美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
β4
連れられて来たのは食堂だ。けどそのまま混み合ってる食堂を利用するのかと思ったら、学生証を翳して扉を開いて、小さな小部屋に入った。すると何やら浮遊感が……そして再び扉が開くとそこは別世界だった。いや、ラーゼに連れられて何回か貴族様のお食事に同伴した時と同じ感じ。いきなり執事みたいな人が頭を下げて出迎えてくれて、席に誘導してくれる。
キラキラした明かりを照らす機械が天上からたれて、広い空間をてらしてる。幾つかの席には既に先客の姿がある。けどどれも離れてて、下の階とは明らかに空間の使い方が違った。下の階はもう座る所もないくらいだったけど、こちらはもうそんなとこはあり得ない感じ。
「ここは上級貴族の方々しか使えない特別な場所なのよ」
豚が得意気にそういう。なるほどね。だからこんな無駄に贅沢な感じなのね。でも何故にこんな所に私を? 疑問が晴れない。そう思ってる内に席に付いた。それぞれ定位置があるのか、三人はスッと席につく。その際、さり気なく男性の方が椅子を引いてた。てか私の分の椅子も引いてくれてる。けど私は直ぐに座らない。「失礼」と一声掛けて、椅子の脚を確かめる。
「何やってるんですの? 早く席につきなさい」
「あはは、ごめんあそばせ」
そう言って私も席につく。その際、私の椅子を引いてた人が変な目をしてたのは気にしない。だって豚の事だから、椅子に細工してると思ったんだもん。例えば私が座ると椅子の脚が折れるとかね。そして私は恥をかく。けどそれは無かった。考え過ぎ? いや、さっさとパンツ返してくれないかな? そんな事を考えてると食事がトレーに乗って運ばれてきた。
綺麗に盛り付けられたそれは三人の前に運ばれてく。そして私の前には水が置かれた。うん、とても綺麗な容器に入ってますなこれ。一口口にふくむと途端に涼やかな清流が脳裏に浮かぶ……そんなお上品なお水――
「って、私には水だけ!?」
「それ、高級な水でしてよ」
「だとしても!」
水は水だよ! 泥水まですすった事のある私には、水なんてどれも同じだよ!
「あらあら、まさか自分がここで食事出来る権利がお有りとでも? ここの空気でお腹を満たしなさい。平民に吸える空気でなくてよ」
そういう豚と共に、両隣の二人が笑う。自分達の食事を水だけ飲んで耐え忍べと? それが今回の嫌がらせか。ほんとこの豚は質悪いね。学校で取ってる食事とは思えない豪華な料理が次々と運ばれてくる。そしてそれを優雅に……だけど、大量に食べてる豚。まさに豚。食べ方は綺麗だけどね。けどこっちはその匂いとかでもうヤバイ。
何がヤバイってお腹と背中がくっつきそうなのがヤバイ。それはそうでしょ。だって良い匂いがあっちからもこっちからも……私は成長期なのよ! 水だけなんてひどすぎる。すると取り巻きの一人が避けてる食材が目に入った。
いらないのかな? ならくれないかな? 卑しい? 別にいいもん。私はなんだって食べて来た。前は生きる意味もなく生きてたけど、今は生きる意味がある。だから残してる物だって食べる。
「あのーそれ、食べないんならくれませんか?」
「あら、これ食べたいんですの? なら――」
そう言って取り巻きの一人がわざわざそれを床に落とした。
「――どうぞ? 高級ですから、落ちてもきっと貴女よりも価値ありましてよ」
おほほほほ――と笑い声を上げる三人。そんな中、私はガタッと音を立てて立ち上がる。それに一瞬ビクッとする取り巻き。案外肝は弱そうだね。
「なんでして?」
私の視線に気付いて必死に私を睨みつけてくるその人。けど私はそれを無視して床に落ちた料理を拾う。その際傍に控えてる男性の方が付近でそれを回収しようとしてたけど、それよりも素早く料理を回収して口に入れた。
「うん、美味しい。けどひょっと薄味かな?」
口に物を含んでるから上手く喋れなかった。てか私の行為に豚も取り巻きも、そして傍に控えてる食堂の人達もびっくりしてる。
「流石平民ね。落ちた物まで食べるなんて……お似合いよ」
「それはひょうも。んっ――それもいらないのなら良いですか?」
そう言って私はもう一人の取り巻きさんに声を掛ける。するとその人は豚と目配せして、再びその端に寄せてた食材を落とそうとする。けど今度は私が素早く動いて落ちる前に回収して口に入れた。だって落ちるよりは綺麗なまま食べたいじゃん。
「ひょうも」
ペコリと頭を下げる。それを悔しそうに眺める豚ども。一矢報いた気分だ。私は控えてる男性からナプキンを貰って手を拭いて席につく。けどやっぱりあのくらいじゃ全然足らない。豚は出された分綺麗に平らげてるし……だから豚になるんだよ。食べるのは良いけど運動もしなきゃ。選択制だからね。動く感じの講義は受けてないんだろう。
そうやってお腹は満たされないままにお昼は過ぎる。食堂を後にする時、私はパンツ返してって言ったけどそしたら……
「あんなパッチいの捨てましたわ。オーホホホ!」
