる。ラーゼ様が言ってるのは多分クリスタルウッドとかいうあの大樹。それの事だと思う。あれはきいた話だと、世界中のマナを集めては解き放ってるとかなんとか。詳しい事は全然理解出来なかったけど、とにかくアレでこの人種の国が……ひいてはファイラル領が世界の中心となってしまったという事だという。あの白い大樹はぞれだけすごい代物らしい。私なんてただ綺麗な木だな~なんて感想しか出てこない訳だけど、どうやらこの世界にとってアレはとても大事な物らしい。


「私といるから、皆を危険に巻き込むのは避けられないと思うの。勿論、対処はしてるけど、それでも何かあるかわからないからね。そんな私と一緒にいてくれる?」


 ラーゼ様が悲しいそうな……けど、どこか空虚な瞳で私達を見る。ラーゼ様がどうしてほしいのか……そうおもったけど、そんな思いは一瞬でどこかにいった。だって私達の答え何て決まってる。


「「「勿論です!!」」」


 奇しくも私達の声がそろった。私達は互いに視線を交差して次の一声を伺う。だってここで更に踏み込めば、ラーゼ様を喜ばせる。私達は一番のラーゼ様の寵愛が欲しいんだもん。私達にとってはラーゼ様が全て。だからこそ、一番の位置に居たい。プリムローズの中では、自分が一番ラーゼ様の相棒とかでありたい。四人いるけど、その中でもラーゼ様にとっての一番は自分。そんなアドバンテージを欲してる。


「当然じゃないですか。私達にとってはラーゼ様の居るところが居場所なんです」


 しまった。色々と考えてないミラに先手を取られた。深い事なんか考えてないからこその、行動。このままじゃ、私達の総意をミラが伝えたみたいになって、本当に私達のリーダーはミラみたいになる。ただのお飾りで、面倒事を押し付けるのに都合がいいリーダーのままでいいのに。


「ふふ、そうですよー。私達は……私は、絶対に貴方の傍から離れる気はありませんー」


 くう!? フィリー姉さま流石です。流石の黒さ。一回私達全員と口に出してけど、自身だけを差して誰よりも献身だと暗に言ってる。しかも私の思考が纏まってない時でも、フィリー姉さまは追いすがり追い抜く策を考えてたみたい。こういう所、やっぱり敵わない。けどここで私だけ何もいえないなんてのは論外だ! だから私を自身頭をフル回転させて何かを口を発するよ。


「わ……わ、私も、ラーゼ様とずっと一緒に居ます!!」


 それはなんの捻りもないし、それに自分だけの事しかいってないから、ただの傲慢な娘だと思われるかもしれないと思った。けどそれは口にした後気づいた事。どうしようもない。そう思ってる、ラーゼ様はとろけるような顔して笑ってこういってくれた。


「うん、ありがと。じゃあ受け入れて。今から皆に、力を授けるから」


 そう……そうして私たちはこの紋章を受け取った。そして今こそ……これを開放する時だと思った。



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