美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ79

 「もうやだ……」


  私はぽつりとそう呟いた。なんか最近私の美が少しだけくすんでる気がする。実際他人にはわからないだろう。ただ気分の問題だ。けど実際私は疲れてる。今までにないくらいに疲れてる。それはなぜか……まあツアーしてるってのもある。けど、これは楽しんでやってる。やりたかったからやってる事だしね。けど……けどね。二組をプロデュースするのは大変だよ! 私元々、有能じゃないし! 効率的に……とかできないんだよ!


 今やプリムローズだけじゃなぐ、サンライズまで面倒見てるから忙しさが単純に二倍だよ。まあサンライズは別に私自身がメンバーじゃないし、練習とかをするわけじゃない。けど、裏方だけって地味じゃん。なんか面倒になってきたっていうか? でもあの子達とっても楽しそうだし、なんかもうやめるとは言い出せないよね。それに必要だし。サンライズの人気も急上昇してる今日この頃だからね。


 思惑通りではある。てかある意味問題だ。どうやらセーバレスの力は私が想定してた以上に強力だった。てかオウセリアもびっくりするほどだったから、多分アイドルという役目はセーバレスにとって恰好の役目だったのかもしれない。しかも普通はライブをやるとへとへとになるのが普通だけど……彼女達は逆に元気になるからね。オウセリアが言うには羨望をそれだけ集めてるかららしいけど、多分それだけじゃない。


 まだそんなにライブしてないけど、彼女たちのライブの後には倒れる人が何人かいる。つまりは羨望だけじゃなく、生気みたいなのも実はとってるんじゃないかって事だ。そんな事例はないみたいだけど……彼女達はこれまでのどんなセーバレスよりも強力な力を振るってる。そうなれば、これまでとは違う事象が起きてもおかしくない。勿論ライブで死者なんて出すわけにはいかないから、そこら辺の態勢とかも整えなくちゃいけなくて大変。


 そもそもプリムローズはいろな所に根回し終わってるけど、サンライズはそうじゃないし。私の管理下って事でスムーズに了承してくれる奴もいれば、足元見てくる奴もいる訳で……こっちはプリムローズのツアーも普通にやってて、裏でサンライズの事もやってるから、もう限界きてた。誰かに押し付けたい。けど適当な人材がそうそう見つかるわけもなし……一応蛇とかハゲに探してもらってるけど……サンライズは表向き私たちのライバルって事にしてるから、私たちがそのマネージャーを大体的に募集なんてできない。


 それに男だとなんか問題起きそうだし、女に絞ってるわけだけど……それも面倒かもしれない。とりあえずツアーが終わるまでの繋ぎでも別にいいかも。オウセリアにも誰かよこせっていったけど、そもそもがセーバレスの力を受けない存在ってのがセーバレス以外にはなかなかいない訳で……なかなかに問題だ。まっとくだけじゃだめかもね。そもそも犬達だって私が自分で見つけたのだ。まああいつらが有能かどうかは置いとくけどね。


 とりあえず熱意はある。けど、それだけで済むのはプリムローズは私も含めての目が行き届いてるからだ。サンライズはそうはいかない。見れない時間の方が多い。そうなると、有能で安心できる奴でないと。明日はまた街を見て回ることになってるけど、ちょっと他の所に出かけよう。皆には悪いけど、プリムローズの子達とはいつだって一緒にいるしね。それに私といると気を遣うでしょ。伸び伸びと羽を伸ばす時間も必要だ。


 そんな風に予定を決めて布団に潜ろうとしたとき、リリリリリとした音が耳元でなった。私はその発生源のピアスに触れてその声に耳を傾ける。ついでにイラついてる事を声に含ませてね。乙女の睡眠を妨害するとは何たることか! だよ。



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