美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

#94

 首都にしばらく滞在して……とか思ってたんだけど、結局二日位しかいられなかった。何故かというと、男たちの私の奪い合いと女たちの嫉妬の渦が渦巻きそうだったから、そうそうと領地に行ってくれと王様に言われたからだ。王様は残念そうだったんだけど、王妃様が私を超睨むから仕方なく受け入れたよ。きっと若さが妬ましいんだろう。皺……刻まれてるんもんね。私の肌が羨ましくなっても仕方ない。
 張りも瑞々しさも段違い。まあ私は同年代とくらべても段違いだから、そこはしょうがないと思うけどね。けどそんなの私が言ったら嫌味になる。王妃に目をつけられるとか不味そうだし、ここはさっさと自身の領地を見に行くよ。


 けど、その前に……私は研究所へとよる。城から少し離れた所にある幾何学的な建物群。そこがネジマキ博士のラボとのことだった。入り口に着くと、ドラム缶みたいな寸胴のロボが出迎えたくれた。私を見ると何やらとうせんぼしてくる。メンドイから蛇に壊してもらった。すると中から白衣でメガネで地味な女の人が出てきた。


「ちょっとなんて事してくれるんですか! この子達は大切な子供たちなんですよ!」


 子供たちって……不細工ですけど。


「ならちゃんと設定しといてよ。邪魔してきたんだもん。私は悪くない」
「貴女ね……」


 私の発言に呆れた様な感じの彼女。けど、とりあえずロボの状態を確認して、他のロボを呼んだみたい。直すのかな? 


「確かにそれはこちらにも落ち度がありました。けど、あなた方なら壊さずに無力化する事なんて造作もないでしょう?」
「まぁあね。けどほら、イライラしてたし」
「気分の問題ですか……」
「うん、気分大事」


 実際、私はそんな強く無いというか、強弱なんてできないからね。今は枷もつけてないし、いつも通りに一発限りの極大しか撃てない。だってまじ世界終わりかけたし……そうそうあんな事出来ない。折角世界最強になれると思ったのにな。ゼルラグドーラの力を自由自在に使えたらまさしく世界最強だった。まあ、私自身が戦う事はあんまりしたくないし、別に良いんだけどね。


「とにかく亜子に会わせてくれない? それに兵器っ子達にもね」


 私はそう要求する。それは簡単に受け入れられた。まあ私貴族だし。男爵なんてそこまで偉くも無いんだけどね。てか私女なんだけど……男爵……なんか気に入らない。爵位なんて飾りだから別にいいけど。そもそも私は友達に会いに来ただけなのだ。拒否されるわけないよね。




 中に入ると書類をもった人達が駆け回ったり、何かの実験したり、大小様々な形のロボがいたりとやたら賑やかな場所だった。皆さんこちらを見ては頬を染めている。大きな施設だ。しばらく歩いてようやく……ん?


「私、老人に要はないんだけど?」
「何を言うか。ここに来て儂に挨拶せんなどどは通らんぞ」


 待ち構えてたネジマキ博士が朗らかにそんな事をいう。以前の博士なら、こんな顔私に向けなかっただろう。けど、もう私を恨む理由ないからね。だってあの時、殺した人達は皆ここに居る。有り体に言えばあれは芝居だったのだ。まあこのお姉さんたちには強制的に協力してもらったんだけど。ほら、恐怖で従わせるって言うのがあるじゃない。アレだよ。


 けど、目的が達成されたから全部ネタバレ。そして和解したのだ。なので今の関係は良好だ。この人の技術は貴重だし、いい関係でいるのは重要だ。ほら領地に不便があったらここの技術でちょちょいとね? そんな期待が私にはある。どうも私の貰った領地ってそんなよくないっぽいんだよね。けど考えてみればそれは当然だ。だって肥沃な土地を遊ばせておく理由なんてない。
 そういう所は大貴族様の領地になってるものだ。そもそも人種の領土なんてそんな広くないしね。最近は他の種の領地を奪って拡大してるようだけどね。実際、ライザップをそのまま私の物にするって選択肢もあった。私が落とした土地だしね。それは許されたみたいなんだけど、それはやめた。だって私は新天地に来たかったんだもん。


 あそこにいたままじゃ、顎で使うのいつもどおりの獣人じゃん。そんなの変化ない。まあライザップから出ていった獣人も多いらしいけどね。とりあえず奴隷とかはやめといてね……とは進言した。負けたんだから勝者のいいなりになるのが普通なのはわかる。けど、それじゃあ駄目じゃないかなと思うんだ。人種が本当に上位種へと挑むのなら……あの国王がそんな事を本気で考えてるとは思えなかったけど、あの人はお飾りみたいなものらしい。
 実際の国の事は宰相さんがやってると蛇はいってた。で、その人は本気だと。でもその人も人種のことしか考えてないみたいな感じらしいからね。てかどこの種も大体はそんな物らしいけど。


 強い種はそれで良いと思う。けど、人種は弱い。マナだって少ない。だからこそアンティカとかに頼らざる得ない。けど、流石に三機だけで上位種へと挑むのは無謀だと思う。まあそれがわかってるからこそ、ここに大金投入してるんだろうけど……


「ねえ……博士はアンティカで世界を取れると思ってるの?」
「当然じゃ」
「私を倒せないのに?」
「ぬぐ……」


 ネジマキ博士が悔しそうに唸る。そして反論しようとした時、扉が開いてそれぞれの機体の色のボディスーツに身を包んだカタヤ達が現れた。


「取るさ。僕たちはこの国の……いや人種の希望なんだ」


 厳しい瞳を私へと向けるカタヤ。けど目が合うと直ぐに逸した。全く、私の事気にするより、妹のこと気にしてあげなさいよ。なにせカタヤの妹『ミリア』は未だ見つかってはいなんだから。

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