美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
Σ40
「あっ今、私の事バカだって思ったでしょ?」
「そんな事ないさ。ただ少し覚えが悪いなーってくらい」
「そ・れ・が! バカって事でしょ!!」
彼女はプンスカ怒ってる。けど、既に彼女、セラスに文字を教えだして数週間が経ってる。これも本気ではないとわかる程度の付き合いにはなった。互いに自己紹介して、名前で呼び合って……けど俺はまだ自分の身分を明かしてはいない。それが少し心苦しかった。でも彼女は何も聞かなかった。多分身なりとか教養とかで、少しくらいは疑ってるだろうにだ。
でも流石に自分の身分を明かすと……セラスはこんな風に自然体で居てくれないんじゃないかと怖いんだ。こうやって彼女と普通に話す……この時間が俺のなかでの唯一の憩いの場だったから。
人種は弱い……けど弱いままでいようとはしてない。稀代の天才が次々と兵器を開発してるらしい。それを見た一部の貴族は打って出ようとしてた。そしてその一部の貴族に家の一族もいた。人種は長年の領土を踏み荒らされてる。そもそもが吹けば飛ぶような種だ。けど、それでも苦汁ををなめて生きてきた。だからうっ憤はたまってる。そして人種の国の端っこのこの領ではよく人種は消えていた。
多分他種族の仕業だとそれは思われてた。それに父上は憤ってもいた。だから、過激にもなってるんだろう。だが王家は及び腰だ。他種族の恐ろしさを王家は延々と受け継いできたからしかたない。
『私に何かあったら……お前に全て託す』
俺にそんな事を父上は言った。なんとなく、その時はそう遠くない未来に来ると思った。だから屋敷はピリピリしてる。そして俺はたくさんの教育を受けてたが、更に詰め込まれる様になった。だが俺はもともと優秀だった。だから、それらを手早くこなした後に、こうやってセラスに会いに来れる。
「こんな失礼な物言いじゃなかったら、もっと素直に感謝してあげるのに~」
最後は歯と歯を合わせてい~としながらセラスはそういった。その顔ととても可愛くて、俺は頭の中の本にその顔を焼き付けた。感謝なんてそんなのとんでもない。だってそれをするべきはこちら側だ。この彼女との一時だけは……俺は自分の立場から解放される。
けどある日、父上が言った。
『お前もそろそろ婚姻を決めるべき時だな。いつ何が起きるかわからんし、伴侶は必要だろう。どこぞの平民とくっつかれても困るからな』
それは父上は俺の行動をすべて把握してたということだ。うまくやってたと思ってた。けど、父上は流石だった。
「父上、俺は彼女を!」
『お前はこの領を背負うのだ。そして我が家は人種の先兵と化す。そのパートナーは生半可な家では勤まらん。ましてや平民など論外なのだ。ベールよ……愛が罪とは言わん。だが、手放せないのならその平民は愛人にでもすればよい。婚姻は私が選んだ相手と結んでもらう』
それは拒否を許さない力を持った声だった。それからは多くの貴族家との繋がりを確固たるものにする為に色々とやらされた。パーティーには強制参加だ。そして婚約者とも会った。それのお披露目も……俺は拒否することもできなかった。美しい人だった。華奢でお淑やかで……けどプライドが高いわけでもない。位はこちらよりも高かった。なのに、彼女は俺を尊敬のまなざしで見てくれた。
そしてだからこそ……俺はいたたまれなかった。いくつかデートを重ねるたびに、彼女の優しさが本物だとわかる。そんな彼女に俺は不誠実だ。もやもやしたまま時は非情にも過ぎていく。そして父上は多くの兵と新兵器を携えて出兵した。父上がいなくなった日。俺は数か月振りにあのパン屋へと向かった。
「そんな事ないさ。ただ少し覚えが悪いなーってくらい」
「そ・れ・が! バカって事でしょ!!」
彼女はプンスカ怒ってる。けど、既に彼女、セラスに文字を教えだして数週間が経ってる。これも本気ではないとわかる程度の付き合いにはなった。互いに自己紹介して、名前で呼び合って……けど俺はまだ自分の身分を明かしてはいない。それが少し心苦しかった。でも彼女は何も聞かなかった。多分身なりとか教養とかで、少しくらいは疑ってるだろうにだ。
でも流石に自分の身分を明かすと……セラスはこんな風に自然体で居てくれないんじゃないかと怖いんだ。こうやって彼女と普通に話す……この時間が俺のなかでの唯一の憩いの場だったから。
人種は弱い……けど弱いままでいようとはしてない。稀代の天才が次々と兵器を開発してるらしい。それを見た一部の貴族は打って出ようとしてた。そしてその一部の貴族に家の一族もいた。人種は長年の領土を踏み荒らされてる。そもそもが吹けば飛ぶような種だ。けど、それでも苦汁ををなめて生きてきた。だからうっ憤はたまってる。そして人種の国の端っこのこの領ではよく人種は消えていた。
多分他種族の仕業だとそれは思われてた。それに父上は憤ってもいた。だから、過激にもなってるんだろう。だが王家は及び腰だ。他種族の恐ろしさを王家は延々と受け継いできたからしかたない。
『私に何かあったら……お前に全て託す』
俺にそんな事を父上は言った。なんとなく、その時はそう遠くない未来に来ると思った。だから屋敷はピリピリしてる。そして俺はたくさんの教育を受けてたが、更に詰め込まれる様になった。だが俺はもともと優秀だった。だから、それらを手早くこなした後に、こうやってセラスに会いに来れる。
「こんな失礼な物言いじゃなかったら、もっと素直に感謝してあげるのに~」
最後は歯と歯を合わせてい~としながらセラスはそういった。その顔ととても可愛くて、俺は頭の中の本にその顔を焼き付けた。感謝なんてそんなのとんでもない。だってそれをするべきはこちら側だ。この彼女との一時だけは……俺は自分の立場から解放される。
けどある日、父上が言った。
『お前もそろそろ婚姻を決めるべき時だな。いつ何が起きるかわからんし、伴侶は必要だろう。どこぞの平民とくっつかれても困るからな』
それは父上は俺の行動をすべて把握してたということだ。うまくやってたと思ってた。けど、父上は流石だった。
「父上、俺は彼女を!」
『お前はこの領を背負うのだ。そして我が家は人種の先兵と化す。そのパートナーは生半可な家では勤まらん。ましてや平民など論外なのだ。ベールよ……愛が罪とは言わん。だが、手放せないのならその平民は愛人にでもすればよい。婚姻は私が選んだ相手と結んでもらう』
それは拒否を許さない力を持った声だった。それからは多くの貴族家との繋がりを確固たるものにする為に色々とやらされた。パーティーには強制参加だ。そして婚約者とも会った。それのお披露目も……俺は拒否することもできなかった。美しい人だった。華奢でお淑やかで……けどプライドが高いわけでもない。位はこちらよりも高かった。なのに、彼女は俺を尊敬のまなざしで見てくれた。
そしてだからこそ……俺はいたたまれなかった。いくつかデートを重ねるたびに、彼女の優しさが本物だとわかる。そんな彼女に俺は不誠実だ。もやもやしたまま時は非情にも過ぎていく。そして父上は多くの兵と新兵器を携えて出兵した。父上がいなくなった日。俺は数か月振りにあのパン屋へと向かった。
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