美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ74

「「た、大変申し訳ございません!!」」


 気絶と目覚めを繰り返して、なんとなく夜も深まった時間帯……女の子たちが床に頭をこすりつけて謝ってる。私は流石にここまでじゃなかったよ。なかった……と思いたいです。


「全く……あんたたちは壊れた機械かなんかなのかと思ったわよ」


 そういうのはオウセリア様だ。流石のオウセリア様も頭を抱えて……いや、なんか笑ってますね。面白い物を見たって感じで。確かに変な光景ではありました。でも流石に何十回と覚醒と気絶を繰り返して、耐性がついたでしょう。


「まあ、私が美少女すぎるのがいけないんだし……マスクの意味あったかな?」


 ラーゼ様がそう思うのも無理はない。まあ意味ないし。普通は意味あると思う。確かに目が見えないと顔の印象というのは薄くなるものだ。けど……ね。けど……あの方は例外だ。普通なら嫌味にしか聞こえない言葉……それにさえなっとくするしかない。じっさいに、ラーゼ様は美少女過ぎるからマスク事態に意味はなくなってる。だってその全てが……その存在の全てが美少女の化身みたいな感じだから、ああラーゼ様だなってわかる。
 わかってしまう。はあ……彼女と同じ部屋の空気を私は今吸ってる。美味しいでございます。私は皆とは違って一歩下がって立ったままでいる。そして皆の頭を下げる姿を見ながら、静かに呼吸を繰り返してる。


「もういいわよ。あんまり時間もないしね。皆、揃ったようだし単刀直入に言うよ。貴方達には明日、デビューしてもらいます」
「「「はい?」」」


 これには私も一緒になってそう口に出した。だってちょっと私の出来の悪い頭ではラーゼ様の言葉の意味を理解できなかっだ。いやいや、こっちはラーゼ様のお言葉なら、一言一句聞き逃すまいと脳細胞をフルに使ってたハズなのですが……でもラーゼ様はこんな反応はは想定の範囲内なのか、もう一度、今度はゆっくりと言い含めるように言ってくれる。


「つまり、皆さんは第二のアイドル。プリムローズのライバルになってもらうのです!!」


 私達は互いに顔を見合ったりして、きき間違いではなかったことを確認してもう一度ラーゼ様へと顔を向ける。けどラーゼ様に確認しようにも口は開いても言葉は出なかった。口がパクパクするだけでず。そんな私たちにオウセリア様が声をかけてくださる。


「すまないが、今の私にはこの案を受け入れるしかできない。これが我ら『ゼーバレス』の共生の道だ。大役押し付けることになってすまない」


 オウセリア様が頭を下げるのを初めてみた。そんな私たちはポカーンとしてしまう。けど、ラーゼ様の「そういう事よ」という言葉に、その重みが次第に肩にのしかかる。だってつまりはこれは冗談ではないって事だ。


「私たちが……プリムローズと同じアイドル……に?」
「本当ですか!? 私たちもプリムローズみたいになれるのですか!!」


 そういうのはオウセリア様のお嬢様であらせられる『ムウラ・ラジャート』様だ。彼女だけは目を輝かせてる。私達はそんな度胸なんてなくて、困惑しかないけどね。けどこれは決定事項とでもいう様にラーゼ様は三度宣言する。


「なれるんじゃない。成ってもらう。皆には私たちに並び立つアイドルにね」



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