美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
θ65
「なんで……」
私はそう呟いた。華やかなシャンデリアの下、眩しい世界が目の前に広がってるけど……私の心は荒んでるよ。だってラーゼ様が……わたしの一番の人が知らない男と楽しそうに談笑してる。いや、実は知ってるけどさ。あのちゃらそうな見た目に反して純そうな男はここローデリア邸の息子らしい。確かにラーゼ様は美しい。もう天上人なんじゃないかと思う程だ。だから彼女が欲しくなるのはわかる。
けどさ……はずかしくないの? っても思うんだ。鏡見てきなさいよ。確かにあの男、醜い顔してるわけじゃない。けどそれだけだ。ラーゼ様に釣り合うとでも本気で思ってる? ラーゼ様の近くに立つのなら超絶美形じゃないと釣り合うわけしないじゃん。はっきり言ってあんな有象無象では役者不足。どう考えてもラーゼ様がお情けで相手してるって気付かない訳? もしかして自分てちょっとはイケてる――とか思っちゃってる。
足でも踏んで来ようかしら。そうしたいのは山々なんだけど……
「君たちのライブ見たよ」
「あれは心が躍るものだね」
「ステージの上も凄かったが、ここでも君たちは輝いてるね」
今現在私たちは貴族共に囲まれてる。前の所でもそうだったけど、こいつらは人の都合も無視して群がってくる。そういうところが……反吐が出る。貴族だから……自分たちの都合を押し付ける事しかしらない。それに私たちは……貴族にいい思いなんて一切ない。いまも皆作り笑顔で対応してるけど……腸は煮えくり返ってるからね。まあここにきてる奴らなんてのはラーゼ様によってその富を削られてる奴らの筈。
だから少しでもラーゼ様に気に入られてファイラルの利益を分けてもらえれば……そんな魂胆があるんだろう。あと……どうせなら綺麗で可愛い私たちを味見したいとか思ってそうな下種な目してる。私たちが愛想良く対応してるからって調子乗るなよこの下級貴族ども。
「シシちゃん」
「ひっ」
耳元でささやかれた声に私はビクッと反応する。その声の主はフィリー姉さまだ。ヤバイ、笑顔を張り付けてるけどこの人も相当イライラしてる。
「どうにかしてあのゴミをラーゼ様から引きはがして」
「えっと……でもどうやって?」
いま私たちは貴族共に囲まれて何がなにやらよくわからない状態だ。ここから抜け出してあの二人の空間に行く術がない。何かいい知恵でもあるのなら……
「そんなの自分で考えて」
ですよねー。そもそもなぜ私に頼むのか。私だって大人気でこの男どもの視線から逃れる術なんてほぼない。ミラならいけるんじゃね? とも思うんだけど……私はそう思ってちらっとミラを見る。すると普通に貴族共に対応してた。なんか余裕が感じられるぞ。ラーゼ様があんな馬の骨と二人きりでいるというのに何なの? まさか……自分に男が出来たから? なんとなくだけど、犬次の奴と良い感じなのはちょっと見た。
まあ興味なかったから、興味なんてなかったからあの後のしらないけどね。でも自分が幸せになったら恩ある人の事がどうでも良くなるなんて……ミラにはお仕置きが必要みたいだね。コランは普通にいっぱいいっぱいそうだから策略なんて巡らせる事は無理。フィリー姉様は誰よりも熱い視線をその体の一部に注がれてるし……やばり私しかいないか。しょうがない。
「ならちょっと協力してくださいね」
そういって私は慣れないヒールでちょっとバランスを崩す振りをして近くにいたフィリー姉さまにぶつかって彼女に尻もちつかせる。その衝撃でぶるんと揺れる上半身の一部。少しはだけたドレスからそれはこぼれだしそうだ。そんなフィリー姉さまに皆が注目してる。
「ごめんなさい」
「いえいえ~あの~どなたか手~貸してくださいませんか~」
