美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
Σ92
「退け、ここからは高みの戦いだ」
腕を翳したオジサン鉄血種。それと同時に、分裂化してるハステーラ・ペラスがカタヤさんとグルダフさんに襲いかかる。あれは鉄血種さえも切り刻める鋭さにもなる。グルダフさんならまだ耐えられるかもだけど、カタヤさんは不味い。容易にバラバラになった姿が思い浮かぶ。私は分裂化してるマントを集めて前方で組み合わせる。
思い描くだけでその形になってくれるようだ。バラバラの破片のようだったのに、組み合わせると隙間なく綺麗に一つの物体になってくれる。そしてその硬度はいままで以上。無数に分裂してるハステーラ・ペラスではこの壁は抜けない。だけどその数は凄くて、それはオジサン鉄血種を見えなくするほど。
「二人共、鉄血種を確認できますか?」
「いや、こちらからは見えない!」
「こっちもだ!」
不味い……鉄血種相手に視線を外す事はしちゃいけない。奴らは空間移動を使える。こうなったらどこから現れるかわからない。緊張感が私達の空間を支配する。僅かな物音さえも神経をすり減らしてく。
『どうやらちょっと遠くに行ってるみたい』
「は? それってどういう事?」
分裂化してるハステーラ・ペラスが形どってる顔の少女がそう言った。ちょっと遠く? それはなんだろう? だって私とバトルする気満々だったよね? それなのにちょっと遠くに行ってるって……忘れ物でもしたのかな? こういう時空間移動は便利だね。って冗談言う気力は流石にない。
「亜子……どうした? というか……それは一体? 気持ち悪いぞ」
カタヤさんがこっちをゾッとした顔で見てる。どうやら、この顔達……見えてるようだ。
「見えるんだ。喋ってる声は聞こえますか?」
「いや、喋るのかそれ?」
さっきから煩いんだけどね。てかよく考えたら、勝手に動いたりしないのはなんでなんだろうか? さっきは勝手に動いたのに……オジサン鉄血種にはそれでは通用しないって事? わからない。とりあえず私は視線をグルダフさんにも送る。彼は頭を横に振った。どうやら声は聞こえないらしい。
『他の奴らは波長が違う。我等とお前は同じなのだ』
鉄血種の一人がそういった。なにそれ……私は鉄血種じゃないよ。
「こいつらは私達が倒して来た鉄血種みたい。そいつらが言うには……あの鉄血種は今は近くにいないんだって」
なんで分かるのかは謎だけどね。けどまだ現れないのを見るに、そうなのだろう。
「遠くに? どれだけそれを信じれる? それに一瞬で戻ってこれるんだろう? どのみち、この時間は続くって訳だ」
「それは……まあ……そうですね」
どっちみち一瞬だもんね。実際この空間移動がどれだけ移動できるのはわからない。そんなに距離長くないと思ってるんだけど……今のマント――ハステーラ・ペラスがここまで進化した状態なら、長距離いけちゃうのかもしれない。この近くにいなくても結局緊張状態が続くのなら、精神的な消耗がヤバイ。一瞬だって気を抜けないってのはね……
そう思ってると普通にオジサン鉄血種は戻ってきた。裏を取る……とかそんな事は一切なく、私達が相対してた場所に奴は立ってる。けど何かが違う。奴は何かを持ってる。
「済まない。煩いハエを仕留めてきたよ」
そう言ってオジサン鉄血種はソレを投げた。ゴトッという重い音を立てて地面を転がるソレは見覚えのある銃だった。真っ赤に染まってるけど……これは……ベールさんの……
「貴様! ベールに何をした!!」
カタヤさんも気付いたみたいだ。怒りを露わにオジサン鉄血種を問いかける。それを真っ赤に染まった腕を見せつけるようにして答える。
「言わなくてもわかるだろう?」
「つっ!! 亜子! 援護を頼む!!」
一人で突っ込むなんて無謀な事はしない。カタヤさんの持ってる剣の輝きが増していく。私とグルダフさんはカタヤさんに合わせて動き出す。チラッと視界に大きく無骨な銃が入る。ベールさん……けど、まだ死んだかはわからない。だって本当に殺してるのなら、死体を持ってきた方がインパクトが強い。それをしない理由なんてない。
なら……まだ望みはある! 私は必死にそう言い聞かせて前を向く。
