美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
β6
私の名前は『サーテラス・テラントラス・ベルルミエール』伯爵令嬢ですわ。自身の事を貴族の中の貴族と自称し、この学園内でも確固たる貴族の品格を持ち込んでおります。学園の規則で立場など関係なく――などとありますが、貴族が自身の立場を忘れるなどもってのほか。私は常に「お前は貴族であれ!」と言われて育てられて来ましたの。
なのでここでもそれを変える気はございません。貴族として当然の振る舞いをしていくだけですわ。
「サーテ様、それはどうするのですか?」
サーテとは私の愛称だ。親しい間柄の人達はそう呼ぶ。そしてこの学園で親しいと呼べる間柄は今一緒に居るこの二人しかいない。全く、この国最大の教育機関が聞いて呆れる現状です。私の高貴さに付いてこれるのがたったこれだけとは……それに最近は貴族だけではなく、有力な商家の跡取りとかも積極的に入れたり、各地に人を派遣しては有能平民まで次々と入れてる始末。
そんな事をしてもこの国は救えないと言うのに……上に立ち、この国を導くのは平民ではない。それは貴族の役目。貴族である上流階級の私達の役目だ。だから平民は平民らしく扱わねば……ね。
「勿論捨てます。こんなもの」
そういって私は手に持ってたパンツを風に乗せて放った。もしかしたらバカな男子のおかずになるかも知れないが、それはそれでいい。私には関係ない事だ。
「それにしても、案外良い物を身に着けていましたね? 平民の癖にかなり上質な布でしたわ。ファイラル領は何もない領地だと聞いてましたが、平民にまであんな物が行き渡る程に潤ってるのでしょうか?」
もう一人の子がそういう。そういえばこの子達はまだ知らないのかしら?
「ファイラルは領主が変わったでしょ。それから何やら活気があるようですわよ」
「それほどにやり手の領主なのですか? 確かライザップを落とした方がその功績と共に与えられたのでしたよね? 爵位とともに」
「そう……ね!」
ギリッと私は拳を強く握る。すると私の機嫌が明らかに悪くなったのを感じた二人が萎縮する。別にこの方達を威圧した訳では無いのだけど……
「ごめんなさい。少しあの女を思い出してね」
「あの女? キララ嬢ですか?」
「あんな小物じゃないわ。ファイラルの領主よ。二人は見たことないのよね?」
「ええ」
「残念ながら」
私は国王様があの女を呼んだその場に居た。だから見たことがある。あの女の姿を。
「あんなもの……私は認めないわ」
「ど……どういう方だったんですか?」
「とても美しい人だと聞きますが?」
二人は恐る恐ると言う感じでそう言ってくる。言葉で言った所で多分意味はない。伝わらないだろうから。だけどなんと言えばあの女の危険性を伝えられるか模索して、私は口を開いた。
「あれは……人ではないわ。あんなのがこの国にのたまってるのは危険すぎる」
「「それほど……」」
ゴクリと二人は唾を飲み込む。少しは伝わったかな? でも危機感はないでしょう。私にはある。あの場に居た男性たちはあの瞬間、あの女に堕ちただろう。私よりも年下の小さな少女であるあの女にだ。男性は若い方がいいと聞くがそれにも限度はある。それに道理も。だがあの女の美貌はそんな垣根を難なく壊す。それは人だけではなく、獣人にもそうだとその行動が証明してる。
つまり、あの女が行動を起こせば、この国もライザップと同じようになると言うことだ。あの場に居た女性達はその危機感を感じた筈。だからあの領が力を持つのを必死に妨害してたりもする。だがなぜだかあの何も無かった筈の領地が活気づいていってる。もう危機は目の前にある。それにここにも刺客を送り込んで来た。私が守らねばならない。この学舎を。
「だからあの女の周りの奴は私がすこしづつでも潰していくのよ。この国の為に。それこそ貴族の役目」
「流石ですサーテ様」
それから一緒に食事をして、格の違いを見せつけてやった。だがどうやらキララ嬢はそこまで応えてないよう。もっと直接的に嫌がらせしたほうがいいかもしれない。ボケーとした顔してるから、鈍いのかも。そんな事を午後の講義中に思ってると、何やら凄い歓声が聞こえて来た。その時、私には悪寒が走った。そしてその悪寒はこれからの悪夢を知らせてたんだと知った。
キララ嬢はその人外離れの力を見せつけてこの学舎での人気を勝ち取ったのだ。そしてその容姿も相まって、一気に男性達の心も奪っていく。やはりあの女と同じ……私の見立ては間違ってなかった。キララ嬢はあの女が送り込んで来た刺客。大人はあの女が、そして未来を担う者達をキララ嬢が落す事で、この国を掌握しようとする手口。
「そんな事……させるものですか!!」
