美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ46

 私達は順調に犬さんが調べたお店を回ってく。最初は定番の高級なお店を回ったよ。コランやフィリーだけならそんな選択しないんだろうけど、私がいるから高級所もプランに入れてくれたみたい。まあだけど……大体の高級な物って実はファイラルで揃うんだよね。だって人種の国の大商会がファイラルには力入れて進出してるからね。まあそれも私に取り入る為だけど……そこらへんはまあおいおいね。だから実際高級品はそこまでファイラルと変わらない……というかファイラルの方が種類ある。


 それはそうだよね。だってファイラルは今や王都さえも凌ぐ大きさだ。人だって実際王都よりも多い。誰も言わないだけで、もう人種の国の中心はファイラルみたいな? そんなことが巷では囁かれてるだろう。だから犬さんには悪いけど、あまり見るものはなかった。そもそも私のこの美貌に負けない物って高級程度じゃ足りないっていうか? 高級のさらに上――くらいじゃないと私には相応しくないまである。まあそんなのそもそも市場に出ないんだけどね。


 私の持ってる物って大抵一点物なんだよね。蛇にプレゼントされた黒いドレス……あれも後から知ったけど、一点物だった。昔ライザップを建てる前に暴れてた時代の戦利品を使ったとかなんとか。獣王と共に結構苦戦して倒した魔物の素材を使ってるとかなんとか。ようはそれだけ貴重な物を使わないと、私と釣り合わないんだよね。実際何着ても私が着れば似合っちゃう。アリじゃない? と思わせる事が出来る。


 けどそれは私の美貌で無理やりそう思わせてるに過ぎないのだ。本当に似合う物ってそうじゃないじゃん。自身を更に高みに上らせてくれるのが、本当に似合ってるって事じゃない? そのハードルがたかいんだよね。私ほどになるとさ。だからこの領にある程度の高級店なんて(笑い)をつけてもいい感じだった。ファイラルでは精々中級かな? 頭一つレベルが違うよ。てな訳で冷やかしだけで高級店巡りは早々に切り上げた。


 するとさ……犬さん冷や汗ダラダラだよ。私が満足してないと思ってきっとそうなったんだろう。最近は何とか普通に接せれるようになってくれたけど、追いつめられるとすぐにそんな仮面は剥がれるのだ。犬三人の中で一番度胸あるのは犬一かなって思うよ。だからこそ、一人だけ手を出さなかったのかもだし。いや、逆か? 普通こんな美少女達が近くにいたらクンカクンカしたくなるもんね。男らしさで言えば、犬さんと犬次の方があるかも……


 けど、いつまでもてんぱってられてもこっちが迷惑だからちゃんとフォローしておいたよ。


「別にいいわよ。元々そんな期待してなかったし。まだまだ行くところあるんでしょ? そっちを楽しみにしてるわ」
「え……ええ、全力を尽くさせて頂きます!!」


 その時の犬さんの表情は胸元に辞表を収めてそうな顔をしてたよ。なんでかな? 私はまだまだこれからって言ったつもりだったんだけど……まあけど気を取り直して私たちはお喋りしつつ次のお店に向かった。



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