そんなフィリー姉さまの声に鼻の下を伸ばした貴族共が群がる。私はその隙にラーゼ様の方へと向かった。
私はそう呟いた。華やかなシャンデリアの下、眩しい世界が目の前に広がってるけど……私の心は荒んでるよ。だってラーゼ様が……わたしの一番の人が知らない男と楽しそうに談笑してる。いや、実は知ってるけどさ。あのちゃらそうな見た目に反して純そうな男はここローデリア邸の息子らしい。確かにラーゼ様は美しい。もう天上人なんじゃないかと思う程だ。だから彼女が欲しくなるのはわかる。
けどさ……はずかしくないの? っても思うんだ。鏡見てきなさいよ。確かにあの男、醜い顔してるわけじゃない。けどそれだけだ。ラーゼ様に釣り合うとでも本気で思ってる? ラーゼ様の近くに立つのなら超絶美形じゃないと釣り合うわけしないじゃん。はっきり言ってあんな有象無象では役者不足。どう考えてもラーゼ様がお情けで相手してるって気付かない訳? もしかして自分てちょっとはイケてる――とか思っちゃってる。
足でも踏んで来ようかしら。そうしたいのは山々なんだけど……
「君たちのライブ見たよ」
「あれは心が躍るものだね」
「ステージの上も凄かったが、ここでも君たちは輝いてるね」
今現在私たちは貴族共に囲まれてる。前の所でもそうだったけど、こいつらは人の都合も無視して群がってくる。そういうところが……反吐が出る。貴族だから……自分たちの都合を押し付ける事しかしらない。それに私たちは……貴族にいい思いなんて一切ない。いまも皆作り笑顔で対応してるけど……腸は煮えくり返ってるからね。まあここにきてる奴らなんてのはラーゼ様によってその富を削られてる奴らの筈。
だから少しでもラーゼ様に気に入られてファイラルの利益を分けてもらえれば……そんな魂胆があるんだろう。あと……どうせなら綺麗で可愛い私たちを味見したいとか思ってそうな下種な目してる。私たちが愛想良く対応してるからって調子乗るなよこの下級貴族ども。
「シシちゃん」
「ひっ」
耳元でささやかれた声に私はビクッと反応する。その声の主はフィリー姉さまだ。ヤバイ、笑顔を張り付けてるけどこの人も相当イライラしてる。
「どうにかしてあのゴミをラーゼ様から引きはがして」
「えっと……でもどうやって?」
いま私たちは貴族共に囲まれて何がなにやらよくわからない状態だ。ここから抜け出してあの二人の空間に行く術がない。何かいい知恵でもあるのなら……
「そんなの自分で考えて」
ですよねー。そもそもなぜ私に頼むのか。私だって大人気でこの男どもの視線から逃れる術なんてほぼない。ミラならいけるんじゃね? とも思うんだけど……私はそう思ってちらっとミラを見る。すると普通に貴族共に対応してた。なんか余裕が感じられるぞ。ラーゼ様があんな馬の骨と二人きりでいるというのに何なの? まさか……自分に男が出来たから? なんとなくだけど、犬次の奴と良い感じなのはちょっと見た。
まあ興味なかったから、興味なんてなかったからあの後のしらないけどね。でも自分が幸せになったら恩ある人の事がどうでも良くなるなんて……ミラにはお仕置きが必要みたいだね。コランは普通にいっぱいいっぱいそうだから策略なんて巡らせる事は無理。フィリー姉様は誰よりも熱い視線をその体の一部に注がれてるし……やばり私しかいないか。しょうがない。
「ならちょっと協力してくださいね」
そういって私は慣れないヒールでちょっとバランスを崩す振りをして近くにいたフィリー姉さまにぶつかって彼女に尻もちつかせる。その衝撃でぶるんと揺れる上半身の一部。少しはだけたドレスからそれはこぼれだしそうだ。そんなフィリー姉さまに皆が注目してる。
「ごめんなさい」
「いえいえ~あの~どなたか手~貸してくださいませんか~」
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