私は悪役と呼ばれてもいい。それでも貴族として、この国を救ってみせます。
なのでここでもそれを変える気はございません。貴族として当然の振る舞いをしていくだけですわ。
「サーテ様、それはどうするのですか?」
サーテとは私の愛称だ。親しい間柄の人達はそう呼ぶ。そしてこの学園で親しいと呼べる間柄は今一緒に居るこの二人しかいない。全く、この国最大の教育機関が聞いて呆れる現状です。私の高貴さに付いてこれるのがたったこれだけとは……それに最近は貴族だけではなく、有力な商家の跡取りとかも積極的に入れたり、各地に人を派遣しては有能平民まで次々と入れてる始末。
そんな事をしてもこの国は救えないと言うのに……上に立ち、この国を導くのは平民ではない。それは貴族の役目。貴族である上流階級の私達の役目だ。だから平民は平民らしく扱わねば……ね。
「勿論捨てます。こんなもの」
そういって私は手に持ってたパンツを風に乗せて放った。もしかしたらバカな男子のおかずになるかも知れないが、それはそれでいい。私には関係ない事だ。
「それにしても、案外良い物を身に着けていましたね? 平民の癖にかなり上質な布でしたわ。ファイラル領は何もない領地だと聞いてましたが、平民にまであんな物が行き渡る程に潤ってるのでしょうか?」
もう一人の子がそういう。そういえばこの子達はまだ知らないのかしら?
「ファイラルは領主が変わったでしょ。それから何やら活気があるようですわよ」
「それほどにやり手の領主なのですか? 確かライザップを落とした方がその功績と共に与えられたのでしたよね? 爵位とともに」
「そう……ね!」
ギリッと私は拳を強く握る。すると私の機嫌が明らかに悪くなったのを感じた二人が萎縮する。別にこの方達を威圧した訳では無いのだけど……
「ごめんなさい。少しあの女を思い出してね」
「あの女? キララ嬢ですか?」
「あんな小物じゃないわ。ファイラルの領主よ。二人は見たことないのよね?」
「ええ」
「残念ながら」
私は国王様があの女を呼んだその場に居た。だから見たことがある。あの女の姿を。
「あんなもの……私は認めないわ」
「ど……どういう方だったんですか?」
「とても美しい人だと聞きますが?」
二人は恐る恐ると言う感じでそう言ってくる。言葉で言った所で多分意味はない。伝わらないだろうから。だけどなんと言えばあの女の危険性を伝えられるか模索して、私は口を開いた。
「あれは……人ではないわ。あんなのがこの国にのたまってるのは危険すぎる」
「「それほど……」」
ゴクリと二人は唾を飲み込む。少しは伝わったかな? でも危機感はないでしょう。私にはある。あの場に居た男性たちはあの瞬間、あの女に堕ちただろう。私よりも年下の小さな少女であるあの女にだ。男性は若い方がいいと聞くがそれにも限度はある。それに道理も。だがあの女の美貌はそんな垣根を難なく壊す。それは人だけではなく、獣人にもそうだとその行動が証明してる。
つまり、あの女が行動を起こせば、この国もライザップと同じようになると言うことだ。あの場に居た女性達はその危機感を感じた筈。だからあの領が力を持つのを必死に妨害してたりもする。だがなぜだかあの何も無かった筈の領地が活気づいていってる。もう危機は目の前にある。それにここにも刺客を送り込んで来た。私が守らねばならない。この学舎を。
「だからあの女の周りの奴は私がすこしづつでも潰していくのよ。この国の為に。それこそ貴族の役目」
「流石ですサーテ様」
それから一緒に食事をして、格の違いを見せつけてやった。だがどうやらキララ嬢はそこまで応えてないよう。もっと直接的に嫌がらせしたほうがいいかもしれない。ボケーとした顔してるから、鈍いのかも。そんな事を午後の講義中に思ってると、何やら凄い歓声が聞こえて来た。その時、私には悪寒が走った。そしてその悪寒はこれからの悪夢を知らせてたんだと知った。
キララ嬢はその人外離れの力を見せつけてこの学舎での人気を勝ち取ったのだ。そしてその容姿も相まって、一気に男性達の心も奪っていく。やはりあの女と同じ……私の見立ては間違ってなかった。キララ嬢はあの女が送り込んで来た刺客。大人はあの女が、そして未来を担う者達をキララ嬢が落す事で、この国を掌握しようとする手口。
「そんな事……させるものですか!!」
私は悪役と呼ばれてもいい。それでも貴族として、この国を救ってみせます。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
516
-
-
2813
-
-
55
-
-
381
-
-
2265
-
-
125
-
-
149
-
-
70810
-
-
969
コメント