美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
θ53
「いたぞ! あいつだ!!」
外に出るなり、そんな声を向けられたサイオス。どうやら間に合ったみたいだ。私は思わずニヤッと悪者のように口角を吊り上げる。店の外ではサイオスが他の冒険者たちに取り囲まれてる。彼らは元からこの街にいた冒険者ではない。私たちが護衛として連れてきた冒険者だ。多分臨時クエストとしてサイオス捕獲が発注されたのだろう。
「裏切ったか犬次!」
声を荒げて犬次の方を睨むサイオス。そのさい一瞬視界に入りそうになって私は慌てて隠れる。それはどうやら犬さんも同じだったようだ。けどフィリーとコランは私たちがなんで隠れたかわかってないから頭に?浮かべてた。それはしょうがない。だって二人は……というかプリムローズのメンバーは私が冒険者やってるなんてしらないしね。犬次の奴はブンブンと首を横に振ってる。まああいつじゃないしね。私だし……けどそれは犬次もサイオスも知らないことだ。
そもそも私が強く言わないと、こんな早く動く訳もない。それだけの権力が私にはあるのだ。冒険者達に囲まれたサイオスはそいつらに向かって叫ぶ。
「何が目的だ貴様ら!」
「何だと? 俺たちはお前を捕まえに来たんだよ。それで臨時ボーナスが入るって訳よ!」
冒険者の一人が指で丸を作ってそう答える。
「要はクエストが発注されたという事か……もうバレたのか」
悔しそうにしてるが、抜け出した時にはすでにバレてると思うけど……それともバレない自信がサイオスにはあったのだろうか? そう思ってると、サイオスは拳を構える。
「俺は、こんな所で連れ戻されるわけにはいかん! なぜなら、彼女が待ってるからだ!」
いや、誰も待ってなんてないんだけど。ほんとその妄想……どうにかしてほしい。
「はっ、大した心意気じゃねーか。個人的に応援してーよ。だが……な、これも依頼なんだ! 恨んでくれるなよ!!」
そう言って一人が突っ込む。それに呼応して冒険者達が一斉に動き出した。武器も持たないサイオスでは流石に捌ききれないだろう。あっという間に組み伏せられて終わり……私はそう思ってた。けど二分……五分……十分とサイオスは粘る。それはまさに驚異的な執念だった。その身一つで完全武装してる冒険者達の群れを相手にしてるだからね。実際私はサイオスってあんなに強かったっけ? と思った。
(なんだか時々、あいつが二重に見えるような?)
分身する能力でもあるのかな? それとも実はかなり早く動いてる? でもそのどちらも見たことないけど……ゼラとして一緒に冒険してる時はね。それに集中してるサイオスのマナ……あれは……
「そこまでだ!!」
サイオスと冒険者達の戦いの中に鋭く響くそんな声。普通ならそんな言葉でこの興奮状態の荒くれ者たちは止まらないだろう。けど、止まった。それは声に無視できない程の力が込められてたからだろう。その人物を皆が一斉にみる。
それは中年の筋肉質の男性で、顔には左半分に大きな傷が刻まれてた。きっともう開くことはないんだろう左眼は硬く閉ざされてる。装備はなんてことないタンクトップに黒いズボン。だけど、その身から湧き出る強者の雰囲気みたいなものが誰の目にも見える見たいだった。
「この街で好き勝手やってくれるたぁ、てめえら覚悟は出来てるんだろうな?」
そいつの後ろにば冒険者っぽい人たちがいっぱい。いや、実際あれは冒険者達なんだろう。この街の……現地の冒険者達……ってことはあの隻眼の人は……厄介なことになるかも。私の直観がそう告げてる。
外に出るなり、そんな声を向けられたサイオス。どうやら間に合ったみたいだ。私は思わずニヤッと悪者のように口角を吊り上げる。店の外ではサイオスが他の冒険者たちに取り囲まれてる。彼らは元からこの街にいた冒険者ではない。私たちが護衛として連れてきた冒険者だ。多分臨時クエストとしてサイオス捕獲が発注されたのだろう。
「裏切ったか犬次!」
声を荒げて犬次の方を睨むサイオス。そのさい一瞬視界に入りそうになって私は慌てて隠れる。それはどうやら犬さんも同じだったようだ。けどフィリーとコランは私たちがなんで隠れたかわかってないから頭に?浮かべてた。それはしょうがない。だって二人は……というかプリムローズのメンバーは私が冒険者やってるなんてしらないしね。犬次の奴はブンブンと首を横に振ってる。まああいつじゃないしね。私だし……けどそれは犬次もサイオスも知らないことだ。
そもそも私が強く言わないと、こんな早く動く訳もない。それだけの権力が私にはあるのだ。冒険者達に囲まれたサイオスはそいつらに向かって叫ぶ。
「何が目的だ貴様ら!」
「何だと? 俺たちはお前を捕まえに来たんだよ。それで臨時ボーナスが入るって訳よ!」
冒険者の一人が指で丸を作ってそう答える。
「要はクエストが発注されたという事か……もうバレたのか」
悔しそうにしてるが、抜け出した時にはすでにバレてると思うけど……それともバレない自信がサイオスにはあったのだろうか? そう思ってると、サイオスは拳を構える。
「俺は、こんな所で連れ戻されるわけにはいかん! なぜなら、彼女が待ってるからだ!」
いや、誰も待ってなんてないんだけど。ほんとその妄想……どうにかしてほしい。
「はっ、大した心意気じゃねーか。個人的に応援してーよ。だが……な、これも依頼なんだ! 恨んでくれるなよ!!」
そう言って一人が突っ込む。それに呼応して冒険者達が一斉に動き出した。武器も持たないサイオスでは流石に捌ききれないだろう。あっという間に組み伏せられて終わり……私はそう思ってた。けど二分……五分……十分とサイオスは粘る。それはまさに驚異的な執念だった。その身一つで完全武装してる冒険者達の群れを相手にしてるだからね。実際私はサイオスってあんなに強かったっけ? と思った。
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分身する能力でもあるのかな? それとも実はかなり早く動いてる? でもそのどちらも見たことないけど……ゼラとして一緒に冒険してる時はね。それに集中してるサイオスのマナ……あれは……
「そこまでだ!!」
サイオスと冒険者達の戦いの中に鋭く響くそんな声。普通ならそんな言葉でこの興奮状態の荒くれ者たちは止まらないだろう。けど、止まった。それは声に無視できない程の力が込められてたからだろう。その人物を皆が一斉にみる。
それは中年の筋肉質の男性で、顔には左半分に大きな傷が刻まれてた。きっともう開くことはないんだろう左眼は硬く閉ざされてる。装備はなんてことないタンクトップに黒いズボン。だけど、その身から湧き出る強者の雰囲気みたいなものが誰の目にも見える見たいだった。
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そいつの後ろにば冒険者っぽい人たちがいっぱい。いや、実際あれは冒険者達なんだろう。この街の……現地の冒険者達……ってことはあの隻眼の人は……厄介なことになるかも。私の直観がそう告げてる。
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