とか言って笑っていった。ほんと、なんなのあの人。てか私このあと運動着に着替えての魔法実技に行く気何だけど……ノーパン皆に見られるじゃん! まあけど女の子にならいっか。私はお腹を擦りながら更衣室にトボトボと歩き出した。
キラキラした明かりを照らす機械が天上からたれて、広い空間をてらしてる。幾つかの席には既に先客の姿がある。けどどれも離れてて、下の階とは明らかに空間の使い方が違った。下の階はもう座る所もないくらいだったけど、こちらはもうそんなとこはあり得ない感じ。
「ここは上級貴族の方々しか使えない特別な場所なのよ」
豚が得意気にそういう。なるほどね。だからこんな無駄に贅沢な感じなのね。でも何故にこんな所に私を? 疑問が晴れない。そう思ってる内に席に付いた。それぞれ定位置があるのか、三人はスッと席につく。その際、さり気なく男性の方が椅子を引いてた。てか私の分の椅子も引いてくれてる。けど私は直ぐに座らない。「失礼」と一声掛けて、椅子の脚を確かめる。
「何やってるんですの? 早く席につきなさい」
「あはは、ごめんあそばせ」
そう言って私も席につく。その際、私の椅子を引いてた人が変な目をしてたのは気にしない。だって豚の事だから、椅子に細工してると思ったんだもん。例えば私が座ると椅子の脚が折れるとかね。そして私は恥をかく。けどそれは無かった。考え過ぎ? いや、さっさとパンツ返してくれないかな? そんな事を考えてると食事がトレーに乗って運ばれてきた。
綺麗に盛り付けられたそれは三人の前に運ばれてく。そして私の前には水が置かれた。うん、とても綺麗な容器に入ってますなこれ。一口口にふくむと途端に涼やかな清流が脳裏に浮かぶ……そんなお上品なお水――
「って、私には水だけ!?」
「それ、高級な水でしてよ」
「だとしても!」
水は水だよ! 泥水まですすった事のある私には、水なんてどれも同じだよ!
「あらあら、まさか自分がここで食事出来る権利がお有りとでも? ここの空気でお腹を満たしなさい。平民に吸える空気でなくてよ」
そういう豚と共に、両隣の二人が笑う。自分達の食事を水だけ飲んで耐え忍べと? それが今回の嫌がらせか。ほんとこの豚は質悪いね。学校で取ってる食事とは思えない豪華な料理が次々と運ばれてくる。そしてそれを優雅に……だけど、大量に食べてる豚。まさに豚。食べ方は綺麗だけどね。けどこっちはその匂いとかでもうヤバイ。
何がヤバイってお腹と背中がくっつきそうなのがヤバイ。それはそうでしょ。だって良い匂いがあっちからもこっちからも……私は成長期なのよ! 水だけなんてひどすぎる。すると取り巻きの一人が避けてる食材が目に入った。
いらないのかな? ならくれないかな? 卑しい? 別にいいもん。私はなんだって食べて来た。前は生きる意味もなく生きてたけど、今は生きる意味がある。だから残してる物だって食べる。
「あのーそれ、食べないんならくれませんか?」
「あら、これ食べたいんですの? なら――」
そう言って取り巻きの一人がわざわざそれを床に落とした。
「――どうぞ? 高級ですから、落ちてもきっと貴女よりも価値ありましてよ」
おほほほほ――と笑い声を上げる三人。そんな中、私はガタッと音を立てて立ち上がる。それに一瞬ビクッとする取り巻き。案外肝は弱そうだね。
「なんでして?」
私の視線に気付いて必死に私を睨みつけてくるその人。けど私はそれを無視して床に落ちた料理を拾う。その際傍に控えてる男性の方が付近でそれを回収しようとしてたけど、それよりも素早く料理を回収して口に入れた。
「うん、美味しい。けどひょっと薄味かな?」
口に物を含んでるから上手く喋れなかった。てか私の行為に豚も取り巻きも、そして傍に控えてる食堂の人達もびっくりしてる。
「流石平民ね。落ちた物まで食べるなんて……お似合いよ」
「それはひょうも。んっ――それもいらないのなら良いですか?」
そう言って私はもう一人の取り巻きさんに声を掛ける。するとその人は豚と目配せして、再びその端に寄せてた食材を落とそうとする。けど今度は私が素早く動いて落ちる前に回収して口に入れた。だって落ちるよりは綺麗なまま食べたいじゃん。
「ひょうも」
ペコリと頭を下げる。それを悔しそうに眺める豚ども。一矢報いた気分だ。私は控えてる男性からナプキンを貰って手を拭いて席につく。けどやっぱりあのくらいじゃ全然足らない。豚は出された分綺麗に平らげてるし……だから豚になるんだよ。食べるのは良いけど運動もしなきゃ。選択制だからね。動く感じの講義は受けてないんだろう。
そうやってお腹は満たされないままにお昼は過ぎる。食堂を後にする時、私はパンツ返してって言ったけどそしたら……
「あんなパッチいの捨てましたわ。オーホホホ!」
とか言って笑っていった。ほんと、なんなのあの人。てか私このあと運動着に着替えての魔法実技に行く気何だけど……ノーパン皆に見られるじゃん! まあけど女の子にならいっか。私はお腹を擦りながら更衣室にトボトボと歩き出した。
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