腕を翳したオジサン鉄血種。それと同時に、分裂化してるハステーラ・ペラスがカタヤさんとグルダフさんに襲いかかる。あれは鉄血種さえも切り刻める鋭さにもなる。グルダフさんならまだ耐えられるかもだけど、カタヤさんは不味い。容易にバラバラになった姿が思い浮かぶ。私は分裂化してるマントを集めて前方で組み合わせる。
思い描くだけでその形になってくれるようだ。バラバラの破片のようだったのに、組み合わせると隙間なく綺麗に一つの物体になってくれる。そしてその硬度はいままで以上。無数に分裂してるハステーラ・ペラスではこの壁は抜けない。だけどその数は凄くて、それはオジサン鉄血種を見えなくするほど。
「二人共、鉄血種を確認できますか?」
「いや、こちらからは見えない!」
「こっちもだ!」
不味い……鉄血種相手に視線を外す事はしちゃいけない。奴らは空間移動を使える。こうなったらどこから現れるかわからない。緊張感が私達の空間を支配する。僅かな物音さえも神経をすり減らしてく。
『どうやらちょっと遠くに行ってるみたい』
「は? それってどういう事?」
分裂化してるハステーラ・ペラスが形どってる顔の少女がそう言った。ちょっと遠く? それはなんだろう? だって私とバトルする気満々だったよね? それなのにちょっと遠くに行ってるって……忘れ物でもしたのかな? こういう時空間移動は便利だね。って冗談言う気力は流石にない。
「亜子……どうした? というか……それは一体? 気持ち悪いぞ」
カタヤさんがこっちをゾッとした顔で見てる。どうやら、この顔達……見えてるようだ。
「見えるんだ。喋ってる声は聞こえますか?」
「いや、喋るのかそれ?」
さっきから煩いんだけどね。てかよく考えたら、勝手に動いたりしないのはなんでなんだろうか? さっきは勝手に動いたのに……オジサン鉄血種にはそれでは通用しないって事? わからない。とりあえず私は視線をグルダフさんにも送る。彼は頭を横に振った。どうやら声は聞こえないらしい。
『他の奴らは波長が違う。我等とお前は同じなのだ』
鉄血種の一人がそういった。なにそれ……私は鉄血種じゃないよ。
「こいつらは私達が倒して来た鉄血種みたい。そいつらが言うには……あの鉄血種は今は近くにいないんだって」
なんで分かるのかは謎だけどね。けどまだ現れないのを見るに、そうなのだろう。
「遠くに? どれだけそれを信じれる? それに一瞬で戻ってこれるんだろう? どのみち、この時間は続くって訳だ」
「それは……まあ……そうですね」
どっちみち一瞬だもんね。実際この空間移動がどれだけ移動できるのはわからない。そんなに距離長くないと思ってるんだけど……今のマント――ハステーラ・ペラスがここまで進化した状態なら、長距離いけちゃうのかもしれない。この近くにいなくても結局緊張状態が続くのなら、精神的な消耗がヤバイ。一瞬だって気を抜けないってのはね……
そう思ってると普通にオジサン鉄血種は戻ってきた。裏を取る……とかそんな事は一切なく、私達が相対してた場所に奴は立ってる。けど何かが違う。奴は何かを持ってる。
「済まない。煩いハエを仕留めてきたよ」
そう言ってオジサン鉄血種はソレを投げた。ゴトッという重い音を立てて地面を転がるソレは見覚えのある銃だった。真っ赤に染まってるけど……これは……ベールさんの……
「貴様! ベールに何をした!!」
カタヤさんも気付いたみたいだ。怒りを露わにオジサン鉄血種を問いかける。それを真っ赤に染まった腕を見せつけるようにして答える。
「言わなくてもわかるだろう?」
「つっ!! 亜子! 援護を頼む!!」
一人で突っ込むなんて無謀な事はしない。カタヤさんの持ってる剣の輝きが増していく。私とグルダフさんはカタヤさんに合わせて動き出す。チラッと視界に大きく無骨な銃が入る。ベールさん……けど、まだ死んだかはわからない。だって本当に殺してるのなら、死体を持ってきた方がインパクトが強い。それをしない理由なんてない。
なら……まだ望みはある! 私は必死にそう言い聞かせて前を向く。
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