美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Σ95

「これっは……ガハッ!?」


 そう言って血を吹き出すオジサン鉄血種。マナリフレクターの影響でマナが乱れてるみたいだ。これは最後のチャンスだ! 私はそう思って黒い炎を滾らせる。長くなった髪が激しく波打って黒い炎が髪先から頭までに広がった。もう私の頭事態から黒い炎が出てるみたいになってる。鈍くなったオジサン鉄血種とは逆に、私は力を限界以上に燃やす。


 私はその頭に銃口を向ける。するとそこにハステーラ・ペラスが集まって来た。銃を包むハステーラ・ペラス。すると私の銃がなんだか禍々しい感じに形を変えた。外見的にはシンプルな拳銃だったんだけど、今や黒を基調に激しく中二心を擽りそうなデザインへと変貌してしまった。それに周囲にはハステーラ・ペラスが舞ってて、なんか特別な武器感だしてる。
 まあ実際、特別な武器へとなってるんだろうけど。どうやらこういう使い方も出来ると、示してくれたようだ。


「これで……終わり!!」


 私は引き金を引く。その瞬間その反動で私は後ろに吹っ飛んだ。それと同時に、ハステーラ・ペラスが銃から離れて私を守る方へシフトしてくれる。瓦礫の中を転がるなか、衝撃をハステーラ・ペラスが緩和してくれてどうにか止まった。私は前方に視線を向ける。するとそこには頭が無くなった。オジサン鉄血種の姿があった。けどそれだけでおわってない


 私が撃ち放ったであろう黒い銃弾は軌道を変えてオジサン鉄血種へと幾度もぶつかる。するとそのぶつかった部分が灰となって消えていく。あれは多分、超圧縮した黒い炎の塊なんだ。


(勝った……)


 私はそう思う。だってもうオジサン鉄血種はその身体の大半を失ってる。私の放った銃弾は最後に彼の身体を燃やし尽くす為にその場で弾けた。もう何も残ってはない。これで更になにかあったら驚きだよ。気がかりがあるとすれば、奴のハステーラ・ペラスがまだ健在だと言うこと。私のもそうだけど、鉄血種はこのアイテムに自身の魂が入ってるのかもしれない。だから取り込んだ布を通して、鉄血種は私の元へ居る。


 最後にオジサン鉄血種のハステーラ・ペラスを取り込めば、それで本当の終わりだ。私は奴のハステーラ・ペラスを取り込むべく、こちらのハステーラ・ペラスを送り込む。だけどそれを拒む様に、奴のハステーラ・ペラスは大きく空に駆け上る。そしてその紅い月を背に何やら怪しく光りだす。


「なに……が……」


 こっちもそろそろ限界で、ハッキリ言ってもう立つことも出来ない。こっちだって身体がもう無残に凸凹じょうたいなんだ。これでまだ生きてるのは一重に黒い炎と一体化してるおかげ……私の命はもう……


 そう思ってると、突然眩しい光が目を刺激した。空には爛々と太陽が輝き青空が見える。赤い月はもうない。それらは全て、ハステーラ・ペラスが持っていった。赤い光をおびたハステーラ・ペラス。それが何かの形を成していく。


「ごっ……がっ……あがが」


 そんな声の様な音がそれから漏れ聞こえる。地面を踏んだ衝撃で大地が揺れる。現れたのは化物だった。化物を形をかたどってる様に見える。数十メートルはあろうかという巨大な体躯が見える。頭はよくわからい。ハステーラ・ペラスが渦の様に回ってる。けど赤い光が片側だけ光ってる。


「が……ががが!!」


 もう言葉も発せないのか、それは私に向かってその腕を繰り出してくる。私はハステーラ・ペラスで防ぐけど、驚くことに、それごと押しつぶされた。体が潰れる。私は悲鳴を上げるけど……それでもまだ、死んでない。けど……これはもう……命の残り火さえももう尽きる。こんな化物と戦う力が私には……私たちはもう、残ってなかった。

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