美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ85

 とりあえず私は軍恰好の子達をつけてく。けど……


(流石にちゃんと訓練を積んでるだけあって真面目だね)


 感心してる私だけど、実際は結構困ってる。だって彼女達は例のメカに常にツーマンセルの行動。やりづらいったらありゃしない。狙ってるのは彼女達のリーダーなんだけど、あわよくば全員をちゃんと可愛がりたい。私は可愛い子大好きだけど、女の子を差別したりしないよ。出来うることなら、皆をちゃんと気持ちよくしたいと思ってる。事も大げさになってきたし、なんとか穏便に狙いの子だけを……とおもってたけど、それはなかなかに難しそうだ。


 将を射んとする者はまず馬を射よ……とはいったもの。馬はいないが、ようは周りから落としてけばいいんでしょ? 面倒だけど……正攻法でいこうじゃない。とりあえず私は攻めやすそうな子達からやることにするよ。私はあんまり力がない。力の大きさだけなら、誰にも負けない力を持ってるっていう自負はあるけど、そんな都合いい力じゃないからね。いままでは簡単だったんだけど……あのメカが邪魔すぎる。


 ここは実際見えるのかどうか確認した方がいいかもしれない。そうしないと動きづらくてしょうがない。いざとなればどうとでもなるよ。的な甘い考えで私は動く。私はとりあえず私を探してる人たちの匂いを覚える。それは獣人の能力を使えば簡単だ。地味だけど、私はちゃんと獣人の能力も手に入れてるのだ。これで覚えた匂いはこの学園の範囲くらいはわかる。どこにいるかとか、自分との距離とかね。


 なるべく遠くにチームが分かれた所を狙う。私は少しだけちらちらと奴らの視界に入るように動いてみる。見えてるのなら反応する筈だ。


「な! なにか見えます!」
「何? よし!」


 そう言ってツーマンセルの女の子が私に向かって走ってくる。やっばり見えてるね。てか流石、訓練してるだけあって速い。最近は私も運動してるから、ちょっと体力ついてきたと思ってるけど……さすがに普段から訓練してる子達とは差がある。


(ミスった……振り切るって事を考えてなかった)


 このままじゃ普通に捕まってしまう。私は足遅いんだよね。


「このまま捕まえてやる!」


 そう言って追いついて子が手を伸ばしてくる。これはまさに詰んだ状況という奴かもしれない。私の服を掴んで思いっきり引っ張るその子。私は抵抗できないけど……あせってはない。


(しょうがない)


 私は息を吐いて覚悟を決める。使いたくはなかったんだけどね……わたしは抵抗せずに引っ張られたらその子に近づけてる。なのでそのまま振り返って彼女の首筋にカプッとした。


「あっ……うっ」


 そんな声を出して虚ろな瞳となる彼女。


「ど……どうしたんだ?」


 もう一人の子がそういうが返答は帰られない。逆に私が拘束して……と呟いた。それに従う彼女。


「やめ……やめ……やめてえええええええ!!」


 そんな声が耳をつんざくけど、私がその細いに牙を立てると彼女もまた虚ろになった。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品